「共犯の本質」の版間の差分

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=== 罪名従属性の問題 ===
両説の対立の帰結として言われるのが、[[罪名従属性]]の違いである。罪名従属性とは共同者間で罪名は同じであるべきかどうかということである。純粋な犯罪共同説からは罪名従属性が肯定されるが、行為共同説からは否定される。
もっとも、現在では犯罪共同説といってもほとんどの論者が部分的な共同を承認する(部分的犯罪共同説)()。例えば、甲が殺意を持ち、乙が殺意を持たずに、共同してAを死に至らしめたときに、甲が[[殺人]][[正犯|単独正犯]]と[[傷害致死罪|傷害致死]][[共同正犯]]の[[法条競合]]で乙が傷害致死共同正犯とするといったようなことを承認する。なお、これとは異なったをやわらかい部分的犯罪共同明もある。などという。そのため、結果的に成立する罪名については罪名従属性は否定される。ただ、罪名従属性というのはあくまで共犯の問題であるから、部分的犯罪共同説においても罪名従属性は維持されていると見ることもできる。いずれにせよ、結論は行為共同説とさほど変わらない。なお、[[判(先の]]は、甲には殺人罪の共同正犯についていずれとも解しう乙には傷害致死罪の共同正犯が成立すよう)とさほど変わら立場を採って
[[判例]]は、共同正犯について、かつては「かたい部分的犯罪共同説」とよばれる立場をとっていたが(先の例では、甲乙間に殺人罪の共同正犯が成立するが、乙は刑法38条2項の趣旨から、傷害致死罪の範囲で科刑されるとする)、現在では、やわらかい部分的犯罪共同説、行為共同説いずれとも解しうるような立場を採っている。
 
=== 共同意思主体説 ===