「海軍工作学校」の版間の差分

'''海軍工作学校'''（かいぐんこうさくがっこう）は、[[大日本帝国海軍]]の工作術（船匠・鍛冶・溶接・潜水作業）、[[ダメージコントロール]]、築城術・設営術、[[航空機]]整備術の技官や職工を養成する教育機関のこと（[[軍学校]]）である。[[海軍機関学校]]を卒業した機関科[[将校]]の高等教育・研究・実験を推進する普通科・高等科、さらなる研究を推進する特修科、[[准士官]]・[[下士官]]・[[兵]]を教育する専攻科を設置し、技術者として必要な機械工学や修造技術の教育、技能者として必要な技量と経験の習得を図った。

従来の艦船修造技術は、工機学校で「船匠術」の名で教育が推進されていた。[[1930年代]]より、[[溶接]]技術や水中潜水作業術などの新しい分野が開拓され、[[潜水艦]]や[[航空機]]などの新兵器が急成長したため、これらの修造技術も必要となった。また戦闘中の応急処置の必要性も考慮されるようになり、従来の船匠術だけでは対応できなくなりつつあった。そこで新分野を含めた「工作術」へと変容していく。

さらに[[日中戦争]]（日華事変]]）の勃発により、陸軍工兵隊の得意分野である港湾や飛行場、さらには要塞・砲台などの設営術・築城術も独自に習得する必要性を増した。これらは{{和暦|1941年}}4月より、従来の海軍建築局を拡張した[[海軍施設本部]]の設立と[[海軍設営隊|特設設営隊]]の編制で対応したが、人員の養成が急務となっていた。

[[太平洋戦争]]開戦のための出師準備中に、これら工作術の要員確保が問題となった。工機学校では本務である機関術要員の大量養成に追われ、工作術要員の養成環境が整わなかった。そこで工作術専門の教育機関を増設し、工機学校では機関術要員の養成に専念することになった。そこで1941年4月1日、[[久里浜]]に海軍工作学校を開き、工作術教育を始めた。

{{和暦|1943年}}末より、[[連合国 (第二次世界大戦)|連合軍]]の反攻が激化し、最前線では空襲被害が続出した。防御のための築城術、反撃のための航空機整備術のいっそうの拡大・強化が望まれた。これらも工機学校で教育が推進されたが、大幅な増員に対応できない状況に陥った。そこで[[沼津市|沼津]]に築城術・航空機整備術の学校を増設し、工機学校から分離することとなった。{{和暦|1944年}}6月1日、久里浜の工作学校とは任務を異にする'''沼津海軍工作学校'''が開かれ、本校も'''横須賀海軍工作学校'''に改名した。

{{和暦|1945年}}夏には、本土決戦を念頭に置いた決戦体制への変更が望まれた。各種術科学校には、7月15日までに学生・練習生の繰り上げ修了、実施部隊への派遣を命ずる通達が出された。これを受けて、沼津工作学校は期日までに繰り上げ修了を実施し、閉校した。一方、横須賀工作学校での教育は続行され、終戦後の10月をもって閉校となった。

== 歴代校長 ==
=== 横須賀工作学校長 ===

* 和住篤太郎 少将(1941：1941年4月1日 -)

* 鈴木久武 少将(1941：1941年11月5日 -)

* 朝隈彦吉 予備役中将(1941：1941年12月15日 -)

* 和住篤太郎 少将(1943：1943年3月15日 -)

* 美原泰三 少将(1944：1944年2月15日 - 1945年10月15日閉校)

=== 歴代沼津工作学校長 ===

* 青木正雄 少将(1944：1944年6月1日 -)

* 梅林正義 少将(1944：1944年10月1日 - 1945年7月15日閉校)