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'''平山論文'''(ひらやまろんぶん)とは、1981年1月17日平山雄が[[BMJ]]誌より発表され[[受動喫煙]]と[[肺癌]]の係を見出した、する世界初の[[論文]]。「新分野を開拓するような公衆衛生への貢献」のひつとして評価されている。[[受動喫煙]]の可能性を世界で初めて提唱したとされる論文である。
 
同論文は、「新分野を開拓するような(ground-breaking)[[公衆衛生]]への貢献」のひとつとして評価されている<ref>Elisa Ong, Stanton A. Glantz. Hirayama’s work has stood the test of time. Public Health Classics. No.7 78(7),2000. </ref>。
 
==論文の概略==
厚生省の委託研究として行われ、1981年1月17日平山雄により発表された。
1981年1月17日、平山雄により、「重喫煙者の非喫煙妻は、[[肺癌]]のリスクが高くなる:[[日本]]における研究」、と題され、[[BMJ]]誌に掲載された。
40歳以上の91540人の非喫煙日本人妻を14年間(1966-79)追跡する[[コホート]][[研究]]の結果を発表したものである。また[[BMJ]]誌にも掲載された。
 
平山調査、40歳以上の91540人の非喫煙日本人妻を14年間(1966-79)追跡する[[コホート]][[研究]]を行っていた。妻の[[死亡率#標準化死亡比|標準化死亡比]]を夫の[[喫煙]][[習慣]]に関して評価したところ、重喫煙者の妻ほど、[[肺癌]]で死亡するリスクが高いを見出発表した。受動喫煙環境に置かれている妻91,540人の内、肺癌死亡に至った者は174人という調査結果となった。さらに、夫の[[喫煙]]と妻の[[肺癌]]による死亡との間には[[用量反応関係]]が存在すると[[因果関係]]示唆した。夫が40-59歳の[[農業]]従事者の場合にリスクは特に高くなると発表した。
 
しかし現在では、平山の調査内容は偏りが大きく統計学的にはとても許容できない内容となっており、この調査自体は様々なデータの内の1データという評価となっている。 しかし世界ではじめて受動喫煙の存在を世間に知らしめたという事から高い評価を得ている。
同じ1981年に、[[受動喫煙と肺癌の関係]]に関する別の2[[研究]]が、[[ギリシャ]]・[[アメリカ合衆国|米国]]の研究者によって発表され、共に[[受動喫煙]]で[[肺癌]]リスクは上昇するとしたが、[[アメリカ合衆国|米国]]の研究は、その有意性を見出せなかった。
 
なお、平山論文では、夫の[[飲酒]][[習慣]]についても追跡を行っていたが、飲酒については肺癌を含めた妻の[[死亡]][[原因]]に対する影響は見出されなかった。
 
同じ1981年に、[[受動喫煙と肺癌の関係]]に関する別の2[[研究]]が、[[ギリシャ]]・[[アメリカ合衆国|米国]]の研究者によって発表され、共に[[受動喫煙]]で[[肺癌]]リスクは上昇するとしたが、[[アメリカ合衆国|米国]]の研究は、その有意性を見出せなかった。
==喫煙科学研究財団の助成研究による批判==
[[日本たばこ産業株式会社]]の出資によって設立された[[喫煙科学研究財団]]の助成を受けた春日斉は、「受動喫煙に関する基礎的研究」において、「受動喫煙の可能性を初めて提唱したことには敬意を表するが、当時の肺がんの診断をとってみても、死亡診断書によるものが大半で肺がんの組織学的データはまれであり、誤分類、交絡変数の介入があまりにも多く、信頼に値しないのである。」と主張している<ref>[http://www.srf.or.jp/histoly/papers/21.html 喫煙科学研究財団] 春日斉-受動喫煙に関する基礎的研究-</ref>。
なお、たばこ産業による研究助成については、1997年及び2007年に世界医師会が採択した「タバコ製品の有害性に関する世界医師会声明」によって「タバコ産業からいかなる資金も教育的物資ももらわないこと」との要請が行われているなど<ref>[http://www.nosmoke55.jp/data/0712wma.html]世界医師会「タバコ製品の有害性に関する世界医師会声明」和訳</ref><ref>[http://www.wma.net/e/policy/h4.htm]世界医師会「タバコ製品の有害性に関する世界医師会声明」原文</ref>、利害相反の面から問題が指摘されている。
 
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==たばこ産業による陰謀==
1970年代から、たばこ産業は[[たばこ産業による喫煙擁護戦略#受動喫煙の有害性を否定する|受動喫煙の有害性を否定する]]宣伝活動を行ってきた。1981年に平山論文が発表されると、たばこ産業は巨額の資金を投入し、平山論文を貶める宣伝活動を世界規模で展開したと言われている。
 
