「アバンダンウェア」の版間の差分

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'''アバンダンウェア'''(''' (Abandonware''')) とは、[[著作権]]保持者が既に販売をやめたりサポートしていない[[ソフトウェア]]ある期間を経過したいは様々な理由により、[[権利の所在が不明な著作物|誰が著作権者であるか不明]]なソフトウェアを包括的に指す場合もために用いられる語である(通常5年)
 
この用語は法的な意味を持たない。すなわち「アバンダンウェア」と呼ばれているソフトウェアの複製物料金を支払わずに使ったりコピー、著作権者の許諾なたりに取得することが法的に許されているわけではない。著作権者がその[[著作権]]放棄するなどの理由により[[パブリックドメイン|著作権が消滅]]しない限り、全てのアバンダンウェアは(期限が切れるまで)[[著作権の保護期間]]が経過するま保護されてい、著作権の対象となる。
 
一方、この用語は利用可能だがサポートや開発が何らかの理由で停止されているソフトウェアを指すこともある。この項目では前者の意味について解説する。
 
== アバンダンウェアの歴史 ==
アバンダンウェアは、[[インターネット]]時代が到来するまで全く目立つ存在ではなかった。インターネットによって多くの人々がそれにアクセスできるようになったのである。初期のアバンダンウェアサイトとして、Classic Trash や Home of the Underdogs がある。
 
[[1997年]]、[[Entertainment Software Association|ESA]](当時の名称はIDSA)が加盟業者のゲームがダウンロード可能となっているサイトに対して訴訟を起こす動きがあった。このため多くのサイトが閉鎖された。
 
== アバンダンウェアと著作権 ==
いかなる国の著作権法でもアバンダンウェアに関する規定は見あたらず、一定期間、著作権者に独占的に著作権を付与する建前になっている。
いかなる国の著作権法でもアバンダンウェアに関する規定は存在しない。[[商標法]]では「放棄 ''abandonment''」の概念があるが、これは商標保護期間が無限であることから出てくるものである(訳注:アメリカの商標法は使用主義を採用しており、使われていないと判断されればabandonmentと見なされる。日本では10年毎の更新制)。現状では著作権をリリースしてパブリックドメインとするには文書による明確な手続きが必要である(訳注:日本では著作者人格権を放棄・譲渡できない)。ただしこれは「放棄」というよりも「解放 ''releasing''」である。非著作権者が著作権が「放棄」されていると主張して著作権者の許可なく使用することは不可能であり、法的制裁の対象となりうる。
 
=== アメリカ合衆国 ===
アメリカ合衆国においては、[[連邦商標法]] (Lanham Act) には、[[商標]]の使用を再開しない意図をもってその使用が中断されたときは、商標権は放棄されたとみなす旨の規定が存在するのに対し、著作権法には著作権者によって著作物が利用されていないことをもって、著作権が放棄されたとみなす旨の規定はない。また、著作権を放棄して、著作物をパブリックドメインとするためには、文書による明確な手続きが必要である。
米国では、一定期間著作者に独占的に著作権を与えるという著作権法の理念とアバンダンウェアの考え方は矛盾している。著作権法の下では、著作権者がその著作物から利益を得るか得ないかを選択する権利を有する。著作権を商売に利用するに際して、著作権者に何らの条件も課せられない。米国でのこの権利は[[合衆国憲法]]に規定されている。
 
アバンダンウェアは(利益とは無関係に)「独占権」を与えると述べた条文([[アメリカ合衆国憲法]]第1条第8節(8))に矛盾すると考えられるため、米国では現在アバンダンウェアを著作権者の許諾なしに利用すること法的に認められない。[[2003年]]、[[アメリカ合衆国最高裁判所]]は「エルドレッド対アシュクロフト裁判」(537 U.S. 186)においてこれについて明確化した。この裁判では著作権期間の延長(通常認められる期間をさらに20年延長する規定)の正当性について判断を下したものである。判決によれば、著作権期間が有限である限り憲法には違反しないとされた。したがって、米国においては保護限切れとな間が満了するまで著作権は保護され、著作者に独占的権利が与えられるのである(期間は70年から120年)。
:著作者および発明者に、一定期間それぞれの著作および発明に対し独占的権利を保障することによって、学術および技芸の進歩を促進すること。
 
=== 日本 ===
アバンダンウェアは(利益とは無関係に)「独占権」を与えると述べた条文に矛盾すると考えられるため、米国では現在アバンダンウェアは法的に認められない。[[2003年]]、[[アメリカ合衆国最高裁判所]]は「エルドレッド対アシュクロフト裁判」(537 U.S. 186)においてこれについて明確化した。この裁判では著作権期間の延長(通常認められる期間をさらに20年延長する規定)の正当性について判断を下したものである。判決によれば、著作権期間が有限である限り憲法には違反しないとされた。従って、米国においては期限切れとなるまで著作権は保護され、著作者に独占的権利が与えられるのである(期間は70年から120年)。
日本においては、著作権の放棄には、新聞広告などにより積極的な[[意思表示]]をすることが必要であるか否かについて争いがあるものの、放棄の意思表示自体が必要であることは問題がなく、権利の不行使の事実をもってパブリックドメインとすることはできない。消滅時効との関係でも、[[著作権侵害]]により生じた損害賠償請求権の消滅時効はともかくとして、著作権自体は、20年間の不行使状態があった(民法167条2項)としても、消滅時効にはかからず、法定の保護期間の満了をもって権利が消滅するとされる([http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=12307&hanreiKbn=06 東京高裁平成13年9月18日判決])。
 
