「主体と客体」の版間の差分

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Clinamen (会話 | 投稿記録)
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subjectum(サブジェクト)は、下に投げられたものという語構成のラテン語で、アリストテレスのヒュポケイメノン(ヒュポ+ケイメノン 下に置かれたもの、基体)の直訳に由来し、属性がそこにおいて属すべき基体を意味した。
 
現象の属性・形質・様態は変化しうるものであるから、その同一性を担うものではあり得ない、という分析から、それらの特性を皿やお盆や机のように上に載せている下に置かれたものがあって、載せられたものは変化するが載せているものは不変である、という発想が生じ、こうして現象(の同一性)の基盤であって、それ自体は現象としては現れない、[[実体]]という概念が立てられた。なお、この発想は主語と述語、という印欧語に特徴的な文法構造にも影響されている
 
デカルトの懐疑論的な、現象主義の枠組みにおいては、認識の向こう側に存在する外在的な実体というものが方法論的に疑われた。かわりに、いわば認識の手前に位置するコギト(思惟する我)こそが、現象や観念(idea)の基体(subject)、すなわちその同一性を担う、存立基盤であると見なされた。こうして、彼以降、subjectには'''主観'''という意味が発生した。この傾向はカントにおいてよりはっきりと顕著になる。