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'''共犯'''(きょうはん)とは、[[正犯]]に対置される概念であり、複数人が同一の犯罪に関与する形態をいう。
 
== 共犯の分類 ==
共犯は'''必要的共犯'''と'''任意的共犯'''に分かれる。
後者には共同正犯、教唆犯、幇助犯の3つが属する(これらを総称して'''広義の共犯'''といい、特に教唆犯と幇助犯の2つのみを指して'''狭義の共犯'''という)。
さらに、近年においては、混合惹起説の有力化に伴って従属性の二義性も指摘されている。すなわち、従属性には必要条件としての従属性と連帯性としての従属性があるというものである。例えば、要素従属性は前者の問題とされる。2つの意味の区別は、独立性・(必要条件としての)従属性と個別性・連帯性を分離し、惹起説を前提にしつつ個別的要素についての要素従属性を承認する混合惹起説の論者にとって特に重要だからである。
 
== 共犯の処罰根拠 ==
共犯がなぜ処罰されるのかということが盛んに論じられている(ここでいう共犯とは、狭義の共犯(すなわち教唆犯と幇助犯)を含むことが前提であるが、さらに共同正犯を含めるかについては争いがある。)。これを'''共犯の処罰根拠'''の問題という。共犯の処罰根拠についての学説の分類には争いがあるが、ここでは、代表的な五分説を説明する。もっとも、これはドイツにおける分類であり、必ずしも日本における学説状況とは対応しない。
 
===  責任共犯説(責任共犯論、堕落説)  ===
共犯(特に教唆犯)は(法益侵害への加功に加えて)正犯者を誘惑・堕落させたために処罰されるべきだという立場である。
現在では支持者は少ないが、伝統的な古典派はこれに近い見解を採っていた。極端従属形式に至る。
 
===  不法共犯説(不法共犯論、違法共犯論)  ===
共犯は正犯の不法(構成要件該当性+違法性)を惹起したために処罰されるべきという立場である。違法論のバリエーションによってさまざまな説がここに分類される。例えば、(二元論を含む)[[行為無価値論]]からは行為無価値惹起説が採られたり、二元論からは(法益侵害も処罰根拠に含める)二重の不法内容の理論が唱えられたりする。[[結果無価値論]]ないし二元論から唱えられる修正惹起説(後述)もこの一種とされることもある。制限従属形式に至る。
 
===  惹起説(因果共犯論)  ===
共犯が処罰されるのは、共犯自身が違法に法益侵害結果を惹起するからだとする見解。
この見解には、さらに純粋惹起説、修正惹起説、混合惹起説の3つがある。
 
**'''純粋惹起説'''(独立性志向惹起説)
*:共犯自身が違法かつ有責に法益を侵害することが処罰根拠であるとして、正犯の構成要件該当性は不要とする(違法性は要求する見解が多い)。[[限縮的正犯概念]]を前提として正犯と共犯の区別を行為類型の差に求め、[[要素従属性]]が緩和されるだけでなく、[[正犯なき共犯]]をも認める(拡張的共犯概念)。また、[[共犯なき正犯]]も肯定する。日本では関西系の結果無価値論者に支持者が多い。従来は[[共犯独立性説]]に立つ近代派([[牧野英一]]ら)によって支持されていた。
 
**'''修正惹起説'''(従属性志向惹起説)
*:違法の連帯性を前提として、共犯が正犯とともに法益侵害結果を惹起したことに処罰根拠を求める。共犯自身が違法かつ有責であるだけでなく、正犯が構成要件に該当し違法に法益侵害結果を惹起することを要求する。制限従属性を堅持するため、不法共犯論との差異はほとんどないと言われる。我が国では、これを元に要素従属性を緩和する見解(「第三の惹起説」と呼ぶ論者もいる。)が有力に唱えられている。正犯なき共犯も共犯なき正犯も否定する。
 
**'''混合惹起説'''
*:違法の相対性を承認し、共犯が処罰されるのは正犯の構成要件該当性及び違法性を前提とした(制限従属性)共犯自身の違法性に基づくとする。現在最も有力な見解である。正犯なき共犯は否定し、共犯なき正犯は肯定する。
 
== 共犯の本質 ==
 
*完全犯罪共同説
*:各行為者の主観面において同一の構成要件を実現しようとする意思を要求する見解である。例えば、AとBが共同実行の意思をもって甲に対して殴る蹴るの暴行を加えて死に至らしめた場合、Aが殺人の故意をもって行い、Bが傷害の故意をもって行っていれば共犯は不成立となる。
 
*部分的犯罪共同説
*:各行為者の主観面が一致していなくても侵害された法益が一致する部分で共犯の成立を認める見解である。上記の例の場合、Aには殺人罪、Bには傷害致死罪が成立し、さらに、傷害致死罪の限度で共同正犯となる。また、窃盗を教唆したところ被教唆者が強盗を犯した場合のような'''共犯の過剰'''については、過剰結果については共犯成立を否定し、窃盗罪の範囲で教唆犯を認める。
 
=== 行為共同説 ===
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