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'''中央人民委員会'''(ちゅうおうじんみんいいんかい)'''とは、[[1972年~1998]]から[[1998]]まで[[朝鮮民主主義人民共和国]]に設置されていた国家[[行政機関。[[1972年]][[12月27日]]に制定された[[朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法]](1972年憲法)によって設立。同憲法において、中央人民委員会は「国家主権の最高指導機関」とされた。1998年の憲法改正によって中央人民委員会は廃止された
1972年12月27日に[[朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法]]が採択されて1998年に同憲法改正に伴い廃止された。
委員長、副委員長、書記長、委員で構成されていた。
 
== 構成 ==
中央人民委員会の委員長には[[金日成]]([[国家主席]])が就任した。1994年7月に金日成が死去してからは空席となった。副委員長には国家副主席が就いていた。委員長をはじめとするメンバーは[[最高人民会議]]で選出される。
中央人民委員会は、委員長、副委員長、書記長、委員で構成されていた。憲法の規定により、[[朝鮮民主主義人民共和国主席]](国家主席)が中央人民委員会の「首班」として委員長を兼務し、副委員長には朝鮮民主主義人民共和国副主席(国家副主席)が就任した。国家主席・国家副主席を含め、中央人民委員会の構成員は[[最高人民会議]]によって選出され、任期は1972年憲法では4年、1992年憲法では5年であった。なお1972年憲法では、国家主席の提議によって国家副主席・中央人民委員会書記長・委員が最高人民会議で選出されることになっていた。
 
中央人民委員会の委員長には、同委員会の設置以来、[[金日成]]国家主席が就任していた。[[1994年]][[7月8日]]に金日成が死去すると、委員長は1998年に同委員会が廃止されるまで空席となった。
現在の同国の最高軍事指導機関である、[[朝鮮民主主義人民共和国国防委員会]]も当初は中央人民委員会の傘下機関であった。
1998年の憲法改正により国家主席制と中央人民委員会の廃止により国防委員会の権限が大幅に強化された。
 
1972年憲法では中央人民委員会の部門別委員会として、対内政策委員会、対外政策委員会、[[朝鮮民主主義人民共和国国防委員会|国防委員会]]、司法安全委員会などが設置されていた。しかし、1992年の憲法改正により、国防委員会は中央人民委員会より分離された。
[[道]](直轄市)・[[市]](区域)・[[郡]]などの地方には地方[[人民委員会]]が設置されている。
 
== 権限 ==
中央人民委員会は以下のような絶大な権限を有していた。憲法の規定で、国家主席が中央人民委員会を指導することになっていたため、金日成主席に権力が集中する構造となっていた。中央人民委員会とは、まさしく「金日成への権力集中を実現するための機関」であり、金日成による「唯一領導体系」を推進する機関であったといえる<ref>重村智計『北朝鮮データブック』(1997年、講談社〈講談社現代新書〉)</ref>。
 
=== 1972年憲法 ===
*国家の対内外政策の樹立。
*[[政務院]](内閣)及び[[地方人民会議]]及び[[人民委員会]]<ref>北朝鮮では[[道]](直轄市)・[[市]](区域)・[[郡]]などの地方には行政機関として、各級の地方[[人民委員会]]が設置されている。</ref>事業の指導
*司法・検察機関事業の指導。
*国防及び国家政治保衛事業の指導。
*憲法、最高人民会議法令、朝鮮民主主義人民共和国主席命令、中央人民委員会政令・決定・指示の執行状況を監督し、それに反する国家機関の決定、指示を廃止する。
*政務院の部門別執行機関である「部」改廃する。
*[[政務院総理]](首相)の提議により、副総理、各部長、それ以外の政務院構成員を任免する。
*大使・公使を任命及び召還する。
*重要軍事幹部を任免し、軍事称号を授ける。
*勲章、名誉称号、軍事称号及び外交職級を制定し、勲章、名誉称号を授与する。
*大赦を実施する。
*行政区域を改廃する。
*有事において戦時状態及び動員令を宣布する。
*中央人民委員会政令・決定・指示の発令
 
=== 1992年憲法 ===
*国家の政策及びその執行のための対策を立案する。
*政務院及び地方人民会議及び人民委員会事業の指導。
*司法・検察機関事業の指導。
*国家機関の法遵守執行を指導し、法執行において提起される問題を処理する。
*憲法、最高人民会議法令・決定、最高人民会議常設会議決定・指示、朝鮮民主主義人民共和国主席命令、朝鮮民主主義人民共和国国防委員会決定・命令、中央人民委員会政令・決定・指示の執行状況を監督し、それに反する地方人民会議の決定・執行を停止させ、国家機関の決定・指示を廃止する。
*部門別行政的執行機関である政務院の委員会・部を新設し、または廃止する。
*最高人民会議休会中、政務院総理の提議により、副総理、委員長、部長、その他の政務院構成員を任免する。
*中央人民委員会部門別委員会の委員を任免する。
*外国と締結した条約を批准または廃棄する。
*外国に駐在する外交代表の任命または召還を決定する。
*勲章及びメダル、名誉称号、外交職級を制定し、勲章及びメダル、名誉称号を授与する。
*大赦権を行使する。
*行政区域を新設し、または変更する。
*中央人民委員会政令・決定・指示の発令
== 脚注 ==
<references />
 
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