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'''地域密着'''(ちいきみっちゃく)とは、ある団体などが特定の地域に限定して、その地域を重点的に活動を行うことである。
'''地域密着'''(ちいきみっちゃく)とは、もともとは、[[日本プロサッカーリーグ|Jリーグ]]が打ち出したクラブ運営の方向性を表す言葉。最初にこの言葉をJリーグ自体が厳密に定義・説明をした事はないが、概ね'''理念'''、'''指針'''、'''標語'''といった意味合いで受け止められている。また他のスポーツリーグでも地域密着の言葉を使う動きがある。近年のJリーグではあまり多用されず、「地域に根差す」等の表現が用いられる。
 
== 変遷 ==
==Jリーグの地域密着==
'''地域密着'''(ちいきみっちゃく)とは、もともと元々は、スポーツ競技団体の[[日本プロサッカーリーグ|Jリーグ]]が打ち出したクラブ運営の方向性を表す言葉である。最初にこの言葉をJリーグ自体が厳密に定義・説明をした事はないが、概ね'''理念'''、'''指針'''、'''標語'''といった意味合いで受け止められている。また他のスポーツリーグでも地域密着の言葉を使う動きある。近年のJリーグではあまり多用されず、「地域に根差す」等の表現が用いられる。
Jリーグが地域密着として進める主な点を以下に記す。
===地域への還元===
従来の日本のスポーツは企業・学校に帰属し、そこに所属する一部の競技者のみが競技力の向上を目指して活動する事が主であった。これを欧米に見られるスポーツクラブのように企業や学校と言う枠ではなく地域と言う枠で捉え、クラブが地域に対し、年齢・性別・競技レベルを問わず行える'''総合スポーツクラブ'''と呼ばれるスポーツ活動の場を提供する事により、スポンサーや自身の活動によって得られた利益を地域へ還元する、と言うもの。Jリーグでは下部組織の保持が条件となっているが、これも還元活動の一環とされている。
 
ところが、この考え方はJリーグ内においてもクラブ関係者を中心に当初はなかなか理解されず、当時は同じ読売グループの傘下だった[[日本プロ野球|プロ野球]]・[[読売ジャイアンツ|読売巨人軍]]の様に「[[全国区]]のチーム」を目指していた[[東京ヴェルディ|ヴェルディ川崎]]などの様に真っ向から反感を持つ者もいた。
===企業との関係===
従来の企業スポーツ活動は社員に対する福利厚生と世間への宣伝広告の意味合いが強く、多くの企業では景気や経営状態が悪化した場合に最初に整理縮小の対象となる位置づけである。この事は近年の企業部活動の相次ぐ休廃部などでも明らかである。このような経営上の弱点を持たない為に一企業に経営を依存せず、クラブの地元の企業から広くスポンサーを募って活動資金を集め、そこで地元住民と地元企業のマッチングを図りつつ、一企業の業績に左右され難い経営体制となる事を推奨している。
 
しかし、90代前半のバブル経済崩壊以降は、企業スポーツや企業スポーツの延長線上にある[[プロ野球]]の行き詰まりと[[浦和レッドダイヤモンズ|浦和レッズ]]や[[アルビレックス新潟]]の商業的成功で俄に脚光を浴びており、Jリーグ加盟を目指す地方都市の増加やプロ野球球団の地方移転・地域密着の標榜、[[日本プロバスケットボールリーグ|bjリーグ]]や野球[[独立リーグ]]の[[四国・九州アイランドリーグ]]、[[ベースボール・チャレンジ・リーグ|BCリーグ]]の発足等、日本スポーツ界全体に影響を与えているようであるが、その一方では「地域名」をチーム名に冠する事やプロスポーツ興行における商業的部分のみがクローズアップされ、地域に根差した総合スポーツクラブの設立という言葉の核心部分の理解がされているとは言い難いのが現状である。
===チーム名===
従来の企業部活動や[[プロ野球]]に於いて、チームは言わば企業の広告塔であり、企業名がチーム名となっていた。Jリーグでは企業名を入れる事を「ファンが限定される」「自治体との協力体制や市民参加が得難い」として認めず、チームの呼称を「地域名+愛称」とする事で「地域に根差したスポーツクラブ」としての存在を示すとしている。また地域名を冠することで地元住民の帰属意識を刺激し、集客などの経営面での好影響があるとの見方もある。
 
