「テレコネクション」の版間の差分

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[[18世紀]]後半、ある[[デンマーク]]人の日記に、デンマークの冬が例年より寒いと[[グリーンランド]]は例年より暖かく、その逆もあり得る、ということが記されていた。[[10世紀]]後半から[[15世紀]]ごろには、北欧に点在した[[ヴァイキング]]の間でこのことが知られていたと考えられている。20世紀に入って[[ヤコブ・ビヤークネス]]は、現在でいう「テレコネクション」の大まかなメカニズムを示した。その後、[[1924年]]に[[ギルバート・ウォーカー]]はこの現象に「[[北大西洋振動]]」と名付け、その後長い間研究が進められた。1970年代から1980年代にかけて、[[エルニーニョ]]に関連した研究が進み、[[太平洋]]赤道域の海水温異常が、世界各地の異常気象と連動する仕組みが詳細に解明され始めた。
 
テレコネクションによって気圧が変動すると、世界各地で[[大雨]]、[[洪水]]、[[旱魃]]、高温、低温、[[竜巻]]や[[熱帯低気圧]]の増加・減少などの[[異常気象]]が発生し、人的被害、社会的・経済的被害をもたらすため、いくつかの気象機関や専門研究機関がテレコネクションの発生を予測しようと試みている。PDO、QBO、TBO、SAOなど周期が決まっているものは、比較的容易に予測ができるように思われるが、複数のテレコネクションパターンがそれぞれ影響し合っているため、周期がずれたり規模(気圧の変動幅や変動する地域)が異なったりすることが多い。これは周期が決まっていないENSOなどでも同様である。しかし、ある程度の決まったパターンが判明しており、テレコネクションによる異常を捉えるために世界規模で気温・気圧・風向・風速・水温などの監視体制ができている。国際的な取り組みとしては、[[1985年]]から10年間行われた[[熱帯海洋・全球大気研究計画]](TOGA)によって太平洋赤道域を中心とした監視体制が作られたほか、[[アメリカ海洋大気圏局]]が北米や北大西洋、北太平洋などに監視網を作っている。また、各国機関の研究基地が多数点在する[[南極]]においても、さまざまな観測データをテレコネクションの監視に利用しようとする動きがある。
 
近年、[[地球温暖化]]([[気候変動]])に関する研究が進む中で、テレコネクションやそれに伴う周期的な天候変動が地球の気候に大きな影響を及ぼしていることが分かった。長期的な気象予報の分野では、予報の誤差の原因となるテレコネクションによる天候変動を考慮した予報に関する研究が進んでいる。