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'''欧州共通安全保障防衛政策'''(きょしゅうあんぜんほしょうぼうえいせいさく)とは、[[欧州連合]]の第2[[3つの柱 (EU)|柱]]である[[共通外交・安全保障政策]]の主たる基本原理。[[リスボン条約]]が発効する以前は'''欧州安全保障防衛政策'''と呼ばれていた。共通安全保障防衛政策は[[北大西洋条約機構]]のもとでの[[欧州安全保障防衛アイデンティティ]]を継承するものであるが、北大西洋条約機構 (NATO) に参加していない国を含んでいる欧州連合の管轄であるという点で異なっている。
{{改名提案|共通安全保障政策防衛政策|date=2009年12月}}
{{Lisbon Treaty update}}
'''欧州安全保障防衛政策'''(おうしゅうあんぜんほしょうぼうえいせいさく)とは、[[欧州連合]]の第2の[[3つの柱 (EU)|柱]]である[[共通外交・安全保障政策]]の主たる基本原理。欧州安全保障防衛政策は[[北大西洋条約機構]]のもとでの[[欧州安全保障防衛アイデンティティ]]を継承するものであるが、北大西洋条約機構 (NATO) に参加していない国を含んでいる欧州連合の管轄であるという点で異なっている。
 
正確に言うと欧州共通安全保障防衛政策は加盟国政府の代表者が集まって構成される[[欧州連合理事会]]が扱う領域である。しかし実際には[[共通欧州連合・安全保障政策上級代表]]が重要な役割を担っている。1999年からは[[ハビエル・ソラナ]]が上級代表となっているが、同時に[[欧州連合理事会]]の事務総長を兼務している立場から、ソラナが具体案の作成や検討を行っている。
 
== 歴史 ==
ヨーロッパの安全保障政策は1990年代に[[西欧同盟]] (WEU)、北大西洋条約機構、欧州連合のそれぞれの枠組みの中で発展されていったものであった。
 
=== 背景 ===
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* 緊急時や和平形成のための部隊派遣
 
=== WEU西欧同盟NATO北大西洋条約機構との関係とベルリン合意 ===
1996年、ベルリンにおいて閣僚会議が開かれ、そこで西欧同盟は北大西洋条約機構の構造内における欧州安全保障防衛アイデンティティの創設を監督するということが合意された<ref>{{Cite web|url=http://www.nato.int/docu/comm/1996/9606-brl/9606-brl.htm|title=NATO Ministerial Meetings Berlin, 3-4 June 1996|accessdate=2008-10-12|language=英語}}</ref>。欧州安全保障防衛アイデンティティは北大西洋条約機構においてヨーロッパの「柱」を設置すること、また北大西洋条約機構として軍事的な行動を望まないような分野においてヨーロッパ諸国が行動できるようにすること、さらには[[冷戦]]以降ヨーロッパに保有する[[軍事基地]]の維持費用について[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の負担を軽減させることを目的としている。ベルリン合意では西欧同盟を通じて、希望すればヨーロッパ諸国が北大西洋条約機構の資源を利用することができるようになった。なおベルリン合意は後述のベルリン・プラス合意において修正され、欧州連合がこのような分野での作戦指揮を執ることができるようになった。
 
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欧州安全保障防衛政策の軍事力増強策の具体的な第一歩として欧州連合加盟国は1999年、[[ヘルシンキ目標]]に調印した。各国はまた、ペータースベルク・タスクを実行できるようにするために現存軍事能力リスト 'Helsinki Force Catalogue' を作成することにも合意した。その後、欧州連合は2001年の[[ラーケン]]欧州理事会で[[欧州能力アクションプラン]]を立ち上げた。ところがヘルシンキ目標で想定された目的は速やかに達成できるものではないということが明らかになった。2004年5月、欧州連合の防衛担当閣僚は "Headline Goal 2010" を承認し、欧州連合の計画実行にむけたさらなる予定を策定した。
 
