「戦史 (トゥキュディデス)」の版間の差分

「[[アテナイ帝国]]」の興隆と衰退、[[ペロポネソス戦争]]の経過を記録した本書は全8巻からなる（[[マルケリノス]]の「トゥキュディデス伝」によれば13巻に分けた者もいるが、多くは8巻としているようである）。なお、題名は後世に付けられたものであり、『歴史』、『ペロポネソス戦争史』とも呼ばれる。本書は客観的かつ実証的な叙述で知られ、物語的叙述である[[ヘロドトス]]の『歴史』と対比されることが多い。また、本書の随所に現れる政治家や将軍たちの演説もその大きな特徴の一ひとつである。

『戦史』はペロポネソス戦争の全史を記述するはずであったが、[[紀元前411年]]の記録を以って突然中断し未完となった。なお、執筆年代について一気に書いた説と少しづずつ書き溜めた説とがあり、さらにトゥキュディデスは[[紀元前395年]]に死んだことから中断を彼の死と直接に結びつけるのは危険である。執筆作業は[[クセノポン]]に引き継がれ、『[[ギリシア史]]（ヘレニカ）』としてペロポネソス戦争の記述は完成した。