「狩猟採集社会」の版間の差分

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==ワイルドヤム問題==
[[中央[[アフリカ]]の狩猟採集民[[ピグミー]]は熱帯雨林地帯の自然環境に強く依存していると同時に、[[バントゥー|バントゥー系]]の隣接農耕民と歴史的に密接な協力関係にある。以前はピグミーたちは、この地域の多数派を占める農耕民が西アフリカのサバンナ地帯から森林に移入する以前の先住民だと考えられていた。しかし、1980年代後半から、こうした「狩猟採集民=先住民説」に疑問が呈されるようになった。その根拠として以下のことがあげられている。
#現在の熱帯雨林の狩猟採集民はすべて周辺の農耕民との間の交換や自身の農耕活動によって入手した農作物に食生活のかなりの部分を依存していること
#過去にも純粋な狩猟採集民が熱帯雨林の中で生活していたことを示す考古学的証拠が発見されていないこと
#熱帯雨林のなかには人間の生存を支えるに足る十分な食物基盤がなく、とくに果実が入手できない乾季にはエネルギー源が極端に不足すること
 
つまりワイルドヤム問題とは、「熱帯雨林の狩猟採集生活というのは、[[焼畑|焼畑農耕民]]による半定住的な生活を基盤の上でなければ成り立たず、ピグミーは先住民ではないのではないのか?」というのがワイルドヤム問題のことである。
 
ただしこれらの疑問は野生ヤムの分布などの間接証拠に依存していたとし、食料が不足するとされた乾期における実証研究を行われたところ、熱帯雨林において農耕に依存しない狩猟採集生活が可能であるということが示唆された<ref>{{Cite journal|author=安岡宏和|year=2007|issn=1346-2466|url=http://hdl.handle.net/2433/80084|publisher=京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科|title=アフリカ熱帯雨林における狩猟採集生活の生態基盤の再検討--野生ヤムの利用可能性と分布様式から (特集 地域研究の前線)|journal=アジア・アフリカ地域研究|volume=6|issue=2|pages=297-314}}</ref>。