「横領罪」の版間の差分

編集の要約なし
m (ロボットによる 追加: ru:Присвоение)
'''横領罪'''(おうりょうざい)は、自己の[[占有]]する他人の物を横領することによって成立する[[犯罪]]。広義の横領罪は、[[刑法]]第二編「罪」第三十八章「横領の罪」(252条~255条)に規定された犯罪すべてを指す。狭義の横領罪は、[[刑法]]252条1項に規定される罪(単純横領罪)のみをいう。自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合にこれを横領したときには、横領罪が成立する(刑法252条2項)。
 
== 犯罪類型 ==
<div style="float: right; clear: right; margin: 0 0 1em 1em; width: 22em; text-align: right; font-size: 0.86em; line-height: normal;">
<div style="border: 1px solid #ccd2d9; background: #f0f6fa; text-align: left; padding: 0.5em 1em; text-align: center;">
</div>
 
=== 横領条文 ===
*単純横領罪([[刑法]][[b:刑法第252条|第252条]])
#自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。
#自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
 
*業務上横領罪([[刑法]][[b:刑法第253条|第253条]])
:業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
 
*遺失物等横領罪([[刑法]][[b:刑法第254条|第254条]])
:遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
 
== 保護法益 ==
本罪は、物の委託者と受託者の委託信任関係を保護するものであるとされる。近時は委託信任関係と併せて委託者の所有権も保護法益とする見解が有力である。
 
== 犯罪類型 ==
=== 単純横領罪 ===
自己の占有する他人の物を横領すると、(狭義の)横領罪が成立する(刑法252条1項)。業務上横領罪との比較から'''単純横領罪'''と呼ばれることもある。他人の物を委託関係に基づいて占有する者のみが犯すことのできる[[身分犯]]である([[真正身分犯]])。[[法定刑]]は5年以下の[[懲役]]である。
遺失物等横領罪と対比して、狭義の横領罪と業務上横領罪とを包括し'''委託物横領罪'''と呼ぶ。
 
== 主な論点行為 ==
=== 保護法益行為の客体 ===
単純横領罪の客体は「自己の占有する他人の物」、業務上横領罪の客体は「業務上自己の占有する他人の物」、遺失物等横領罪の客体は「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物」である。なお、自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられたものについては、単純横領罪の客体となる(刑法252条2項)。
本罪は、物の委託者と受託者の委託信任関係を保護するものであるとされる。近時は委託信任関係と併せて委託者の所有権も保護法益とする見解が有力である。
 
;占有の意義
=== 横領 ===
本罪の実行行為たる横領とは、通説によると、[[窃盗罪|不法領得の意思]]の発現行為一切をいうとされる。不法領得の意思とは、通説的な説明によれば、所有者を排除する意思とその物の効用を享受する意思の総体をいうとされる。
 
=== 占有 ===
[[窃盗罪]]のケースと違い、事実的な所持だけでなく法律的な支配も占有に含まれる。[[預金]]に対する預金者、既登記建物の登記名義人にも占有が認められる。
 
すなわち、ここでいう占有とは、横領罪の主体としての地位を基礎付けるものであり、横領行為をなしうる立場にあることを意味する。例えば、不動産所有権の登記名義人である者は、たとえ実体として他人に帰属する物であっても、他人に売却して[[所有権移転登記]]手続をすることができる。したがって、不動産所有権の登記名義人はその不動産について占有をしていると評価することができるのである。
 
=== 行為の内容 ===
本罪の実行行為たる横領とは、通説によると、[[窃盗罪|不法領得の意思]]の発現行為一切をいうとされる。不法領得の意思とは、通説的な説明によれば、所有者を排除する意思とその物の効用を享受する意思の総体をいうとされる。
 
=== 既遂時期 ===
領得が始まれば、完了しなくても既遂に達する。すなわち、既遂時期と着手時期が同一ということである。そのため、横領罪には[[未遂]]処罰規定が存在しない。
 
== 背任罪との区別関係 ==
*背任罪との区別
他人の物を本人の委託に基づいて占有する者が、図利加害目的で任務に背き本人に財産上の損害を与えた場合、横領罪と[[背任罪]]のいずれが成立するのかという問題が生じる。両罪の区別については、越権の有無で区別する見解や、領得行為の有無で区別する見解などがある。また、最近は横領罪は背任罪に対して特別法の関係に立つとして、横領罪の成否によって区別することが必要であり、かつ、それで十分であるとする見解が有力である。
 
==関連項目==
{{Wikibooks|刑法各論}}
*[[財産犯]]
 
 
{{日本の刑法犯罪}}
13

回編集