「伝聞証拠禁止の原則」の版間の差分

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「伝聞法則が妥当する証拠」イコール「供述証拠」ではない
Akdamar (会話 | 投稿記録)
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:*検察官面前調書(同条1項2号)
::[[検察官]]の面前における供述を録取した書面は、次の各場合に証拠能力が認められる。「2号書面」、「検察官調書」、「検面調書」とも呼ばれる。特に、後段の規定により、証人が公判で捜査段階と異なる供述をした場合に、検察官が捜査段階の検察官調書を提出することができることは、実務上重要な意味を持つ。
::#供述者の死亡・心身故障・所在不明・国外滞在により、公判期日・公判準備期日に供述できないとき(同号前段)。列挙されている事由は例示列挙であると解され、一般的に供述不能の場合を含むと考えられている。例えば、被告人の近親者が供述拒否権(147条)を行使した場合は法律上の供述不能にあたる
::#供述者が公判期日・公判準備期日に、前の供述と異なった相反するか、若しくは実質的に異なった供述をしたが(実質的相反供述)、前の供述を”信用すべき特別の情況”(特信情況という)のある場合(同号後段)。実質的相反供述とは、異なった事実認定を導くおそれのある供述をいう。「前の供述を信用すべき特別の情況」がどとは、検察官面前における供述に信用性の情況的保障があるといということでもよいし、逆に公判廷での供述に信用性を疑わせる情況あるということでもよい。実務上問題ることが多いのは後者である。
 
:*警察官面前調書等(同条1項3号)
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:*捜査機関の検証調書(同条3項)、鑑定人の鑑定書(同条4項)
::[[捜査機関]]の検証の結果を記載した書面(検証調書)は、作成者の真正作成供述(作成者が公判期日において証人として尋問を受け、真正に作成したことを供述する)を条件に、証拠能力を認められる(同条3項)。[[実況見分]]調書も同様と解されている。
::[[裁判所]]が命じた[[鑑定]]の経過及び結果を記載した書面で、鑑定人の作成した書面(鑑定書)も、鑑定人の真正作成供述を条件に証拠能力を認められる(同条4項)。捜査機関の嘱託を受けた鑑定受託者の作成した書面(科捜研の作成した尿の鑑定書など)は、直接同項には該当しないが、同様の趣旨から証拠能力が認められている
 
*被告人の供述書面(322条)
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:特に信用すべき情況の下に作成された、と言えるものを列挙している。
:*戸籍謄本、公正証書謄本その他公務員がその職務上証明できる事実についてその公務員の作成した書面(同条1号)
:*商業帳簿、航海日誌その他業務の通常の過程において作成された書面(同条2号)。領収書については、個々の相手方に対して発行されるもので、「業務の通常の過程で作成された書面」にあたらないとした裁判例がある(東京地決昭和56年1月22日判時992号3頁
:*その他特に信用すべき情況の下に作成された書面(同条3号)