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{{Infobox Film|
| 作品名 = 007は二度死ぬ<br />You Only Live Twice
| 画像 =
| 画像サイズ =
| 画像解説 =
| 監督 = [[ルイス・ギルバート]]
| 製作総指揮 =
| 製作 = ハリー・サルツマン<br />[[アルバート・R・ブロッコリ]]
| 脚本 = [[ロアルド・ダール]]
| 出演者 = [[ショーン・コネリー]]<br />[[丹波哲郎]]<br />[[若林映子]]<br />[[浜美枝]]<br />[[ドナルド・プレザンス]]<!--
| 音楽 = [[ジョン・バリー (作曲家)|ジョン・バリー]]
| 主題歌 = ナンシー・シナトラ『You Only Live Twice』
| 撮影監督 =
| 撮影 = フレディ・ヤング
| 編集 = [[ピーター・R・ハント|ピーター・ハント]]
| 言語 = [[英語]]
| 制作費 = $950万0000
| 興行収入 = $1億1160万0000(世界)
| 前作 = [[007 サンダーボール作戦]]
| 次作 = [[女王陛下の007]]
}}
{{文学}}
『'''007は二度死ぬ'''』(ぜろぜろせぶんはにどしぬ<ref>公開時。
== 概要 ==
=== 原作と脚本 ===
[[1964年]]に発刊された[[イギリス]]人[[作家]][[イアン・フレミング]]の小説
=== 日本が舞台 ===
本作は、オープニングの[[香港]]のシーンと、米ソの軍関係者が非難の応酬をするレーダー基地のシーン(イギリス国内で撮影)を除き、舞台はすべて[[日本]]国内である<ref>全編の舞台が一つの国という007作品は本編と、ジャマイカが舞台の『ドクター・ノオ』だけである。</ref>。そのため当時としては大掛りなロケ撮影が日本各地の観光名所で行われ、当時日本でも高まっていたボンド人気は
[[東京オリンピック]]開催直後の[[高度経済成長期]]
また、特殊部隊の訓練場を[[姫路城]]に設定しているほか、[[鹿児島県]][[坊津]]の漁村や[[霧島山]]新燃岳などでもロケを行い、付近一帯ではボンドの[[オートジャイロ]]「リトル・ネリー」とスペクターの[[ヘリコプター]]部隊の空中戦シーンの一部を空中撮影するなど大規模なロケを行った<ref>ただし、[[国立公園]]内でそうした大規模な撮影の許可は下りなかったため、その大部分は[[スペイン]]の地形が似た場所で行い、これらを合成で処理している。</ref>。
=== 多彩な登場人物 ===
[[丹波哲郎]]が日本の情報機関<ref>ハヤカワ版では公安調査局(実在の[[公安調査庁]]とは異なる訳語になっている)。</ref>のボスとしてほぼ全編に
また、それまで顔が映ることのなかったスペクターの首領・[[エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド|ブロフェルド]]が、本作で初めてその[http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/c/c3/Blofeldpleasance67.jpg 姿を表わす]。
=== 個性的な作品 ===
その荒唐無稽なストーリーと(振返って見れば)時代相応な特撮、日本[[文化]]の表現が「"別の意味で"素晴らしい」などの理由で、日本の007マニアには「シリーズ有数の傑作」とする人もいる。逆にアメリカやイギリスでは「荒唐無稽」という評価が一般的である。<!-- また、舞台を日本に移した
=== 事故 ===
[[
本作は歴代の007作品の中でも関係者の事故が多い作品である。映画の撮影中の[[1966年]][[3月5日]]、[[英国海外航空]]の[[ボーイング707]]型機が[[富士山]]山麓に墜落、乗員乗客124人全員が死亡したが、その中にはイギリスに帰国するスタッフが含まれていた(詳細は
また「リトル・ネリー」とヘリコプター部隊の空中戦の撮影シーンでは、イギリス人カメラマンのジョニー・ジョーダンが片足を切断する事故に遭うなど、本作は航空事故との因縁が深い作品となった。
== ストーリー ==
{{ネタバレ|007は二度死ぬ}}
=== 謎の宇宙船 ===
アメリカと[[ソビエト連邦|ソ連]]の宇宙船が謎の飛行物体に捉えられるという事件が起こり、米ソ間が一触即発の状態になるものの、イギリスの[[情報機関]]である [[イギリス情報局秘密情報部|MI6]] はその宇宙船が日本周辺から飛び立っているという情報をつかむ。その情報の真偽を確かめるために、[[ジェームズ・ボンド]]がMI6により日本に派遣されることになる。
===
