「トロンボテスト」の版間の差分

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Montokuda (会話 | 投稿記録)
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== 国際感度指標(INR)==
トロンボテスト(TT)あるいはプロトロンビン時間(PT)の凝固検査に用いている組織因子(あるいはトロンボプラスチン)という動物臓器種が異なるため、凝固時間にバラツキや種特性の差異が観察される。そこで、上述にも示したが、国際血栓止血学会(ISTH)での標準化委員会において、市販各試薬の特異性のバラツキを算術的に補正するために導入されて現在に至ったのがINR(International”INR”(International Normalized Ratio)である。ワルファリンの効果判定の指標は、北米での臨床研究の成果により、INRによって検査結果が報告される時代になってきているが、後述するように、人種(モンゴロイド、コーカシアン、アフリカン)によって、INRの適用範囲がINR=2~3、あるいは INR=4~7など、モニタリングする領域が異なってくる。白人(コーカシアン)では比較的にINR>5であっても出血しにくい傾向があることも経験的に知られている。したがって、北米でのINRをそのまま日本人に適用することは危険であることも推測される。 なお、下記の計算式で表される。
 
仮に世界中のPT試薬のISI値が"1.0"で普及する時代になると、検査結果は約40年前のPT比と同じ結果報告になることを 欧州の臨床家 Denson らが言及している。残念ながら、PT試薬の感度(=ISI)や測定レンジは均質化するが、PT試薬が保有する生物学的製剤としての特異性正確性の是正には限界があることも理解しなければならない。
また、北米を中心としたINRの標準化を我が国にそのまま適用できるとは言い難い。近年、CYP2C9という肝代謝酵素において人種(モンゴロイド、コーカシアン、アフリカン)の差が明確になってきており、遺伝多型の存在により、個人個人のワルファリンの投与量やINRにも影響を与えることが明白になってきた。