「民事執行法」の版間の差分

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=== 換価のための競売(形式競売) ===
民法や商法等の規定に基づく、[[請求権]]の実現を目的とせず、財産の換価それ自体を主たる目的とする手続である。例として、[[共有物分割]]のための競売、[[遺産分割]]のための競売などがある。'''形式的競売'''ともいう。
 
法律上、担保権の実行としての競売の例によるとされているが、担保権の実行としての競売に関する規定も強制執行に関する規定のほとんどが準用される結果、手続の進行の基本は強制執行と変わらない。しかし、もっぱら換価を目的とする手続であることに基づく変容がある。
 
=== 財産開示手続 ===
[[財産開示手続]]は、強制執行の実効性を確保するために、債務者の財産を把握するための方法として[[2003年]]の法改正により新設された手続([[施行]]は[[2004年]]から)である。
 
どの財産を強制執行の対象とするかはそもそも債権者が決めることであるが、債務者が執行の対象となりうる財産を持っているか、それがどこにあるかを債権者が把握することは困難な場合がある。そのため、債務者の財産に関する情報を得るために新設されたものである。
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===執行法上の訴え===
====請求異議の訴え====
請求異議の訴え([[s:民事執行法 第二章 強制執行#35|35条]])、平たく言えば、債務者側の不服解消のための規定手続であると言える。請求異議の訴えは、第一に、債務名義上は、存在するものとして表示されている実体権の存否・内容を訴訟手続によって審理し、その結果、実体権の不存在が明らかになった場合には、判決により債務名義の執行力を排除し、債務名義を中止・防止することを目的とする。第二に、裁判以外の債務名義については、その成立の有効性を訴訟手続によって審理する目的でも、請求異議の訴えの利用が許されている。請求異議の訴えは、債務名義自体の執行力の排除を目的とするものであるから、債務名義の成立後であれば、強制執行の開始前であれば提起できる。また、強制執行手続が終了しても、債権者が債務名義に表示された請求全額の満足を受けていない限りは、この訴えを提起することができる。
<!-- ★いい加減な記述をコメントアウト★
 
====執行文付与の訴え====
<!-- ★いい加減な記述をコメントアウト★
執行文付与のうち、条件成就執行文([[s:民事執行法 第二章 強制執行#27|27条1項]])・承継執行文(27条2項)については、条件成就や承継関係の存在が明白である文書が存在せず、裁判所書記官・公証人限りでこれを行うことができない場合がある。このような場合に、執行文付与の特別要件の存在を訴訟手続によって確認するものが執行文付与の訴えである(したがって、債務名義上の請求権の存否の判断を行うわけではないことに注意)-->
 
====執行文付与に対する異議の訴え====
すなわち、条件成就執行文又は承継執行文が付与された場合において、「条件はまだ成就してない」「自分は承継人ではない件について」といった異議を主張して執行を止める(既判力をもって確定される点に意義がある)。
執行文付与の訴えとは「逆」と考えると分かりやすい。
 
すなわち、条件成就執行文又は承継執行文が付与された場合において、「条件はまだ成就してない」「自分は承継人ではない件について」といった異議を主張して執行を止める(既判力をもって確定される点に意義がある)。
 
最高裁は強制執行が「債務名義」「執行文」という二段階のものによって成立することを前提として、それぞれの段階に応じた訴訟類型が用意されている以上、いずれの段階についての異議であるかによって別個の訴訟類型を用いなければならないという態度を崩していない(最判昭和55年5月1日)。
 
====第三者異議の訴え====