「個体群」の版間の差分

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個体群には、[[個体数]]、個体群密度、[[齢構成]]、出生率、死亡率、その他の属性を持っている。これらを研究するのが'''[[個体群生態学]]'''である。個体群生態学では、特に個体数の問題を中心として扱う。また、個体群は具体的な種を対象とするから、種の性質としての[[生態]]や習性を研究する側面もあり、これを'''個生態学'''(autecology)や'''種生態学'''(species ecology)と呼ぶこともある。また、生態学においては研究対象とする集団の階層が、最小単位の[[個体]]から個体群、[[群集]]、[[生態系]]、[[景観]]という順に上がっていく。
 
個体群の大きさは、個体群の'''分布域'''の大きさ、'''個体数'''の大きさの両方の面がある。もっとも面積と、そこに生育・生息可能な個体数には明らかに関係がある。個体数は、個体群の存続には重要な要素である。個々の個体の生存ではなく、個体群の存続を考えた場合、個体数の少なさは、突発的現象による個体数激減からの絶滅の危機(たとえば[[タケ]]の大量枯死による[[ジャイアントパンダ]]の危機のように)や、[[近親交配]]による悪影響の危険が非常に大きくなる。したがって、同一面積の分布域がある場合でも、それが分断された場合には、絶滅の危機は飛躍的に大きくなる。生息地の分断などで個体群に含まれる個体数が[[最小存続可能個体数]](MVP)以下になると、遺伝的に多様な個体群を長期間維持できなくなるといわれる。
 
個体群の大きさは、最も大きく取れば、その種の分布域ととらえることができる。実際に多くの生物では、個体の移動はその分布域すべてを覆い尽くすものではなく、ある程度の範囲でまとまっていると考える方が自然である(そうでなければ地方変異などが生じるわけがない)。したがって、そのような単位に分けて考えるのが普通である。つまり、ある種の'''個体群'''は、いくつかの'''地域個体群'''に分かれている。個体群を取り上げて言う場合には、このことに注意すべきである。研究対象によっては、ごく狭い範囲を区切ってその対象とする場合もある(ある[[キャベツ]]畑の[[モンシロチョウ]]の個体群など)が、その場合は、より大きな個体群の中から採りだした標本と見ているものである。