「間接強制」の版間の差分

m
編集の要約なし
m
{{law}}
'''間接強制'''(かんせつきょうせい)とは、債務者に対し、金銭の支払を命じるなど一定の不利益を課すことにより心理的に圧迫し、義務の履行を[[強制]]する方法である。
 
日本やドイツで[[債務名義]]成立後の[[強制執行]]の一方法として位置づけられているのに対し、フランスで[[判決]]の中で命じるなど、その位置付けについては各国により違いが見られる。
 
== 日本における間接強制 ==
すなわち、間接強制をなるべく避けることが債務者の人格を尊重することになるという考え方は、一時期の[[フランス法]]に特有のイデオロギーにすぎず、その[[フランス]]においても、後述のように [[:fr:Astreinte|astreinte]] という制度が[[判例]]により確立し、金銭の支払いを命ずることにより債務の実現を間接的に強制することを広く認めるに至っている。つまり、間接強制の劣後的な位置付けは広く見られるものではない。
 
また、債務の履行のために身体を拘束する制度であれば人格の尊重という観点から問題が生じるとしても、心理的に強制をすることまで同視することには疑問があり、場合によっては債務者の意思にかかわらず債務を強制的に実現する直接強制のほうが債務者にとってはショックが大きい場合もありうる。
 
このようなことから、間接強制は広く認められてよいとする見解が主張されるに至った。
 
== 手続法上の位置付け ==
[[民事執行法]](昭和54年法律第4号)が制定される前は、民事訴訟法(明治23年法律第29号)734条に「債務ノ性質ガ強制履行ヲ許ス場合ニ」間接強制を認める旨の規定が存在していたが、ここにいう「強制履行」という語が[[b:民法]]414条|民法414条]]1項にいう「強制履行」と内容が同じものであるか否かにつき見解が分かれた。
 
この点については、間接強制に劣後的地位しか与えない見解が通説化したことに伴い、民法414条1項の「強制履行」とは強制執行の方法のうちの直接強制の意味であるのに対し、民事訴訟法734条の「強制履行」は間接強制の意味であり、同条の解釈としては、不代替作為義務や不作為義務であってかつ強制に適する場合という趣旨と捉えた。このような解釈に対しては間接強制の劣後的地位を認めない見解から批判もされていたが、民事執行法の制定の際には、劣後的地位しか認めない見解を採用し、不代替的作為義務や不作為義務の場合に間接強制ができる旨の規定を置いた([[s:民事執行法#172|同法172条]])。
 
しかし、民事執行法が制定される前から存在する間接強制の劣後的地位に関する有力な批判や、代替的作為義務についても間接強制の方法を採るのが効果的な場合もあるとの指摘等から、間接強制の範囲について見直しがされるようになった。その結果、「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律」(平成15年法律第134号)による民事執行法改正により、物の引渡を内容とする債務や代替的作為義務の場合であっても、債権者の選択により間接強制の方法による[[強制執行]]ができることとされた(改正後の[[s:民事執行法#173|民事執行法173条]])。また、金銭債務については直接強制の方法によるのが原則であることは維持されたが、[[扶養]]義務等にかかる金銭債務については、「民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律」(平成16年法律第152号)による民事執行法改正により、例外的に間接強制の方法によることが認められるに至った([[s:民事執行法#167の15|民事執行法167条の15]])15)
 
== 間接強制の方法を採れない義務 ==
 
=== 債務者の自発的意思によるべき場合 ===
債務の性質上、債務者の自発的意思によらなければ履行ができない場合には、直接強制や代替執行が不可能なのはもちろんのこと、間接強制の方法により心理的圧迫をすることにより履行を強制すること自体が許されず、[[債務不履行]]による損害賠償を請求するほかない。この類型に該当する例としては、[[夫婦]]の同居義務([[b:民法752条|民法752条]])がある。夫婦同居に関する処分は[[家事審判法]]の乙類審判事項に該当し、[[家庭裁判所]]は審判により同居を命じることができるが、間接強制も含め強制執行はできないと解されている(判例)。また、請負契約に基づき芸術家が芸術作品を創作する義務を負った場合、芸術家である債務者の意思を圧迫して強制したのでは債務の本旨にかなった給付ができないとして、やはり間接強制はできないと解されている。
 
=== 履行に第三者の協力が必要な場合 ===
 
=== 意思表示擬制の場合 ===
[[債務名義]]が不動産登記手続義務などの[[意思表示]]を命ずる場合は、当該義務は不代替的作為義務であるため、強制執行の方法としては間接強制によることになる。しかし、民事執行法では、意思表示を命じる[[判決]]等が確定したときや裁判上の[[和解]]等が成立したときは、意思表示が条件に係っている場合等を除き、その確定又は成立の時に意思表示をしたものと擬制される(民事執行法174条1項)。つまり、確定又は成立の時に強制執行が終了していると観念され、債権者側の利益追行行為が残るのみにすぎない。したがって、証券への署名義務など法令上本人が行うことが要求されている場合を除き、間接強制の方法により強制執行をする必要がない。ただし、この点については、そもそも間接強制になじまないとする説明もある。
 
== 日本以外における間接強制 ==
日本やフランスと異なり、金銭の支払だけでなく、債務者の拘禁が可能な点に特色がある。
 
== 関連項目 ==
* [[執行罰]]([[行政上の強制執行]]の一方法であり、間接強制の手法を採るもの)
 
== 参考文献 ==
* [[我妻栄]]『新訂債権総論』岩波書店
* [[中野貞一郎]]『民事執行法〔増補新訂五版〕』青林書院
* 小野瀬厚ほか編著『一問一答 平成16年改正民事訴訟法・非訟事件手続法・民事執行法』商事法務
 
{{DEFAULTSORT:かんせつきようせい}}
[[Category:民事訴訟手続法]]
{{law-stub}}
427

回編集