「一妻多夫制」の版間の差分

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'''一妻多夫制'''(いっさいたふせい)は、一人の女性が複数の男性と[[結婚]]が可能または奨励されている結婚制度。雌が複数の雄と交尾する[[配偶システム]]。雄に育児を任せることも多い。ポリアンドリー。[[一夫多妻制]](ポリジニー)と合わせて[[複婚]](ポリガミー)の一部である。一妻多夫は、[[ヒマラヤ]]近辺のヒトでは減少傾向にあるが、通常の結婚制度である。人間のみならず鳥類・哺乳類全体を見ても、基本的には比較的少ない配偶システムである。[[チベット]]、[[インド]]の南の一部の地方、[[ナイジェリア]]、[[ネパール]]、[[ブータン]]、[[スリランカ]]、[[北極圏]]の一部、[[モンゴル]]地方、[[アフリカ]]と[[アメリカ州]]の先住民、[[ポリネシア]]の複数の共同体で、伝統的な制度として現在でも存続している。実態は一妻多夫というよりは多夫多妻、いわゆる[[集団婚]]と言ったほうが正確な地域もある。主に2つの形態があり、ひとつは父性一妻多夫制 (fraternal polyandry) で、兄弟が一人の女性と結婚する。他は、非父性一妻多夫制 (non-fraternal polyandry) で、夫に親族関係はない。多くの国で、非合法化されているが、伝統的であった地域では、社会的に受け入れられる場合が多い。<br/>
 
人間のみならず鳥類・哺乳類全体を見ても、基本的には比較的少ない配偶システムである。
 
主に2つの形態がある。
;父性一妻多夫制 (fraternal polyandry) :兄弟が一人の女性と結婚する。
;非父性一妻多夫制 (non-fraternal polyandry) :夫に親族関係はない。
 
== 概要 ==
この制度が見られる条件として
*間引きにより男性の人口が女性に比して過度に多い場合。
*経済的に非常に貧しい地域である。すなわち一人の女性とその子供を一人の男性の経済力によって養うことが難しく、複数の男性で支えることにより女性の生活と子供の成長を保証できる。
という条件が必要な場合が多い。また、制度として一妻多夫が存在する社会においても、夫に親族関係のない非父性一妻多夫に比べると、兄弟や血縁のある男性が、一人の妻と結婚する父性一妻多夫制という形態の方が、比較的多い。
という条件が必要な場合が多い。<br/>
また、制度として一妻多夫が存在する社会においても、夫に親族関係のない非父性一妻多夫に比べると、兄弟や血縁のある男性が、一人の妻と結婚する父性一妻多夫制という形態の方が、比較的多い。
 
かつては世界各国で見られた現象であるが、一妻多夫は[[人類学者]]の間で物議を醸す問題である。世界各国において、大部分の伝統的社会では徹底的に変更もしくは破壊された。したがって、過去の一妻多夫の発生率に関しては正確に憶測する事が困難である。
 
多くの国で非合法化されているが、伝統的であった地域では社会的に受け入れられる場合が多い。
 
現代にあまり見られないのは、男性は得た配偶者の数が繁殖の成功度、すなわち子供の数に直結するが、女性は配偶相手の数を増やしたとしても直接に繁殖成功度に結びつくわけではないので、女性が多くの配偶者を求める進化的な淘汰圧は働かなかったと考えられるためである。また男性からみても子供の父性が混乱するばかりでメリットはあまりない。
 
==事例==
また、動物の[[配偶システム]]の中で、1頭の雌に複数の雄が集まって配偶行動を行う場合もこう呼ぶ場合がある。[[モリアオガエル]]などに見られる。[[ミツバチ]]も配偶者の雄を次々変えるので一妻多夫と言われることもある。脊椎動物では、[[タマシギ]]や、[[アカエリヒレアシシギ]]が一妻多夫型の繁殖パターンを持つことが知られており、鳥類全体の約0.4%は一妻多夫型である。
===人間===
 
一妻多夫は、[[ヒマラヤ]]近辺のヒトでは減少傾向にあるが、通常の結婚制度である。[[チベット]]、[[インド]]の南の一部の地方、[[ナイジェリア]]、[[ネパール]]、[[ブータン]]、[[スリランカ]]、[[北極圏]]の一部、[[モンゴル]]地方、[[アフリカ]]と[[アメリカ州]]の先住民、[[ポリネシア]]の複数の共同体で、伝統的な制度として現在でも存続している。実態は一妻多夫というよりは多夫多妻、いわゆる[[集団婚]]と言ったほうが正確な地域もある。
完全な一妻多夫制を持つ生物としては[[チョウチンアンコウ]]がいる。一匹の雌が多数の雄を養うという意味でも完全である。
 
[[江戸時代]]の江戸においては、人口比が圧倒的に男性が多く、町人においては結婚出来る者が限られていた。そのため[[長屋]]の住人は、ひとりの女性が長屋の他の男性とも関係しており、実質的な一妻多夫制によって町内の連帯が保たれていたという説がある。
 
[[1970年代]][[アメリカ合衆国|米国]]において見られた[[ヒッピー]]文化である[[コミューン]]においては、伝統的に、男性中心の社会の多くで見られる、一人の男性が一人の女性だけに縛られないことをある程度許容する制度と同じように、一人の女性が一人の男性だけに縛られないための試みが見られた。[[ポリアモリー]]運動の一部は、この伝統からの流れを汲んでいる。
 
===動物===
また、動物の[[配偶システム]]の中で、1頭の雌に複数の雄が集まって配偶行動を行う場合もこう呼ぶ場合がある。[[モリアオガエル]]などに見られる。[[ミツバチ]]も配偶者の雄を次々変えるので一妻多夫と言われることもある。脊椎動物では、[[タマシギ]]や、[[アカエリヒレアシシギ]]が一妻多夫型の繁殖パターンを持つことが知られており、鳥類全体の約0.4%は一妻多夫型である。
 
完全な一妻多夫制を持つ生物としては[[チョウチンアンコウ]]がいる。一匹の雌が多数の雄を養うという意味でも完全である。
 
== 関連項目 ==
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* [[配偶システム]]
 
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{{DEFAULTSORT:いつさいたふせい}}
[[Category:結婚]]
{{Socsci-stub}}
 
[[ar:تعدد الأزواج]]