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[[Image:L'état et la révolution.jpg|thumb|''State and Revolution'', フランス語版、1970年発行]]
『'''国家と革命'''』(Theこっかとかくめい、{{lang-ru|ГОСУДАРСТВО StateИ and the RevolutionРЕВОЛЮЦИЯ}})とは[[1917年]]にロシアの革命家[[ウラジミール・レーニン]]によって著された著作である。
 
==概要==
[[1870年]]に生まれたレーニンは[[1917年]]に勃発した[[二月革命]]を契機にロシアの[[社会主義]][[革命]]の運動を本格的に指導するようになる。本書『国家と革命』は二月革命後の[[ボリシェヴィキ]]弾圧を逃れるために[[ログラード]]の郊外ラーズリフ湖畔に潜伏しながら1917年の8月から9月にかけて執筆され、[[十月革命]]の直後に第1版を発表した著作である。本書の構成は第1章、階級社会と[[国家]]、第2章、国家と革命・1848年から1851年の経験、第3章、国家と革命・1871年の[[パリ・コミューン]]の経験、第4章つづき、第5章、国家死滅の経済的基礎、第6章、日和見主義者による[[マルクス主義]]の卑俗化、第7章1905年と1917年のロシア革命の経験から成り立っており、全体としてレーニンの国家理論と革命運動の方針が記されている。第2版は第2章に新たな節を加えて1918年に発表された
 
本書の構成は
レーニンにとって国家は階級支配を維持する意義がある。このことを示すために[[エンゲルス]]の研究を参照しながら、社会から発生しながらも社会の上位において自らを社会から[[疎外]]する[[権力]]を国家と考える。したがって国家とは階級支配の機関であり、階級の衝突を緩和しながら維持する政治秩序を創出するものである。そしてこのような国家は「死滅」するのではなく、革命において[[プロレタリアート]]によって強制力により「廃絶」されるのである。同時に国家の一部である[[民主主義]]もまた廃絶されなければならない。レーニンは革命とは[[選挙]]に基づいた政権交代ではない暴力革命でなければならないと主張する。
*第1章 階級社会と[[国家]]
*第2章 国家と革命・1848年から1851年の経験
*第3章 国家と革命・1871年の[[パリ・コミューン]]の経験
*第4章 続き
*第5章 国家死滅の経済的基礎
*第6章 日和見主義者による[[マルクス主義]]の卑俗化
*第7章 1905年と1917年のロシア革命の経験
から成り立っており、全体としてレーニンの国家理論と革命運動の方針が記されている。第2版は第2章に新たな節を加えて1918年に発表された。レーニンによれば、第7章は十月革命勃発のために未完に終わったという。
 
レーニンにとって国家は階級支配を維持する意義がある。このことを示すために[[エンゲルス]]の研究を参照しながら、社会から発生しながらも社会の上位において自らを社会から[[疎外]]する[[権力]]を国家と考える。したがって国家とは階級支配の機関であり、階級の衝突を緩和しながら維持する政治秩序を創出するものである。そしてこのような国家は「死滅」するのではなく、革命において[[プロレタリアート]]によって強制力により「廃絶」されるのである。同時に国家の一部である[[民主主義]]もまた廃絶されなければならない(マルクスの初期の著作にある人道主義的な側面をレーニンは無視した)。レーニンは革命とは[[選挙]]に基づいた政権交代ではない暴力革命でなければならないと主張する。この主張のために、レーニンは、[[カール・マルクス|マルクス]]が著書でわずかしか触れていない「[[プロレタリア独裁]]」という用語を「'''民主主義の最高形態'''」として「発見」し、以後の著作で大々的に用いた
 
なお、本書では他のレーニンの著作同様に[[メンシェヴィキ]]、[[カデット]]などの非ボリシェヴィキ団体や[[カール・カウツキー]]などの[[社会民主主義]]者、[[無政府主義]]者らに対して批判を通り越して文字通りの罵詈雑言が並べられている。
==実態==
この書ではプロレタリアートにより「廃絶」されるとされていた国家機構は、実際にはレーニンを中心とするボリシェヴィキ政権の独裁体制に置き換わっただけで、これまで以上に強力な抑圧装置として国民の監視・弾圧を行うこととなった。実際、レーニンは本書の中で、資産家や知識人に対して「人民の大多数が自主的に」統制を行えば、この統制は「真に普遍的・一般的・全人民的なもの」となり、「この統制を避けることはできず、身の置き所が無くなるだろう」と予言していた。
 
[[ドミトリー・ヴォルコゴーノフ]]は、本書は「共産主義の[[ユートピア]]をできるだけもっともらしく書いたもの」であり、「知識のみせびらかし的な、不自然で、実生活から遠いもの」だと批判し、ソ連以降の全体主義体制の元凶の一つとなったと評している。
 
==参考文献==
*[[江口朴郎]]編『世界の名著52 レーニン』中央公論社、昭和41年
*ドミトリー・ヴォルコゴーノフ著『レーニンの秘密』NHK出版、1995年(特に上巻を参照)
 
==外部リンク==
*[http://www.geocities.jp/osaka_multitude_p/gakushuu_bunken/kokkaku_mokuji.html 「国家と革命」全文]
*[http://www2s.biglobe.ne.jp/~mike/lenin2.htm レーニン『国家と革命』の位置づけ-革命ユートピア小説と革命逆ユートピア小説の系譜]
 
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