「民族区域自治」の版間の差分

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「西蔵自治区」における「[[西蔵]] 」という名称は、中央チベットを中心とするチベットの西南部に、清朝康煕時代の中国人が中国語で付けた地域名称であり、上記の他の自治区における新疆、寧夏、広西などの地名部分に相当する。なぜ中国人民政府がなぜこの自治区の呼称を「西蔵蔵族自治区」もしくは「博蔵族自治区」(博は「プー」の音写)としなかったのかは不明であるが、中国政府が「西蔵自治区」の日本語として、原表記とははなれた別の名をつけるという立場をとり、しかも「西蔵チベット族自治区」せずに、「西蔵」という固有名詞自体を消す名称を採用しているのは、上述の外来語の固有名詞表記に冠する日本語の原則からはかなり隔たっている。
 
==地級市と地区、州、盟(アイマク(盟)==
 
[[中華人民共和国]]の地区級の行政単位としては、[[地区]]、[[地級市]]、[[州]]、[[盟]](アイマク]](盟)の四種がある。アイマク()は[[清朝|清代]]以来、[[モンゴル]]に設けられていた行政単位、[[州]]は1950年代半ば以降、地区級の[[民族区域自治]]行政単位のみに用いられた行政単位の呼称であるのに対し、[[地区]]、[[地級市]]は、中国の全土に設けられている行政単位である。
 
*[[地級市]]
:省級の行政単位と県級の行政単位の中間にある地区級の行政単位の一種で、従来より各省、自治区の中核都市に設置されていたが、近年、各種の地区級行政単位の地級市への転換が大規模に推進されている。
*盟(アイマク(盟
:アイマクは、清代にモンゴルを中心に施行された「[[盟旗制]]」に由来する行政単位の呼称で、盟はアイマクに対する中国語の呼称である。[[内蒙古]]においては[[中華民国の歴史|民国期]]、[[中華人民共和国の歴史|人民政府期]]を通じてこの呼称が使用されつづけ、現在にいたっている。[[モンゴル国]]でも行政単位としてアイマクという呼称が用いられており、そのまま「アイマク」とカナ書きされるほか、「州」や「県」などと和訳されることがある。中国の現行制度では、アイマク()は[[地区 (中国)|地区]]、[[ホショー]]()は[[県]]に相当し、二十世紀末から今世紀初頭にかけ、盟の地級市への再編が進行している。
*州
:[[州]]は、数県を管轄する行政単位として、中国において古くから使用されてきた行政単位の呼称であるが、現行制度では、[[州]]と名のつく自治体は、すべて[[民族区域自治]]行政単位である[[自治州]]である。[[中華人民共和国]]の建国初期、中国人民政府の掌握地域の各地で「○○族自治区」として発足し、1950年代半ばに「○○族自治州」と改称されて現在に至るものが多い。各[[省]]と、自治区のうち、[[新疆ウイグル自治区]]に設置されている。
*地区
:地区は、元来は数県を管轄し、中国の全省、自治区内にもうけられていたが、近年[[地級市]]への転換がすすみ、現在では[[黒龍江]]、[[貴州]]、[[甘粛]]、[[青海]]の各省の一部分と、[[西蔵自治区]]内に残るのみとなった。
 
==ホショー(旗)と自治県==
*ホショー(旗)
:[[ホショー]](旗)は、アイマク(盟)を構成する県級の自治体。[[清]]末の[[内蒙古]]で[[漢人]]の入植が進んだ地域に、漢人を管轄する行政機関として[[州]]、[[県]]が設置された伝統を受け継ぎ、漢人が多数分布する県級の自治体は[[県]]、モンゴル人が多数を占める県級の自治体は[[旗]]を名乗る傾向がある。
*自治県
:民族自治区域内に存在する諸県のうち、「自治県」の名称を冠するものとしては、以下のような種類がある。
:#いずれかの省において、「[[民族区域自治|集住]]」の領域が県規模の場合、自治主体民族の名を関した自治県となる。
:#いずれかの民族自治州において、その州の自治主体民族とは別の民族の集住領域が県規模の場合、その民族の名を関した民族自治権となる。
:内蒙古自治区や西蔵自治区内の諸県、四川・青海・甘粛・雲南の各省内の「チベット族自治州」を構成する諸県で、「チベット族」が自治主体民族である諸県は、いずれも「○○族自治県」を名乗っていない。
 
== 各級の民族区域自治行政体==