「枯草菌」の版間の差分

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土壌中や、空気中に飛散している常在細菌(空中雑菌)の一つで、枯れた草の表面などからも分離されることが多いためにその名が付けられた。[[芽胞]]を作ることによって熱や消毒薬などに対する耐久性を示すため、[[培地]]や食品の汚染([[コンタミネーション]])の原因になることがあるが、ヒトに対する病原性を持たないため、医学上問題視されることは少ない。
 
[[藁]]などの枯れた草(特に[[イネ科]][[草本]]の枯死した茎葉が多く用いられる)を水に浸けて煮沸すると、ほとんどの微生物はその熱によって死滅するが、枯草菌の芽胞は高い耐熱性を持つため生き残る。その後、浸出液を放置すると芽胞が発芽して、枯草菌が[[優占]]して繁殖する。枯草菌は[[好気性生物|好気性]]であるため浸出液の液面で増殖し、また菌膜(バイオフィルム)を産生して液面を覆うことが多い。この現象は、[[ルイ・パスツール]]が白鳥の首フラスコによる実験で微生物の[[自然発生説]]を否定した後、[[ジョン・チンダル ]][[John TYNDALL]]によってその例外的な現象として発見された。
 
この性質を利用して自然環境から枯草菌を分離することが可能である。また稲わらを用いた伝統的な[[納豆]]は、煮沸した稲わらを使って煮た大豆を包んで製造するが、これは煮沸によって雑菌が死滅し、枯草菌の一種である[[納豆菌]] (''Bacillus subtilis'' var. ''natto'') の芽胞だけが生残る性質を利用したものである。