「1953年問題」の版間の差分

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=== 消滅説 ===
1953年に公表された団体名義の独創性を有する映画の著作物の著作権が、改正法施行時には既に消滅していたという見解は、2003年12月31日と2004年1月1日は「別の日」であるということを根拠とする。「別の日」であるとすると、2003年12月31日に著作権は消滅し、その翌日の改正法施行日である2004年1月1日には、既に著作権は消滅している。改正法附則2条に基づき、1953年公表の映画は[[パブリックドメイン]]日本国内おいては著作権が消滅していることになるので、以後は自由著作権利用できよる保護を受けないことになる。
 
期間計算に関する[[法]]上の通常の扱いでは、2003年12月31日午後12時(24時)と2004年1月1日午前0時は、別時点であり別々の日と認識することが多く、一般的にも、別々の日と考えるのが自然な感覚である。
 
また、著作権法(新旧とも)54条1項および57条は、いずれも「年」によって保護期間を定めている。これは、「年によって期間を定めた」([[民法]]140条)ものであって、「時間によって期間を定めた」(同法139条)ものではない。そして、「年」によって期間を定めた場合には、「その末日の終了をもって満了する」(同法141条)と定める。したがって、保護期間の満了を把握する基本的な単位は、あくまでも「日」であって「時間」ではない。これは、著作権法の文言が、「別の日」説を採るべきことを示唆するものである。
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== 司法判断 ==
2006年、映画『ローマの休日』および『シェーン』(いずれも1953年に公開)を収録した[[パブリックドメインDVD|格安DVDソフト]]を販売していた業者に対し、これらの映画の[[著作権者]]であると主張する米パラマウント・ピクチャーズ社がDVD販売の差止を求める[[民事|民事紛争]]を提起したことから、司法判断によってこの問題に決着がつくこととなった。しかし、パラマウント側はあえて最高裁に対して[[抗告|許可抗告]]を行わなかった。
 
=== 「ローマの休日」事件 ===
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== 立法の趣旨と論点との関係 ==
改正法附則2条は経過措置規定である。り、その立法趣旨は、すでに[[著作権の保護期間]]が満了し、すでに公有に帰したている著作物保護著作権を復活させないためでことにった。2003年12月31日午後12時と2004年1月1日午前0時とを「同時点」とするのも、本来は施行時点の直前までに公有に帰した期間著作権存在消滅ていない著作物に、新たに保護期間が付与されることを説明するためであり、1970年の現行著作権法制定時にも同種の説明により保護期間の延長がなされていた。すなわち、立法趣旨に基づけば、1953年に公表された映画の著作物は、改正規定が施行された2004年1月1日午前0時の直前まで保護されていたことにより引き続き保護されるのであり、「別の日」か「同時点」であるかは無関係のはずであった。にも関わらず「別の日」か「同時点」かが争点となったのは、文化庁が改正法附則2条に「同時点」による文理解釈を示したことにより、解釈の余地が生まれたためであった。(参考文献:作花文雄 『著作権法 制度と政策』442―450頁)
 
== 参考文献 ==