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'''ケリー・レイド'''（'''Kerry Reid''', [[1947年]][[8月7日]] - ）は、[[オーストラリア]]・モスマン出身の元女子プロ[[テニス]]選手。[[1977年]]の[[全豪オープン]]女子シングルス優勝者で、[[1972年]][[全米オープン (テニス)|全米オープン]]の準優勝もある。女子ダブルスでも[[1968年]]の[[全豪オープン|全豪選手権]]（当時の名称）と[[1978年]]の[[ウィンブルドン選手権|ウィンブルドン]]で優勝した。フルネームは ''Kerry Ann Melville Reid'' （ケリー・アン・メルビル・レイド）という。旧姓は「ケリー・メルビル」（Kerry Melville）というが、ラズ・レイド（Raz Reid）と結婚した。種々のテニス文献の中でも、彼女の名前表記はさまざまに異なっているが、本記事では[[1977年]]全豪オープンテニス (1月)|1977年全豪オープン]]優勝時の、最も広く知られた「ケリー・レイド」を見出しとして記載する。[[WTA]]ツアーでシングルス通算22勝、ダブルス12勝を挙げた。身長166cm、体重57kg、右利き。

ケリー・メルビルの選手生活の最初期は、テニス史上最大の転換期である「オープン化措置」（[[グランドスラム (テニス)|テニス4大大会]]にプロ選手の出場を解禁すること）の実施と重なっていた。この措置が実施された[[1968年]]以後の時代を、テニスの「[[オープン化時代]]」（Open Era）と呼び、それ以前の時代とは明確に区別している。オープン化時代が始まる前から、ケリー・メルビルは[[1966年]]に「全米クレーコート選手権」の女子ダブルス部門で優勝し、[[1967年]]から女子テニス国別対抗戦「フェデレーション・カップ」（現在の名称は[[フェドカップ]]）の[[オーストラリア]]代表選手となった。[[1968年]]から「オープン化措置」が実施され、地元オーストラリア開催の4大大会は[[1969年全豪オープンテニス|1969年]]から「[[全豪オープン]]」の名称となる。その翌年、[[1970年]]の[[1970年全豪オープンテニス|全豪オープン]]でケリー・メルビルは初めての女子シングルス決勝に進出したが、[[マーガレット・スミス・コート|マーガレット・コート]]夫人に 1-6, 3-6 で敗れて準優勝に終わっている。（コート夫人はこの勝利を皮切りに、女子テニス史上2人目の「[[グランドスラム (テニス)|年間グランドスラム]]」への道を歩み始めた。）[[1972年]]の[[1972年全米オープン (テニス)|全米オープン]]では、2度目の4大大会決勝進出で[[ビリー・ジーン・キング]]夫人に 3-6, 5-7 で敗れ、ここでも準優勝で止まった。その後、彼女は同じテニス選手のラズ・レイドと結婚した。

[[1977年]]の[[全豪オープン]]は、年頭の[[1977年全豪オープンテニス (1月)|1月開催]]と年末の[[1977年全豪オープンテニス (12月)|12月開催]]の2度行われた。コート夫人に決勝で敗れてから7年後、既婚選手となったケリー・メルビル・レイドは年頭の1月開催の大会で優勝を果たし、決勝で同じ[[オーストラリア]]の[[ダイアン・フロムホルツ]]を 7-5, 6-2 で破った。年末の12月開催の大会では、出産から復帰したばかりの[[イボンヌ・グーラゴング|イボンヌ・グーラゴング・コーリー]]に準決勝で敗れ、大会2連勝を逃した。

その他の4大大会シングルス成績は、[[1967年]]の[[1967年全仏オープンテニス選手権|全仏選手権]]（この年はまだ「オープン大会」ではなかった）と[[1974年]]の[[1974年ウィンブルドン選手権|ウィンブルドン]]でベスト4進出がある。全仏でベスト4に入った時のケリー・メルビルはまだ19歳の少女で、準決勝で地元[[フランス]]の[[フランソワーズ・デュール]]に 6-8, 3-6 で敗れた。[[全仏オープン]]からは早く撤退し、最後の出場は[[1972年全仏オープンテニス|1972年]]の4回戦敗退であった。[[1974年]]の[[1974年ウィンブルドン選手権|ウィンブルドン]]では準決勝で第2シードの[[クリス・エバート]]に 2-6, 3-6 で敗れたが、その勝ち上がりの過程では1回戦で[[オランダ]]の[[ベティ・ストーブ]]に勝ち、3回戦で[[日本]]の[[沢松和子]]選手を破っている。

ケリー・メルビル・レイドは[[グランドスラム (テニス)|4大大会]]の女子ダブルスでも、[[1968年]]の[[1968年全豪オープンテニス選手権|全豪選手権]]（当時の名称）と[[1978年]]の[[1978年ウィンブルドン選手権|ウィンブルドン]]で優勝している。テニス4大大会が「オープン化措置」のもとで開かれるようになったのは、[[1968年]]の[[1968年全仏オープンテニス|全仏オープン]]以後であるため、メルビルが同じ[[オーストラリア]]の[[カレン・クランツケ]]とのペアで優勝した大会は「全豪選手権」の名称であり、「オープン化時代」に入る前の最後のイベントであった。それから10年後、レイドは[[1978年]]の[[1978年ウィンブルドン選手権|ウィンブルドン]]で[[ウェンディ・ターンブル]]とペアを組んで優勝した。夫のラズ・レイドとの混合ダブルスでは、[[1977年]]の[[1977年ウィンブルドン選手権|ウィンブルドン]]でベスト8に入っている。

レイドは[[1979年]]までフェデレーション・カップの[[オーストラリア]]代表選手を務め、この年を最後に競技生活の第一線から退いた。その後、[[1983年]]から[[1985年]]まで4月の[[アメリカ合衆国|アメリカ]]・[[サウスカロライナ州]]「ヒルトンヘッド」大会のみに出場したが、[[1985年]]4月のヒルトンヘッド大会を最後に現役を引退した。