:''たばこ産業による他の活動の詳細は、[[たばこ産業による喫煙擁護戦略]]を参照''
 
===たばこ産業が平山論文を批判する宣伝を開始===
:平山論文が発表された後、日本人2人が、たばこ産業への協力を申し出てきた。これを
::「平山らが主張してきたことと反対のデータを作り出すチャンス」<ref>Philip Morris documents. Bates No 2023544456.</ref>
:と考えたたばこ産業は、平山論文と反対のデータを示す研究論文作成に着手。また一方では、平山論文を貶める宣伝を開始、数百万ドルにのぼる大金を投入した<ref> Glantz S. Tobacco industry response to the scientific evidence on passive smoking. In:Proceedings of the 12th World Conference on Tobacco and Health 1983, Winnipeg, Manitoba: 287–292. </ref>。たばこ産業は、平山論文の正しさを知りつつも<ref>Wells J, Pepples E. Re: Smoking and health—Tim Finnegan. Brown and Williamson, 1981 (memorandum 24 July 1981.</ref><ref>Barnes D et al. Environmental tobacco smoke. Journal of the American Medical Association, 1995, 274: 248–253.</ref>、疫学者ネイサン・マンテル(Nathan Mantel)に、平山論文批判の執筆を依頼し、それを用いて米国民の80%に届く大キャンペーンを行った<ref>Chilcote cites growing need for unified action. United States Tobacco Journal, 8 May 1983.</ref>。
 
== 問題点の指摘 ==
===学界が平山論文を支持===
[[日本たばこ産業株式会社]]の出資によって設立された[[喫煙科学研究財団]]の助成を受けた春日斉は、「受動喫煙に関する基礎的研究」において、「受動喫煙の可能性を初めて提唱したことに敬意を表するが当時の[[がんガン]][[診断をとってみても、]]が死亡診断書によるものが大半で肺がんガンの組織学的データはまれであること、誤分類、交絡変数の介入があまりにも多い事、それらを例に挙げ、信頼に値しないのであ内容として問題を指摘している。また同時に、[[受動喫煙]]の可能性を初めて提唱した主張してこの論文を評価もしている<ref>[http://www.srf.or.jp/histoly/papers/21.html 喫煙科学研究財団] 春日斉-受動喫煙に関する基礎的研究-</ref>。
:ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル誌は、たばこ産業による一般人への平山論文批判の大規模宣伝に注目し、平山論文に関する議論を10月に同誌上で再開した。同誌編集部は、同誌ではなくたばこ会社に宛てられたマンテルの批判文を掲載する、という例外的な手段をとることとなった。誌上では、平山や他の科学者らが、マンテルを論破している<ref>Non-smoking wives of heavy smokers have a higher risk of lung cancer: correspondence. British Medical Journal, 1981, 283: 1464–1466.. </ref><ref>Non-smoking wives of heavy smokers have a higher risk of lung cancer: correspondence. British Medical Journal, 1981, 283: 914–917.</ref>。
 
また獨協医科大学の名取晴彦は、平山論文は結論だけが一人歩きし、正しく内容が吟味されていないだけではないかと、同問題を指摘している。
===裁判所「たばこ産業による宣伝は虚偽」===
:たばこ産業の展開する平山論文批判は、世界中に及んだ。オーストラリアでは、豪州消費者団体連合会(the Australian Federation of Consumer Organizations)が豪州のたばこ会社を、誤解を広める宣伝をしていることで、裁判所に訴えた。その裁判の結果、たばこ会社による批判宣伝は虚偽であり、誤解を招くと判断され、たばこ会社は敗訴した<ref> Tobacco litigation: AFCO v. TIA, the case against passive smoking. Redfern, Australia, Legal Books, 1991. </ref>。
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==受動喫煙と肺癌の関係に関するその後の研究==
受動喫煙の人体への影響に関する研究は、[[疫学]]・[[毒物学]]などの分野を中心に進んでいる。2006年[[米国公衆衛生総監報告]]によると、受動喫煙による健康被害が確かに存在する旨が発表された<ref name="2006SG">2006 Surgeon General's Report—The Health Consequences of Involuntary Exposure to Tobacco Smoke</ref>。各国において[[医学]]・[[公衆衛生]]などの関連諸学会・公衆衛生機関などは[[予防]]の観点から、受動喫煙防止を要望・推進している。しかし、禁煙を提唱する学会・公衆衛生機関の動きに対し、たばこ産業や一部識者による反対も存在する。
 
国際的な受動喫煙防止意識の高まりは[[たばこ規制枠組み条約]]として形となり、日本においても[[健康増進法]]などで具体化されつつある。また、受動喫煙被害に関する裁判も行われている。
 
== 参考文献 ==
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