ちなみに、スポーツ界以外にも政治活動や経済活動等においても、いわゆる「キャッチフレーズ」の意味合いとして近年は使われ始めている<ref>[http://shinta.tea-nifty.com/nikki/2007/04/post_fa5c.html [R30]書評「超地域密着マーケティングのススメ」]</ref>。
Jリーグの初期は、一律「ホームスタジアムがある都市名([[市町村]]名)+愛称」<ref>ただし、ガンバ大阪という例外はあった。</ref>としていたが、現在は、
*「[[都道府県]]名」: [[モンテディオ山形]]、[[FC東京]]、[[東京ヴェルディ]]、[[ガンバ大阪]]、[[愛媛FC]]、[[徳島ヴォルティス]]
*「地域名」: [[湘南ベルマーレ]](当初は「ベルマーレ[[平塚市|平塚]]」と名乗っていた)
*「合併前の旧自治体名」: [[大宮アルディージャ]]、[[浦和レッドダイヤモンズ]]、[[清水エスパルス]]、[[鹿島アントラーズ]](本拠地が合併により「[[鹿嶋市|鹿'''嶋'''市]]」となったが従来どおり「鹿'''島'''」と表記)
*その他 : [[ジェフユナイテッド市原・千葉]](ホームタウンの複数広域化。[[ジェフユナイテッド市原・千葉#2002年-|こちらを参照]])など
等等、ある程度地域の事情に配慮した名称の採用が可能になっている。
 
なお、活動形態としては「地域の子どもは地域で育てるもの」という考え方から、[[地域子ども会]]や[[スポーツ少年団]]を通して主に小学生年代までの期間を[[市町村]]や[[集落]]単位で長年行われている。
チームの名称はクラブの行動などに比べ目に付きやすい為に誤解され易いが、「地域密着=地名(地域名)を冠する事」としている訳ではない。この事はJリーグの初代チェアマンである[[川淵三郎]]もインタビューなどで明確に否定している。すなわち、名称やホームスタジアムでの試合数の多さよりも、それ以外での地域との交流やサポーターを大事にすることなどの方が、地域密着にはより大事であるということである。
 
===地域への 還元= ==
===[[東京ヴェルディ#川崎時代|ヴェルディ川崎]]===
従来の日本のスポーツは企業・学校に帰属し、そこに所属する一部の競技者のみが競技力の向上を目指して活動する事が主であった。
Jリーグ設立当初より[[東京都]]をホームタウンとして望んだヴェルディであったが、適切なスタジアムが東京都にないこと<ref>[[国立霞ヶ丘競技場|国立競技場]]はJリーグによってどのチームの本拠地でもない中立地とされ、また[[駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場|駒沢競技場]]は設備や立地条件の関係で[[ナイター]]が行えない。[[国立西が丘サッカー場|西が丘]]もJ1基準に満たすキャパシティではないため本拠地としては使用不可だった。</ref>からリーグに認められず。半ば見切り発車でクラブハウスのある川崎市をホームタウンとしてスタートさせる。[[プロ野球]]・[[読売ジャイアンツ|読売巨人軍]]のような[[全国区]]クラブを目指していたヴェルディは地元を軽視する傾向にあった。
 
従来の日本のスポーツは企業・学校に帰属し、そこに所属する一部の競技者のみが競技力の向上を目指して活動する事が主であった。これを欧米に見られるスポーツクラブのように企業や学校と言う枠ではなく地域と言う枠で捉え、クラブが地域に対し、年齢・性別・競技レベルを問わず行える'''総合スポーツクラブ'''と呼ばれるスポーツ活動の場を提供する事によりスポンサーや自身の活動によって得られた利益を地域へ還元すると言うものであるなお、Jリーグでは下部組織の保持が条件の一つとなっているが、これも還元活動の一環とされている。
やがて[[日本プロサッカーリーグ#Jリーグブームの沈静化とクラブ経営の危機(1996年-2000年)|Jリーグバブルの崩壊]]、世代交代失敗、東京移転問題の相乗効果から観客数は激減。特にマスコミのリークが発端となった東京移転問題は川崎市民の心からヴェルディを決定的に離すものだった。その後、川崎市では[[富士通]]サッカー部が[[川崎フロンターレ]]と改称してJリーグ入りを目指し、地域密着型のチーム運営をして川崎市民からの人気を得た。
 
== 運営 ==
一方ヴェルディはマスコミのリークを発端に内諾済みであった東京移転が遅れ、その間、FC東京に東京のホームタウン化の先を越される事となり、クラブ体質の問題も相まって東京での地域密着にも大きく出遅れた。
従来の企業スポーツ活動は社員に対する福利厚生と世間への宣伝広告の意味合いが強く、多くの企業では景気や経営状態が悪化した場合に最初に整理縮小の対象となる位置づけである為、企業の業績次第ではチームそのものの休廃部などに至り易かった。
 
