「フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー」の版間の差分

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日本では「'''フンダートヴァッサー'''」「'''フンデルトワッサー'''」という呼び方も多く用いられる。日本語での号は姓を直訳した「百水」。色鮮やかな外見の建築でよく知られる。
 
== 来歴 ==
[[ウィーン]]のエルンスト(Ernst Stowasser)と[[ユダヤ系]]の母エルゼ(Else)の家庭に生まれ、[[ウィーン美術アカデミー]]で学んだ彼は[[1981年]]から母校の教授をつとめた。
[[ウィーン]]のエルンスト(Ernst Stowasser)と[[ユダヤ系]]の母エルゼ(Else)の家庭に生まれた。幼い頃、森で花を摘み、押し花にするのが好きだった少年であったフンデルトヴァッサーは、花の色をきれいなまま残したいと絵を描き始めた。しかし、10歳になったとき、その小さな幸せは踏みにじられた。[[1938年]]、[[ドイツ]]が[[オーストリア]]を併合。[[ヒトラー]]率いる[[ナチス]]ドイツ軍の支配が始まった。彼の母親は[[ユダヤ]]系チェコ人であった。父は既になく、親子はユダヤ人街へ追いやられ、その地下室で暮し始めた。フンデルトヴァッサーは当時をこう振り返った。「午前2時になると恐ろしい親衛隊の男たちが警報を鳴らし、何度もドアのところにやって来た」。フンデルトヴァッサーは誰にも見つからないよう、家の奥底に潜り込んだ。家は彼を守ってくれる最後の砦であった。
 
戦争が終わり、フンデルトヴァッサーは画家を志した。閉じ込められていた時間を取り戻すかのようにスケッチブックを手に旅に出た。訪れたのは北アフリカの広大な台地、彼を惹きつけたのは床も壁も赤い土で出来た伝統的な土の家であった。自然と共に暮す、そんな生き方に共感し、夢中になって自らの思いをキャンバスにぶつけた。しかし、ひとたび都市に戻ると戦後の建設ラッシュが始まっていた。新しい建物はみな角ばっていて、灰色。無機質で画一的。それは人を閉じ込める刑務所のように見えた。現代の建築はみな病んでいる。そんな思いから生まれた作品「血を流す建物」(1952年)。四角い高層建築の壁は赤く染まり、傷つき血を流しているようであった。
自然を愛した彼は、建築でも自然への回帰を唱え、曲線を多用した独自の様式を編み出した。
 
晩年をすごした[[ニュージーランド]]へ向かう客船上で死去した。
そしてある時、彼の作品に渦巻きが登場する。「円に流れる血 私は自転車を持っている」(1953年)ではどこまでも果てしなく続く曲線。一方で断固拒否したのは定規で引いたような直線であった。「自然の中に唯一存在しないものが直線である。社会や文化が存在しないこの直線に基づいているとすれば、やがてすべては崩壊するだろう」。彼にとって無機質な直線に比べ、渦巻きは植物のように成長する命の象徴であった。自然への畏敬の念をこめた作品「わたしはまだわからない」(1968年)は次第に世界で高い評価を受けるようになった。
 
[[ウィーン]]のエルンスト(Ernst Stowasser)と[[ユダヤ系]]の母エルゼ(Else)の家庭に生まれ、[[ウィーン美術アカデミー]]で学んだ彼は[[1981年]]から母校の教授をつとめた。
 
自然を愛した彼は、建築でも自然への回帰を唱え、曲線を多用した独自の様式を編み出した。晩年をすごした[[ニュージーランド]]へ向かう客船上で死去した。
 
[[日本]]での作例に、[[TBSテレビ|TBS]]の「21世紀カウントダウン時計」([[東京都]][[赤坂 (東京都港区)|赤坂]]、[[1992年]])、[[キッズプラザ大阪]]の「こどもの街」([[大阪市]][[北区 (大阪市)|北区]]、[[1997年]])や、大阪市環境局舞洲工場(大阪市[[此花区]]、[[ごみ|ゴミ]]処理場、[[2001年]])がある。
 
== 作品 ==
* [[1948年]] 母の肖像
* [[1951年]] 緑の屋根と庭のある家々
* [[1952年]] 血を流す建物
* [[1953年]] 円に流れる血 私は自転車を持っている
* [[1968年]] わたしはまだわからない 
* [[1982年]] [[ローゼンタール社陶器工場]]([[ゼルプ]])
* [[1982年]] レーベン通りの第三の皮膚
* [[1983年]] ミルーカ穀物倉庫([[クレムス]])
* [[1986年]] [[フンデルトヴァッサー・ハウス]](オーストリア、ウィーン)
* [[1987年]] 銀の渦巻き
* [[1988年]] 聖バーバラ教会(オーストリア、[[ベルンバッハ]])
* [[1988年]] インテグレイティブ・スクール(オーストリア、フランクフルト)