「硫酸ピッチ」の版間の差分

'''硫酸ピッチ'''（りゅうさんピッチ）とは、[[軽油]]を密造する際に発生する副産物の一つで、[[重油]]などに含まれる[[タール]]や油分と[[硫酸]]からなる混合物。<br>

強酸性で強い腐食作用を持つ上、水分と反応すると人体に有害な[[亜硫酸ガス]]を発生させる。ドラム缶に詰められ[[不法投棄]]されることから問題になっている。

[[灯油]]、A[[重油]]は、主に暖房用の燃料として用いられているが、性質が軽油と似ており、自動車用[[ディーゼルエンジン]]の燃料として使うことが横行した。軽油は、その使用用途から高い税率が設定されており、灯油、A重油を用いることで税金分を浮かすことができるからである。<br>

もちろん、このような行為は立派な[[脱税]]行為であることから、灯油、A重油には[[クマリン]]という特殊な香料が添加され、公道での検査を通じて脱税行為の摘発を行うようになった。このクマリンを除去し、不法な軽油を密造する過程で発生するのが硫酸ピッチである。

硫酸ピッチの処理については、中和作業、高性能炉での焼却など手間が掛かるものであり、ドラム缶1本あたり十万円以上とも言われている。また、硫酸ピッチは、軽油の密造過程以外で生成されることはない特殊な[[廃棄物]]である。密造の発覚を防ぐために、軽油の密造工場で発生する硫酸ピッチは、全量不法投棄されるものと考えて良い<br>。