従来の企業スポーツ活動は社員に対する福利厚生と世間への宣伝広告の意味合いが強く、多くの企業では景気や経営状態が悪化した場合に最初に整理縮小の対象となる位置づけである。この事は近年の企業部活動の相次ぐ休廃部などでも明らかである。このよう営上の弱点を持たない為に一企業に経営支援を依存せずクラブの地元の企業から広くスポンサーを募って活動資金を集め、そこで地元住民と地元企業のマッチングを図りつつ、一企業の業績に左右され難い営体制となる事を推奨目指している。
<references />
 
== 名称 ==
==その他スポーツ組織==
従来の企業部活動や[[プロ野球]]に於いて、チームは言わば企業の広告塔であり、企業名がチーム名となっていた。Jリーグでは企業名を入れる事を「ファンが限定される」「自治体との協力体制や市民参加が得難い」として認めず、チームの呼称を「地域名+愛称」とする事で「地域に根差したスポーツクラブ」としての存在を示すとしている。また地域名を冠することで地元住民の帰属意識を刺激し、集客などの経営面での好影響があるとの見方もある。
近年、企業スポーツや企業スポーツの延長線上にある[[プロ野球]]の行き詰まりと、[[アルビレックス新潟]]の商業的成功で俄に脚光を浴びており、Jリーグ加盟を目指す地方都市の増加やプロ野球球団の地方移転・地域密着の標榜、[[日本プロバスケットボールリーグ|bjリーグ]]や野球[[独立リーグ]]の[[四国・九州アイランドリーグ]]、[[ベースボール・チャレンジ・リーグ|BCリーグ]]の発足等、日本スポーツ界全体に影響を与えているようである。
 
また、地域名を冠することで地元住民の帰属意識を刺激し、集客などの経営面での好影響があるとの見方もあるが、あくまでも地域との交流やサポーターを大事にする事が根幹である。
しかしその一方、地域名をチーム名に冠する事やプロスポーツ興行における商業的部分のみがクローズアップされ、地域に根差した総合スポーツクラブの設立という言葉の核心部分の理解がされているとは言い難いのが現状である。
 
{{main|ホームタウン}}
==育成活動==
「地域の子どもは地域で育てる」もの。[[労働]]は他地域という[[新住民]]には、あまり縁のないものかもしれないが、[[子供]]は在住[[市町村]]で育っており、[[地域子ども会]]であれ、[[スポーツ少年団]]であれ、普通は地域単位で編成する。
 
== 関連項目 ==
==地域密着を掲げる組織==
* [[Jリーグ百年構想]]
*[[日本プロバスケットボールリーグ|bjリーグ]]
* [[地産地消]]
*[[四国・九州アイランドリーグ]]
* [[地域子ども会]]
*[[ベースボール・チャレンジ・リーグ]]
* [[地域子ども会青少年相談員]]
* [[青少年相談員スローフード]]
* [[フランチャイズ]]
*[[プロ野球]]
* [[日本プロバスケットボールリーグ|bjリーグ]]
**[[北海道日本ハムファイターズ]]
** [[東北楽天ゴールデ四国・九州アイラドリーグルス]]
* [[ベースボール・チャレンジ・リーグ]]
**[[千葉ロッテマリーンズ]]
** [[東京ヤクルトスワロ北海道日本ハムファイターズ]]
** [[横浜ベ東北楽天ゴールデンスタグルス]]
** [[埼玉西武ライオ千葉ロッテマリーンズ]]
** [[広島洋カ京ヤクルトスワロ]]
* [[横浜ベイスターズ]]
**[[福岡ソフトバンクホークス]]
* [[埼玉西武ライオンズ]]
*[[プレミアリーグ (バレーボール)|Vリーグ]]
** [[岡山シ広島東洋カガルズ]]
** [[福岡ソフトバンクホークス]]
**[[四国Eighty 8 Queen]]
** [[堺ブレイザ岡山シガルズ]]
** [[四国Eighty 8 Queen]]
* [[堺ブレイザーズ]]
 
==関連項目 脚注 ==
<references />
*[[地産地消]]
*[[Jリーグ百年構想]]
*[[スローフード]]
*[[フランチャイズ]]
 
{{DEFAULTSORT:ちいきみつちやく}}