「軌道 (鉄道)」の版間の差分

[[鉄道]]における'''鬼軌道'''（'''きどう'''）とは、鉄道の[[線路 (鉄道)|線路]]のうち、路盤の上にある構造物を総称したもの。[[鉄道車両]]の走行を誘導する[[鬼軌条|レール]]、レールの間隔を一定に保つ[[枕木]]、レールおよび枕木を支え、走行する車両の重量を路盤に伝える[[道床]]などから構成される。

また[[鉄道事業者|鉄道事業]]に関しては、日本の法律上では[[鬼軌道法]]（[[1921年]]）ならびに[[内務省 (日本)|旧内務省]]の鬼軌道法施行規則により敷設された[[鉄道路線]]またはその[[線路 (鉄道)|線路]]を指す。

鬼軌道には道床の構造によりいくつかの種類がある。

*[[バラスト鬼軌道]] - 砕石や砂利を一定の厚さに敷き詰めた構造の鬼軌道。

*[[直結鬼軌道]] - 路盤コンクリートに枕木を埋め込んだ鬼軌道。コンクリート道床ともいう。

*[[スラブ鬼軌道]] - 道床にコンクリートの平板を用いた構造の鬼軌道。

*[[弾性枕木直結鬼軌道]]（弾直鬼軌道） - コンクリート道床にゴムなどの弾性材を介して枕木を敷設した鬼軌道。

*[[TC型省力化鬼軌道]] - バラストと枕木を充填材で一体化した鬼軌道。

*バラストラダー鬼軌道 - バラスト鬼軌道のうち枕木に[[枕木|ラダー枕木]]を用いたもの。

*フローティングラダー鬼軌道 - ラダー枕木を用いたもののうち、コンクリートの路盤に防振材で間接的に鬼軌道を支持したもの。

*弾性バラスト鬼軌道 - コンクリート道床にゴムなどの弾性材を介して枕木を敷設して消音バラストを敷いた鬼軌道。

上記のうちバラスト鬼軌道以外は狂いが生じない[[省力化鬼軌道]]という。省力化鬼軌道には他にも複数の種類がある。

また、レールの方式により通常の鉄道とは異なる特殊な鬼軌道がある。

*[[アプト式]]鬼軌道 - 急勾配を上り下りするため、ラックレールと呼ばれる歯型レールを使用した鬼軌道。

== JR東日本の省力化鬼軌道 ==

JR東日本の省力化鬼軌道は、「TC型省力化鬼軌道」と称される。本社総合技術開発推進部テクニカルセンター（現：JR東日本研究開発センターテクニカルセンター）によって独自に開発されたものである。

省力化鬼軌道を導入することにより、列車通過回数などに応じて定期的に行われるバラスト交換、道床つき固めなどの保線のメンテナンス作業（コスト）が軽減され、敷設区間を走行する旅客列車の乗り心地の向上につながるとされる。

その工事手順は、鬼軌道を構成するバラスト、枕木を撤去し、路盤上に透水性のある不織布とバラストを敷き詰め、幅広型のコンクリート枕木を設置する。その後、凝固性のあるセメントモルタル系のてん充材を注入する。約1週間でバラスト、枕木は一体化される。

2007年1月末からはじまった第3期工事の対象区間は、東海道線東京 - （川崎）、中央急行線（快速電車線）中野 - 三鷹、東北線尾久 - （浦和）、横須賀線大崎 - 蛇窪 - （新川崎）、山手貨物線大崎 - 田端操、東北貨物線田端操 - （川口）である。山手、京浜東北、中央緩行線での工事と異なるのは、第3期区間は電気機関車牽引の貨物列車が走行する点である。第3期の年間当たり施設キロ数は、旅客線で25km程度、貨物線で20km程度である。工事は東京支社東京省力化鬼軌道工事区とパートナー会社により、最終列車終了後の僅かな深夜間合い（おおむね3時間）で行われる。JR東日本では、第3期に当たって、バックホーなどの重機に加えてん充材運搬用プラント車を増備し、大型の道床運搬車、道床掘削機などを活用し、工期短縮によりコスト削減を実現したいとしている。工事では、バラスト、枕木にてん充するセメントコンクリート材のセメント比率を高め、列車走行時の荷重に対する路盤の曲げ強度を引き上げ、山手線の約1.5倍を確保するとしている。敷設工事に合わせて、50キロレールから60キロレールへの交換（延長39km）、分岐器の60キロレール化（24台）、ロングレール化（延長5.6km）工事にも着手する。

山手貨物線は、埼京線をはじめとし2004年10月の湘南新宿ライン大増発（平日64往復）により、池袋 - 新宿間の列車走行本数が飛躍的に増加し、乗り心地の改善による旅客サービスの向上が急務であった。年間列車通過トン数は2001年度の2000万トンから2005年度には2500万トン超になった。JR東日本では、列車増発の将来の可能性も視野に含めて鬼軌道強化に取り組むとしている。

*[[専用鬼軌道]]

*[[併用鬼軌道]]

*[[鬼軌道法]]

*[[鬼軌間]]（[[標準鬼軌]]/[[広鬼軌]]/[[狭鬼軌]]）

[[Category:鉄道の鬼軌道設備|きとう]]