「綱淵謙錠」の版間の差分

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===作家時代===
 
同年12月、当時ペンクラブ専務理事の[[阿川弘之]]から「事務局長になって欲しい」との要請に負け翌年1月から出勤、さらに事務所を訪れた前会長の[[川端康成]]に「今年は何も書かずにクラブの仕事だけにして欲しい。その代わり来年になったら必ずどこか紹介してあげます」と懇請されてその年の秋に控えた日本文化研究国際会議に向け、慣れない閣議提出の書類作成に忙殺され、肝臓を患い70日の入院を強いられた。しかしその苦労が報われたのか、退院1週間経たずして第67回直木賞受賞の朗報が舞い込む。徳川時代の罪人首切役を務めた田家の懊悩を描いた異質の作品「斬」がその対象で、ほぼ満票に近い圧倒的支持を得た。受賞後、氏は「私の処女作で、前半生の総決算」とする一方、「この本を読んでいただきたいのは、国家に傷つき、隣人に傷つき、友人に傷つき、父母に、子供に、恋人に傷つき、それでもなお何かを信じてじっと耐え忍んでいる方々である。その耐え忍びのために心の臓から滴り落ちる一筋の血の色が、この作品の中の血のいろどりと重なり合って同じ色あることが分かっていただけたなら、私のこの作品を書いた意図は十分に酬われたと言えるであろう」と語っている。
 
===作品一覧===