「硝酸塩」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
溶解度
Xqbot (会話 | 投稿記録)
m ロボットによる 追加: sq:Nitrate; 細部の編集
1行目:
[[Imageファイル:Nitrate-ion-elpot.png|thumb|right|硝酸イオンの[[電位|静電ポテンシャル]]面。赤い部分は黄色の部分よりも静電エネルギーが高いことを示す。負電荷は主に酸素原子上に分布している]]
[[Imageファイル:Nitrate-ion-2D.png|thumb|right|硝酸イオンの構造式。N−O結合は単結合と二重結合の中間の長さ、強さを持つ]]
 
[[無機化学]]において、'''硝酸塩'''(しょうさんえん、nitrate)は、1個の[[窒素]]原子と3個の[[酸素]]原子からなる'''硝酸イオン''' NO<sub>3</sub><sup>−</sup> を持つ[[塩 (化学)|塩]]である。食物、特に野菜から得られる硝酸塩は[[消化器]]で[[亜硝酸塩]]に変換され、これは肉類に多い2級[[アミン]]と反応して発がん性をもつ[[ニトロソアミン]]を生成する。
8行目:
== 性質 ==
硝酸イオンは化学式 NO<sub>3</sub><sup>−</sup> によって表される分子イオンで、[[分子量]]は62.00である。硝酸の共役塩基であり、1個の窒素原子と、それをとりまく3個の等価な酸素原子が平面三角形を構成している。N−O結合距離はほぼ125[[ピコメートル|pm]]である。全体として1価の負電荷を帯びており、各酸素原子はそれぞれ −2/3、窒素原子は +1 の形式電荷を持つ。共鳴構造の例として取り上げられるように、負電荷は3個の酸素原子上に等しく分散している。
<div style="text-align: center">[[Imageファイル:Nitrate-ion-resonance-2D.png|400px|硝酸イオンの共鳴限界構造式]]</div>
 
ほとんどすべての硝酸塩は[[標準状態]]において水に溶ける。これは[[ハロゲン]]化物 MX の場合、電離によりそれぞれ単原子イオン M<sup>+</sup>、X<sup>−</sup> を生じ、回転による[[自由度]]を失うのに伴い[[エントロピー]]が減少するため比較的電離しにくく、陽イオンの種類によっては溶解度が小さいのに対し、硝酸塩MNO<sub>3</sub>では電離したときの自由度の減少が小さく、電離しやすいためである<ref>篠田耕三 『溶液と溶解度』 丸善</ref>。
 
== 水棲生物への影響 ==
地面に近接する[[淡水]]域および[[三角江]]では硝酸塩濃度の上昇が起こることがあり、これは魚の死の原因となる。硝酸塩はアンモニアや亜硝酸塩よりは毒性が低い<ref>Romano, N.; Zeng, C. (2007). "Acute toxicity of sodium nitrate, potassium nitrate and potassium chloride and their effects on the hemolymph composition and gill structure of early juvenile blue swimmer crabs (Portunus pelagicus, Linneaus 1758) (Decapoda, Brachyura, Portunidae)." ''Environmental Toxicology and Chemistry'' '''26''': 1955−1962. </ref>ものの、濃度が30ppmに達すると生長の阻害や免疫系の阻害を起こすことがあり、水棲生物に悪影響を及ぼす。たいていの場合、硝酸塩濃度の上昇は、主に農地あるいは過剰な硝酸塩肥料が残留する地域からの[[表面流出]]によって起こる。高濃度の硝酸塩は[[藻類]]の増殖をも引き起こす。カリウムやリン酸塩、硝酸塩などの[[栄養素]]が増加すると[[富栄養化]]の原因となる。これは[[低酸素症|低酸素]]状態の原因ともなり、生態系においてある種の生物がほかのものより圧倒的に増殖する現象の引き金となる。これらのことから、硝酸塩は[[全蒸発残留物]]を構成する成分のひとつに含まれ、[[水質]]を表す指標として広く用いられる。
 
24行目:
{{reflist}}
 
== 関連項目 ==
{{commonscat|nitrates}}
*[[硝酸エステル]] - 化学式 RONO<sub>2</sub> で表される有機化合物。
62行目:
[[sk:Dusičnan]]
[[sl:Nitrat]]
[[sq:Nitrate]]
[[sr:Нитрат]]
[[sv:Nitrat]]