ボンドは敵の目を欺くため、イギリスの[[植民地]]の[[香港]]で、情報部により用意された現地の女性
その後[[ビクトリア・ハーバー]]内に停泊する[[イギリス海軍]]の[[巡洋艦]]上で水葬され、その「遺体」を回収したイギリス海軍の[[潜水艦]]で隠密裏に日本へ。日本上陸後は、横綱佐田の山の仲介により[[蔵前国技館]]で謎の女
その殺し屋は大里化学工業の本社から送られた者だと知ったボンドは、ビジネスマンを装って
{{ネタバレ終了}}
== スタッフ ==
*監督 - [[ルイス・ギルバート]]
*製作 - [[ハリー・サルツマン]]、[[アルバート・R・ブロッコリ|アルバート・ブロッコリ]]
*撮影 - フレディ・ヤング
*編集 - [[ピーター・R・ハント|ピーター・ハント]]
*主題歌 -
*歌 - [[ナンシー・シナトラ]]<ref>[[フランク・シナトラ]]の娘。</ref>
*プロダクション・デザイン - [[ケン・アダム]]
== キャスト ==
*[
*[http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/6/6d/Tiger_Tanaka_by_Tetsuro_Tamba.jpg タイガー] - [[丹波哲郎]]
*[http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/3/32/Akiko_wakabayashi.jpg アキ] - [[若林映子]]
*[http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/9/98/MieHama_as_KissySuzuki.jpg キッシー鈴木] - [[浜美枝]]
*[
*
*
*[http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/6/69/Dikko_Henderson_by_Charles_Gray.jpg ヘンダーソン] - [[チャールズ・グレイ (俳優)|チャールズ・グレイ]]
*[http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/4/43/Tsai_Chin_as_Ling.jpg リン] - [[ツァイ・チン]]
<!-- *[[佐田の山晋松|佐田の山]] - 本人--><!-- 本人役やカメオ出演などは「キャスト」とはまた別の次元のものなので -->
*[http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/6/61/Bernard_lee.jpg M] - [[バーナード・リー]]
*
*[http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/c/c9/Miss_Moneypenny_by_Lois_Maxwell_3.jpg マネーペニー] - [[ロイス・マクスウェル]]
== ロケ地 ==
=== 都内 ===
*[[蔵前国技館|旧蔵前国技館]]
*[[銀座|銀座四丁目交差点]](風景)
*[[ニューオータニ]](大里化学本社)
*[[東京地下鉄|営団地下鉄]][[東京地下鉄丸ノ内線|丸ノ内線]](タイガー
*丸ノ内線[[中野新橋駅]](タイガー
*[[駒沢オリンピック公園]](カーチェイス)<!-- これは下の誤りではないでしょうか?。両方でております-->
*[[国立代々木競技場|代々木第一体育館]]付近(カーチェイス)
=== 日本国内 ===
*[[富士スピードウェイ]](カーチェイス)
*[[神戸港]]第8突堤(浜の男たちとの乱闘)
*[[姫路城]](忍者訓練シーン)
*[[鹿児島県]] [[南さつま市|坊津町]](漁村)
*[[霧島山|霧島山新燃岳]](空撮)
*[[朝日ヘリポート]]
===
*[[香港]]、[[香港島]]、[[ビクトリア・ハーバー]](オープニング水葬シーン)
<gallery>
</gallery>
== エピソード ==
=== 配役 ===
*脚本に起用されたロアルド・ダールは、プロデューサーのブロッコリとサルツマンから、「女性を三人出し、最初の女はボンドの味方で敵方に殺され、二番目の女は敵の手先でこれも殺され、三番目の女は殺されず映画の終わりにボンドがものにするように」と指示された。これにより原作に登場するキッシーに、スキとヘルガを加えた三人の登場が決まった。二人の準主役級ボンドガール(敵方のヘルガを除く)が登場するという、異例のキャスティングになったのはこのためである<ref>『007の東洋の素敵な美女たち』常盤新平訳『EQ』昭和53年3月号 早川書房 掲載。『探偵たちよ スパイたちよ』丸谷才一編 集英社(文藝春秋 文春文庫 ISBN 9784167138080) にも収録。オリジナルは、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]雑誌
