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Fujiokam (会話 | 投稿記録)
ノイズ 2009年4月23日 (木) 19:11から分割
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'''SN比'''(エスエヌひ)は、[[情報工学]](特に[[通信工学]])において、[[信号 (電気工学)|信号]]量 ({{lang|en|signal}}) と[[雑音]]量 ({{lang|en|noise}}) の[[比]]である。
== 通信におけるS/N ==
 
[[電気通信]]分野では処理対象の情報を[[信号 (電気工学)|信号]] ({{lang|en|signal}}) と呼び、雑音 ({{lang|en|noise}}) との量との比率 (S/N) によって通信の品質を表現する。これを'''信号雑音比''' ({{lang|en|signal noise ratio}}) または'''信号対雑音比''' ({{lang|en|signal to noise ratio}}) といい、対数表現の dB([[デシベル]])で表す。'''S/N'''、'''SNR'''、'''SN比'''(エスエヌひ)と略すことが多い。「/」を単なる略記の記号({{lang|en|coupling with}} を {{lang|en|c/w}} と書くような)とみなし、「比」を加えて'''S/N比'''と書くこともある。
'''信号雑音比''' ({{lang|en|signal-noise ratio}}) または '''信号対雑音比''' ({{lang|en|signal-to-noise ratio}}) の略。'''S/N比'''、'''SNR'''、'''S/N'''とも略す。
 
{{lang|en|desired signal to undesired signal ratio}}、{{lang|en|D/U ratio}} ともいう。「信号」を[[搬送波]]とした場合は、[[搬送波対雑音比]] ({{lang|en|Carrier to Noise ratio}}) あるいは C/N (シーエヌ、CN比、CNR とも)といい、[[デジタル]]信号伝送では主にこちらを使う。
 
SN比が高ければ伝送における雑音の影響が小さく、SN比が小さければ影響が大きい。SN比が大きいことをSN比がよい、小さいことを悪いとも言う。
S/Nは以下の定義式で定義される。
 
:<math> \mathrm{SNR} = \frac { P_\mathrm{signal} }{ P_\mathrm{noise} } = \left ( \frac { A_\mathrm{signal} }{ A_\mathrm{noise} } \right )^2 </math>
==定義==
''P''は[[電力]]、''A''は振幅の[[実効値]]([[二乗平均]])を示す。
SN比は、信号の[[分散]]を雑音の分散で割った値である。
 
SN比で考える信号と雑音の定義は、何に着目しているかによる。見方によっては、通常「雑音」とされている成分に着目する場合など、逆転することさえありうる。雑音は[[確率過程]]とも限らない。
 
また、考えるのは、真の信号と真の雑音の分散である。真の値が得られず測定値しかない場合は、不偏分散で代用する必要がある(データ数が多い場合はほとんど影響しないが)。実測されるのは S+N であり、これと S を混同しない注意も必要である。
 
数式では
:<math> \mathrm{SNR}S / N = \frac { P_\mathrm{signal} S }{ P_\mathrm{noise} N } = \left ( \frac { A_\mathrm{signal} S }{ A_\mathrm{noise} N } \right )^2 </math>
と表される。分散は[[電気工学]]では[[交流]]成分の[[電力]](パワー)となるので、''P'' で表している。[[平均値]]に相当する[[直流]]成分を除いた、交流成分のみを考慮する。''A''は[[偏差]]の[[実効値]]([[二乗平均]])で、電気工学では交流成分の[[電流]]になる。
 
分野や[[物理量]]に関わらず電力やパワーと呼び ''P'' で表すことが多いが、実際は電力とは限らず、たとえば[[映像]]では[[輝度]]であり、[[測定]]では[[長さ]]や[[質量]]などさまざまな物理量でありうる。
 
==単位(デシベル)==
{| class="wikitable" align="right"
|+よく使われる値の対比
!dB!!電力比!!電流比
|- align="center"
|0||1||1
|- align="center"
||3.010||2||1.414
|- align="center"
||6.021||4||2
|- align="center"
||10||10||3.162
|- align="center"
||20||100||10
|- align="center"
||40||10000||100
|- align="center"
||60||100000||1000
|- align="center"
||90||10億||31623
|}
多くの信号はダイナミックレンジが非常に広いので、通常SNRSN比電力比率の[[常用対数]](10を底にした[[対数]])で表現される。ただし、単位には[[デシベル]] (dB) を使うので、常用対数の10倍の数値で示すになる振幅電流比率で考えれば20倍である。
:<math> [S / N]_\mathrm{SNR [dB]} = 10 \log_{10} \frac { P_\mathrm{signal} S }{ P_\mathrm{noise} N } = 20 \log_{10} \frac { A_\mathrm{signal} S }{ A_\mathrm{noise} N } </math>
 
==SN比と通信効率==
{{main|シャノン=ハートレーの定理}}
 
伝送路の[[通信路容量]]は、ノイズが[[正規分布]]の場合、[[シャノン=ハートレーの定理]]より
 
:<math> C \le B \log_2 \left( 1+\frac{S}{N} \right) </math>
 
で表される。''B'' は[[帯域幅]]である。等号は通信方式が理想的な場合に成り立つ。
 
SN比が高いほど通信効率がよくなる。また <math>S \gg N</math> ならば
 
:<math> C \le 0.332 [S / N]_\mathrm{dB} B </math>
 
と表せ、通信効率はSN比をデシベルで表した値に比例する。
 
{{tech-stub}}
 
{{DEFAULTSORT:えすえぬひ}}
多くの信号はダイナミックレンジが非常に広いので、通常SNRは電力比率の[[常用対数]]で表現される。ただし、単位には[[デシベル]]を使うので、常用対数の10倍の数値で示す。振幅比率で考えれば20倍である。
[[Category:無次元数]]
:<math> \mathrm{SNR [dB]} = 10 \log_{10} \frac { P_\mathrm{signal} }{ P_\mathrm{noise} } = 20 \log_{10} \frac { A_\mathrm{signal} }{ A_\mathrm{noise} } </math>
[[Category:情報理論]]
[[Category:データ転送]]
 
[[de:Signal-Rausch-Verhältnis]]
S/Nが大きいほど通信品質が良好であることを示す。但し、実際の通信では無信号時には雑音のみ (N) であるが信号を受信した際には信号と雑音が重畳されている(すなわち S+N )であるため、測定値は (S+N)/N で表すことが多い。S/Nが高い場合はS/Nと(S+N)/Nは実用上等しいが、低い場合は異なる。例えば S/Nが 0dB(すなわち信号とノイズの電力が等しい)場合でも (S+N)/N は 3dB(電圧で√2倍、電力で2倍)になるため、通信方式によっては情報伝達が可能である。
[[en:Signal-to-noise ratio]]
[[es:Relación señal/ruido]]
[[fi:Signaali-kohinasuhde]]
[[fr:Rapport signal sur bruit]]
[[he:יחס אות לרעש]]
[[hu:Jel-zaj viszony]]
[[it:Rapporto segnale/rumore]]
[[ko:신호 대 잡음비]]
[[nl:Signaal-ruisverhouding]]
[[nn:SNR]]
[[pt:Relação sinal-ruído]]
[[ro:Raport semnal/zgomot]]
[[ru:Отношение сигнал/шум]]
[[sv:Brusvärde]]
[[zh:信噪比]]