したがって、アバンダンウェアの利用について著作権による制限が課されないのは、著作権放棄や、[[著作権の保護期間]]満了の場合のほか、自然人たる著作権者が相続人なく死亡したり、法人たる著作権者が解散した場合に、相続財産管理人や清算人が著作権を譲渡することなく清算手続を結了した場合に限られることになる(著作権法62条)。この場合でも著作権が消滅したがゆえに利用に制限が課されないのであり、著作権が存続しているにもかかわらず利用が制限されないわけではない。
 
== 有名なアバンダンウェア ==
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古いゲームの方が新しいゲームよりも面白いと感じる人もいる。その原因として古いゲームの設計者は[[コンピュータグラフィックス|グラフィックス]]よりもゲームそのものに注力せざるを得なかったことが挙げられる。そういったゲームは[[インターネット]]上で配布されることでセカンドライフを与えられる。そのような守旧派[[ゲーマー]]がエミュレータの人気を支えている。アバンダンウェアのファンとは、市場に既に存在しなくなったゲームを楽しむ人々を指す。何らかの[[懐古]]がそういったアバンダンウェアの人気を支えている場合もある。
 
== 著作権の使 ==
アバンダンウェアの著作権は積極的には防御行使されないことが多い。これは著作権者である[[企業]]が著作権を他に移譲渡ことなく廃業状態となった場合もあるし、著作権所有者がそのソフトウェアが古くなったことから意図的に防御著作権を行使しない場合もある。なお、故人の著作物の著作権はその人の遺産となる。ただし、一部の企業は利益を生み出さなくなった古いゲームなどの著作を強烈に主張している。
 
アバンダンウェアを著作権者の許諾なしに利用することを認めるべきとする見解の支持者は、新しいソフトウェアをコピーするよりもそのような古いソフトウェアのコピーを作る方が罪は軽いと主張する。著作権法を知らない人がこの意味を取り違えてアバンダンウェアを合法的に配布可能と信じてしまうことがあるが、著作権の保護限切れにな間が満了するほど古いソフトウェアは存在しないし、開発した企業が既に存在していないとしても著作権誰かが譲り受け継いでいるので場合もある。
 
アバンダンウェアであるとしても、著作権がまだ有効なは存続しているので、このソフトウェアの転送(ダウンロード)は不法行為著作権侵害である。著作権を行使するためにかかる金と時間が、そのソフトウェアを販売して得られるものよりも大きいと推定されるアバンダンウェアが配布されている。インターネット上のアバンダンウェアの存在は、その著作権を著作権所有者が防御しようとしているかどうかに依存している。例えば、[[:en:Colecovision]] のゲームは [[:en:Intellivision]] のゲームよりも見つけ易い。前者のゲームを販売している会社は既に存在しないが、後者のゲームを販売している会社は今も存在しているからである。
 
企業はソフトウェアの著作権をリリース放棄して[[パブリックドメイン]]にしたり、[[フリーウェア]]や[[オープンソース]]にライセンス形態を変更したりすることがある。[[id Software]]はいち早くそのような方針を採用した企業であり、古いゲームを[[オープンソース]]ライセンスでリリースしている。別の例として[[Amstrad]]がある。Amstradは[[ZX Spectrum]]のハードウェアROMのエミュレーションのサポートとソフトウェアの無料配布を行っている。パブリックドメイン化やフリーソフトウェア化は完全に合法であり、アバンダンウェアとは区別して考える必要がある。ソフトウェア企業がソフトウェアをフリーに配布することは珍しい。しかし、[[ノベル (企業)|ノベル]]や[[サン・マイクロシステムズ]]など多くの企業は実験的に最新ソフトウェアを[[オープンソース]]の[[フリーソフトウェア]]としてリリースしている。その場合、ユーザーはソフトウェアを再配布可能であるだけでなく、オリジナルと同じライセンスでリリースするという条件で販売したり改造したりすることができる。
 
企業はソフトウェアの著作権をリリースして[[パブリックドメイン]]にしたり、[[フリーウェア]]や[[オープンソース]]にライセンス形態を変更したりすることがある。[[id Software]]はいち早くそのような方針を採用した企業であり、古いゲームを[[オープンソース]]ライセンスでリリースしている。別の例として[[Amstrad]]がある。Amstradは[[ZX Spectrum]]のハードウェアROMのエミュレーションのサポートとソフトウェアの無料配布を行っている。パブリックドメイン化やフリーソフトウェア化は完全に合法であり、アバンダンウェアとは区別して考える必要がある。ソフトウェア企業がソフトウェアをフリーに配布することは珍しい。しかし、[[ノベル (企業)|ノベル]]や[[サン・マイクロシステムズ]]など多くの企業は実験的に最新ソフトウェアを[[オープンソース]]の[[フリーソフトウェア]]としてリリースしている。その場合、ユーザーはソフトウェアを再配布可能であるだけでなく、オリジナルと同じライセンスでリリースするという条件で販売したり改造したりすることができる。
最近では[[マイクロソフト]]等も限定的では有るがそれらに追随する動きがある。
 
日本国内ではこういった動きに対して反応する企業は非常に少ないが、[[アリスソフト]]等、ごく一部にこのような動きに追随し古いソフトウェアを特定ライセンスの元で開放する場合もある。
 
== 古い著作権がまだ有効な場合 ==