*当初は[[若林映子]]が海女の
*この際、当初の
*一方
*
*大里化学の
*ブロフェルドの手下で要塞エンジニアの
▲*大里化学の[http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/6/60/Car_Driver_by_Peter_Fanene_Maivia.jpg 社長室で格闘する相手]は、[[ハワイ]]出身のプロレスラー、[[ピーター・メイビア]]である。
▲*ブロフェルドの手下で要塞エンジニアの「[http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/7/76/SPECTRE_No.3_by_Burt_Kwouk.jpg スペクターNo.3]」役で登場する[[バート・クォク]]は、『[[007 ゴールドフィンガー|ゴールドフィンガー]]』でも同じようなゴールドフィンガーの手下でエンジニアの「[http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/5/56/Mr_Ling_by_Burt_Kwouk.jpg リン氏]」役で出演している。クォクは複数のボンド映画に出演した数少ない悪役の一人である。
=== 撮影 ===
*本作には大相撲本場所の様子が登場したり、忍法や居合術を見せる場面があったり、日本式の結婚式の模様が詳しく紹介されているが、これらにはそれぞれ劇中の数分間を割いており、従来のボンド映画とは一線を画す演出となっている。これはイアン・フレミングの原作がやはりそのような書き方になっているため。後半が原作を大幅に脚色したスペクタクル巨編となっている一方で、全体としては日本文化に並みならぬ興味を持っていたフレミングの精神を尊重するという、独特な作風が本作の大きな特徴である。
*ロケハンのために、監督をはじめとするスタッフは[[全日本空輸|全日空]]の前身である日本ヘリコプターのヘリコプターを借りて日本全国を飛び回った。
*[[神戸港]]の第8突堤で撮影されたスポットは、[[1995年]]1月の[[阪神大震災]]で倒壊してしまった。その神戸での格闘シーンでは、かつて[[笑点]]の座布団持ちで親しまれた[[松崎真]]が出演している。
*大里化学本社の外観は[[ホテルニューオータニ]]
*コネリーらの一行は東京に到着するなりファンとマスコミに取り囲まれ、プロデューサーのブロッコリは宿泊先の東京ヒルトンで急きょ記者会見を設けた。疲労し苛立っていたコネリーは、会見に開襟シャツとスラックス姿でソックスを履かず、(当時から薄毛で撮影時は使用していた)かつらもつけずに現れ、無愛想に振舞った。この会見で、コネリーはボンド役を引退することも明らかにした<ref>ジョン・ハンター 『ショーン・コネリー』 池谷律代訳、キネマ旬報社、1995年、125-126頁。ISBN 9784873760964</ref>。
*ブロフェルドの隠れ家は、原作では海岸沿いの古城ということになっている。しかし、プロダクション
*姫路城では現在映画の撮影を一切許可していないが、これはこの映画が原因である。特殊部隊訓練シーンの撮影の際、城壁に[[畳]]を掛け、そこに手裏剣を投げ込むシーン
*漁村のシーンが撮られた鹿児島県坊津は、「神戸と[[上海市|上海]]の間にある島」として登場する<ref>確かに坊津は「神戸と上海の間」ではあるが、弧島ではなく九州本島と陸続きである。</ref>。撮影はハリウッドらしく、町民の長年の陳情によって前年に作られたばかりのコンクリートで補強された桟橋が「映画の雰囲気に合わない」と一夜にして撤去、木製のものに作り替えられるなど、トラブルも多かったという<ref>『[[探偵!ナイトスクープ]]』による。ただし、撮影終了後は全て元通りに直したという。</ref>。一方毎日大勢のスタッフ等が大量の[[ビール]]を消費するなどしたため、近所の商店で大儲けをしたところもあったという<ref>『
*坊津で撮影が始まると、困ったのは肝心の海女が潜れないという、笑うに笑えない確認漏れだった。浜美枝は泳げるのがやっと、海女役の日本人エキストラたちも泳げるが潜水は自信がないと
*海女の少女役で、[[松岡きっこ]]がほんの数秒出演しているが(ボンドの操縦する小型の[[オートジャイロ]]を見上げる役)、この僅か数秒の出演でさえ厳しい[[オーディション]]があったと本人が語っている。
*米ソのロケット打上げのシーンでは、実際のロケット打ち上げの映像が使用されている。アメリカの打ち上げシーンは、当時進行していた[[ジェミニ計画]]の[[
