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(タンパク質以外の塩析) |
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'''塩析'''(えんせき、Salting out)
== タンパク質の場合 ==
=== 原理 ===
タンパク質分子中には[[疎水性]][[アミノ酸]]と[[親水性]]アミノ酸がある。水溶液中では疎水性アミノ酸は通常、親水性アミノ酸によって保護された疎水域を作り、周囲を取り囲む水分子との相互作用([[溶媒和]]と[[水素結合]])によって折り畳まれる。タンパク質の表面が十分に親水性ならばそのタンパク質は水に溶解する。
塩濃度を大きくしたとき水分子のいくつかは塩のイオンによって引きつけられ、タンパク質の帯電した部分との相互作用に割かれる水分子の量が減少する。この結果、タンパク質-タンパク質相互作用は溶媒-溶質相互作用より強くなり、タンパク質分子は疎水性の相互作用によって[[凝結]]する。
=== 応用 ===
タンパク質の種類によって沈殿する塩濃度が異なるため、[[ろ過]]、[[遠心分離]]で分離できないタンパク質の分離にも使うことができる。
=== 注意 ===
イオンによっては濃度が増加することによりタンパク質の溶解度を増加させることがある。また、タンパク質の特性を抑制するイオンもあるため、タンパク質の機能を分析するときは別のイオンを用いるか、イオンの除去を行う必要がある。
== 低分子有機化合物の場合 ==
低分子有機化合物の場合の塩析は塩類の水和によって説明できる。塩類を水溶液に加えるとその強い水和力によって水分子を水和水として固定する。そのため、低分子有機化合物の水和に必要な水分子の量が減少し、[[析出]](沈殿や浮遊)起こす。
これは[[石鹸]]の製造にも使われている。[[石鹸]]の溶液に[[食塩]]または[[水酸化ナトリウム]]を添加すると石鹸が析出し上層に浮遊する。一回の塩析では精製が不十分であるため、さらに水、希釈食塩水、水酸化ナトリウム溶液などに加熱溶解させ純度を上げていく。
== 関連項目 ==
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