「セベソ事故」の版間の差分

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汚染地域は、土壌表面のTCDD濃度を基にAゾーン、Bゾーン、Rゾーンの3種に分類される。
 
<li>R* Aゾーン: TCDD:TCDD濃度が5μg50μg/m<sup>2</sup>未満以上の地域。人口約31,800住民数736人。</li>
<ul>
<li>A* Bゾーン:TCDD: TCDD濃度が50μg5μg/m<sup>2</sup>以上50μg/m<sup>2</sup>未満の地域。住民数736人口約4,700人。</li>
<li>B* Rゾーン: TCDD濃度が5μg/m<sup>2</sup>以上50μg/m<sup>2</sup>未満の地域。人口約431,700800人。</li>
<li>Rゾーン: TCDD濃度が5μg/m<sup>2</sup>未満の地域。人口約31,800人。</li>
</ul>
 
事故の当日中に、家禽やウサギなど3,300羽の動物が死亡。また食物連鎖によるTCDDの拡散を防ぐため、生き残った動物も殺処分され、その数は1978年までに約80,000匹となった。皮膚に炎症を起こした15人の子供が病院に運ばれている。8月末までにAゾーンはフェンスで完全に隔離された。1,600人の住民を検診した結果、447人に皮膚損傷あるいは[[クロロアクネ]]と呼ばれる独特の吹き出物が生じていた。 また妊婦には特例として[[中絶]]が認められたため、相談所が設けられた。ICMESA社の技術責任者であるHerwig von Zwehl氏と、生産責任者であるPaolo Paoletti博士が逮捕された。汚染地域を隔離・除染するための委員会が設立され、イタリア政府は400億[[イタリア・リラ|リラ]]を支出した(2年後までに支出額は3倍となった)。
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除染作業により、防護服やプラント内部に残留していた化学物質など大量の廃棄物が生じた。これらは[[放射性廃棄物]]用のドラム缶に封印され、法的手続きに則って処理されるはずであった。
 
1982年春、Mannesmann Italiana社はAゾーンからの廃棄物を処理する契約を請け負った。9月9日、41[[バレル]]の有毒性廃棄物がICMESA社から運び出された。12月13日、公証人は廃棄物が適切に処理されたことを宣言した。しかし1983年2月、スイスのテレビ局Télévision Suisse Romandeは"A bon entendeur"という番組内で、フランス北部でこれらの廃棄物が行方不明となっていることを報じた。5月19日、41バレルの廃棄物が[[フランス]]北部のAnguilcourt-le-Sart村にあった、旧[[と畜場]]で発見されたため、フランス軍基地へと移送された。ジボダン社のさらに親会社である
[[エフ・ホフマン・ラ・ロシュ|ロシュ社]]が、廃棄物を処理する責任を負うことを表明し、11月25日、同社が全廃棄物を[[スイス]]にて焼却処分したことを公表した。事故から既に9年が経過していた。廃棄物に含まれる高濃度の塩素によって焼却炉が傷んでいる可能性を指摘した科学者もいたが、ロシュ社は十分な修理を行ったと説明している。
 
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事故翌年4~6月の妊婦の流産率は34%となった。<ref>{{cite journal|url=http://shippai.jst.go.jp/fkd/Detail?fn=2&id=CC0300002|title=イタリア・セベソの化学工場での爆発}}JST 科学技術振興機構 </ref>
 
イタリア政府の研究長であるピエール・アルベルト・ベルタージは,1993年以来,査読のある科学雑誌に一連の報告を公表しており,セベソでダイオキシンに被曝した多くの人々が[[糖尿病]]・[[心臓病]]・[[ガン]](胃ガン,直腸ガン,白血病を含む),[[ホジキン病]]・[[肉腫]]の増加といった,様々な長期的な深甚な症状に苦しんでいることを明らかにしている。<ref> Pier Alberto Bertazzi and others, "&quot;Cancer Incidence in a Population Acci dentally Exposed to 2,3,7,8-Tetrachlorodibenzo-PARA-dioxin,"&quot; EPIDEMIOLOGY Vo l. 4 (September, 1993), pgs. 398- 406.
P.A. Bertazzi, "&quot;The Seveso studies on early and long-term effects of dio xin exposure: a review,"&quot; ENVIRONMENTAL HEALTH PERSPECTIVES Vol. 106 Suppleme nt 2 (April 1998), pgs. 625-633.
P.A. Bertazzi and others, "&quot;Dioxin exposure and cancer risk: a 15-year mo rtality study after the 'Seveso accident,'"&quot; EPIDEMIOLOGY Vol. 8, No. 6 (Nove mber 1997), pgs. 646-652.
A.C. Pesatori and others, "&quot;Dioxin exposure and non-malignant health effe cts: a mortality study,"&quot; OCCUPATIONAL AND ENVIRONMENTAL MEDICINE Vol. 55, No . 2 (February 1998), pgs. 126- 131.</ref>
 
汚染地域で事故後14年間に198人の出生例があったが、奇形児は0人であるとされる。ただし出生は女児に偏りが見られた。事故後はじめの7年間(TCDDの半減期にあたる)では、出生数が男児26人に対し女児48人であった。次の7年間では男児60人に対し女児64人であり、既に有意差はない。<ref>Mocarelli, P., Brambilla, P. et al. "&quot;Change in sex ratio with exposure to dioxin"&quot; The Lancet 348, 409 (1996)</ref>。
 
ただし、事故から23年以上経過した後の、より長期的見地での調査によれば、被曝市民や除染作業者を対象とした11の自治体の22万人の被曝者のうち、流産、奇形、腫瘍、死亡などの報告が含まれている。<ref>Bruna De Marchi ,Jerome R.Ravetz, "&quot;Risk management and governance : a post-normal science approach"&quot;, Futures, vol.31, (1999), pp.743-757.)</ref>
 
==参考文献==