*ブロフェルドの要塞が忍者隊の総攻撃を受けて爆発炎上するラストのシーンを撮影中に、爆発の轟音に驚いた
*なお本作には、[[ロンドン]]のシーンがない。イギリス本土のシーンが一つもないボンド映画は、後にも先にもこの『007は二度死ぬ』一作のみである。
=== ボンドカー ===
[[
*本作では[[トヨタ自動車]]が自動車の[[タイアップ|プロダクトプレイスメント]]の独占契約を結んでいたため、[[ボンドカー]]の[[トヨタ・2000GT|2000GT]]をはじめ、[[トヨタ・クラウン|二代目クラウン]]や[[トヨタ・コロナ|三代目コロナ]]などが登場する。
*
*映画に使われたのは[[コンバーチブル]]仕様の特注車。2台製作された。2000GTは車高が非常に低く車内が狭いため、長身のショーン・コネリーが座ると肩をすくめて首を傾げても窮屈なほどだった<ref>2000GTの車内の狭さは伝説的で、くつろいで座れるのはせいぜい身長173cm前後までだという。当時コネリーの身長は188cmだった。</ref>。そのような状態ではボンドの顔を満足に撮ることができないので、撮影開始の二週間前になって急遽これを屋根が着脱できる[[タルガトップ]]式に改装することになった。ところが出来上がった車にコネリーが乗ってみると、今度はコネリーの頭が開口部からひょこんと出てしまい、実に滑稽な有様になってしまった。そこで改めてこれを、フロントガラスのフレームだけを残しあとはすべて取り払ったコンバーチブルに再改装したが、大至急の改造だったため幌屋根が付けられず、座席後方には幌カバーらしく作ったダミーを装着してごまかすことにした。こうして出来上がった車は、屋根がないのでさすがに「コンバーチブル」とは呼べず、そのため名称は「2000GT オープントップ」に落ち着いた。
*ところがいざ撮影が始まると、今度はアキ役の若林映子が車の運転ができないことが判明する。そもそも当初の脚本ではボンドがこの車を運転することになっていたが、ストーリーの展開上
*この2台のボンド仕様車のうち、1台は現在[[トヨタ博物館]]に展示されている。もう1台は早くから行方が分からなくなっており、所在や所有者についてのさまざまな憶測はあるものの、詳細は不明である。
*なおボンドは本作では車をまったく運転しない。劇中ボンドが車を運転しないボンド映画は、後にも先にもこの『007は二度死ぬ』一作のみである。
=== ボンド ===
*ボンドが [[M (007)|M]] や[[マネーペニー (007)|マネーペニー]]と会うのは香港のビクトリア・ハーバーの海底で待機していたイギリス海軍の[[原子力潜水艦]]の中という設定。ここでボンドとマネーペニーは007映画の中で初めて[http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/9/9b/Miss_Moneypenny_by_Lois_Maxwell.jpg 海軍制服を着た姿]で登場する。またマネーペニーがボンドに「[[中佐#イギリス|中佐]] (Commander)」と呼びかけるのに対して、ボンドはマネーペニーのことを「[[中尉#イギリス|中尉]] (Sub-Lieutenant)」と呼んでおり、彼女の階級もここで初めて明らかにされている。
*ボンドの結婚は『[[女王陛下の007]]』でのテレサ(トレーシー)との一度きりだが、本作でのキッシー鈴木との偽装結婚もあわせて厳密には二度。なおジョン・ピアソンの仮想ボンド伝によれば、キッシーはボンドの子を身籠っており、秘かにこの子を出産、鈴木ジェームズ太郎 (James Taro Suzuki) と名づけたことになっている。「太郎」はボンドが本件の任務で使用した日本名でもある。<!--「鈴木太郎」は、[[2005年]]現在40歳前後であるはず。-->
*「世界一有名で変装はしないスパイ」といわれるボンドだが、本作では日本人になりすますために変装を用いている。そもそも当時の日本人とは体格からしてまるで違うボンドを、タイガー・田中配下の公安専属美人エステティシャンたちが肌を染めたり眉毛を切ったりして「
*映画の冒頭で、マネーペニーがボンドに渡す日本語の本は ''
*なお本作でボンドは全編を通じて「覆面捜査」を行っているので、「Bond, James Bond」というシリーズお馴染みの決めセリフを使っていない。劇中ボンドが「Bond, James Bond」と言わないボンド映画は、『007は二度死ぬ』と『[[007 慰めの報酬]]』の2本である。
== 日本語吹き替え ==
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== 関連項目 ==
*[[スパイ]]
*[[ワルサーPPK]]
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