「デ・ハビランド DH.106 コメット」の版間の差分

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[[Image:Comet 1.jpg|thumb|280px|DH.106 コメット Mk.I]]
[[Image:DeHavilland_Comet.jpg|thumb|280px|イギリス空軍のコメット C.2]]
'''デ・ハビランド コメット''' ('''de Havilland DH.106 Comet''') は、[[イギリス]]の[[デ・ハビランド・エアクラフト|デ・ハビランド]]社が製造した世界初の[[ジェット機|ジェット]][[旅客機]]。「コメット」の名称は自社のデハビランド DH.88に続いて二代目である。
 
定期運航就航後、程なくして、与圧された胴体の繰返し変形による金属疲労が原因の空中分解事故を起こしたが、そこで得られた教訓がその後の航空技術、就中安全向上に果たした役割もまた非常に大きい。
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== 概要 ==
=== 開発 ===
[[第二次世界大戦]]中の[[1944年]]にブラバゾン委員会(戦後の航空輸送に関する委員会)が纏めた「500mph(800km/h)で大西洋横断可能」なジェット旅客機計画を受け、デハビランド社が英軍需省の補助金を得て、[[1946年]]から開発に着手した。初期案は24席の無尾翼機であった。
 
開発が難航していた[[ロールス・ロイス エイヴォン]]の実用化は[[1950年]]より先になるという予想の下、敢えて旧式ながら実績のある自社製のゴースト ([[:en:De_Havilland_Ghost|Ghost]]) が採用された。アンダーパワーを克服し、高与圧と低温に耐える必要から、機体構造には[[デハビランド モスキート|モスキート]]など同社のお家芸とも言える木製高速機で十分な経験を積んだ、[[接着剤#接着剤の種類#有機系接着剤#合成系接着剤|エポキシ接着剤]]リダックス ([[:en:Redux_%28adhesive%29|Redux]])が多用され、圧倒的軽量化と平滑化、高剛性化が図られた。
 
=== 完成 ===
[[画像:Delta DC-7.jpg|thumb|220px|ダグラスDC-7]]
[[1946年|同年]]に愛息を自社の高速研究機 [[デハビランド DH.108|DH.108]] の事故で失ったサー・ジェフリー・デハビランド ([[:en:Geoffrey_de_Havilland|Geoffrey de Havilland]]) にとって、世界初のジェット旅客機の完成は悲願になり、[[1949年]]7月27日(自らの57回目の誕生日)の初飛行時には、チーフ・テストパイロットの[[ジョン・カニンガム]]元空軍大佐と共に、自ら操縦席に座った。これは当時の最新鋭レシプロ機ダグラス[[DC-7]]よりも早く、[[ロッキード・コンステレーション|ロッキード・スーパーコンステレーション]]とほぼ同時であり、追従者は他にない独走状態であった。因みに試作2号機の処女飛行も、翌年の同じ7月27日に同じメンバーで為された。
 
しかし敗戦国ドイツから多くの航空技術者を移入させたアメリカは、青天井の予算を与え戦時中のプロジェクトを継続させた結果、早くも[[1947年]]には後退翼の超革新的な大型ジェット爆撃機[[B-47]]を進空させ、その「フラミンゴのようにスマート」と評されたほど優美なフォルムで全世界に衝撃を与えた。対して保守的な外観のコメットには失望の声も半ばしていたという。
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順次航路を全世界に拡大し、翌[[1953年]]には試作2号機が[[ファーンボロ]][[航空ショー]]で超低空90度バンクターンを決めてみせ、[[ヨーロッパ航空航路#南回りヨーロッパ線|南回り航路]]経由で[[ヒースロー空港|ヒースロー]]~[[羽田空港|羽田]]間にも定期就航した。占領下で航空機開発の一切を禁じられ、ジェット時代の到来に為す術なくいた日本の旧航空技術者達は、コメットの銀翼と快音に切歯扼腕したという。
 
[[エールフランス]]やトランス・カナダ航空などでも運航開始され、懸念された燃費も低廉なジェット燃料と高い満席率で相殺されることが分かり、就航当初の様子見気分は払拭された。[[日本航空インターナショナル|日本航空]]や[[パンアメリカン航空]]などの世界中の一流[[航空会社]]から50機以上のバックオーダーを抱え、量産体制に入ったデハビランド社は前途洋々であった。
 
=== 金属疲労による連続事故 ===
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|align="center"|エンジン、推力
|align="center"|[[デハビランド ゴースト]] 50 Mk1 22.2 kN Schub
|align="center"|デハビランド ゴースト 50 Mk2 22.8 kN Schub
|align="center"|デハビランド ゴースト 50 Mk4 23 kN Schub
|align="center"|[[ロールス・ロイス plc|ロールス・ロイス]] [[ロールス・ロイス エイヴォン|エイヴォン]] 503 32.5 kN Schub
|align="center"|ロールス・ロイス エイヴォン 523 44.5 kN Schub