=== EU欧州連合NATO北大西洋条約機構間の関係とベルリン・プラス合意 ===
{{Main|ベルリン・プラス合意}}
 
ヨーロッパの安全保障の柱を独立させたことにより大西洋両岸の議論の場である北大西洋条約機構の重要性が薄れているのではないかという懸念が出されるようになった。サン・マロ会談を受けて、[[アメリカ合衆国国務長官|アメリカ国務長官]][[マデレーン・オルブライト]]は現在でもなお用いられているアメリカの欧州安全保障防衛政策に対する要望を示した3つのDを表明した。すなわち、北大西洋条約機構の下で効率的に実施できる行動と重複 (duplication) させないこと、アメリカおよび北大西洋条約機構を分断 (decoupling) を分断しないこと、トルコなどの欧州連合非加盟国を区別 (discrimination) しないことである。
 
2002年のEU欧州連合NATO北大西洋条約機構共同宣言において、協力関係の形として6つの原則が策定された。このなかでも危機管理活動は「相互に補強しあう」ものであり、すなわち実効的な協議・協力がなされ、また相互の対等な関係に基づき「意思決定の自主性と影響力」に対して十分に考慮し、「両機関に共通する必要な軍事力の結合と相互補強」を行っていくというものとされた。これらの協力関係は[[ベルリン・プラス合意]]を反映しているものである。つまり2003年3月以降は北太西洋条約機構が行動することを拒否した場合でも、欧州連合は北大西洋条約機構の組織や制度、資源を使って軍事行動を実行することができるようになった。さらにEU欧州連合NATO北大西洋条約機構間での情報共有についての合意が署名され、また欧州連合の連絡機関が[[欧州連合軍最高司令部]](SHAPE;(SHAPE; 北大西洋条約機構の計画・活動における戦略的中枢)や[[ナポリ]]の統合部隊司令部に設置されている。
 
欧州連合の部隊と北大西洋条約機構との関係を表現する言葉に「分離可能だが一体のもの」(separable, but not separate) というものがしばしば使われることがある<ref>{{Cite web|date=2002-05-23|url=http://www.cdi.org/mrp/eu.cfm|title=The European Union's "HEADLINE GOAL" - Curent Status|publisher=Center for Defense Information|langiuage=English|accessdate=2008-10-18}}</ref>。つまり同一の部隊と軍事力によりEU・NATO双方の行動の基礎を形成することになるが、それらは必要であれば欧州連合のために用いられることがあるというものである。また作戦に関しては優先権があり、北大西洋条約機構が行動を拒否する場合に限り欧州連合が行動の実施を決定することができる。
 
=== 欧州安全保障戦略 ===
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=== リスボン条約 ===
リスボン条約発効すればにより[[欧州連合外・安全保障政策上級代表]]職が新設される。この職は従来の共通外交・安全保障政策上級代表に代わるものであり、発効が断念された欧州憲法条約で企図されていた「欧州連合の外相」職の代案である。しかしこの職では、加盟国から独立して機能する能力が首脳間での以下のような合意により制限されている。
{{quotation
|The Conference also notes that the provisions covering the Common Foreign and Security Policy do not give new powers to the Commission to initiate decisions or increase the role of the European Parliament.
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== 域外における展開 ==
1999年の意思表示を受けてから欧州安全保障防衛政策のもとでは初めて[[欧州連合部隊]] (EUFOR) が2003年3月に[[マケドニア共和国|マケドニア旧ユーゴスラビア]]において展開した。"[[欧州連合部隊 コンコルディア|コンコルディア]]" (EUFOR Concordia) は北大西洋条約機構の資源・組織の支援を受けて行動し、和平維持に成果をあげたものとみなされ、その後の警察団 "EUPOL Proxima" に引き継がれた。これ以降も小規模ながら、警察、司法、監視団が展開されていった。マケドニアと同様に、欧州連合は[[ボスニア・ヘルツェゴビナ]]においても平和維持活動部隊 "[[欧州連合部隊 アルテア|アルテア]]" (EUFOR Althea) を展開した。
 
2003年5月から9月の間には、[[国際連合安全保障理事会決議]][[国際連合安全保障理事会決議1484|1484]]のもとで[[コンゴ民主共和国]]における「[[アルテミス作戦]]」を展開した。アルテミス作戦では将来の展開において用いられる「枠組国」制度が示されていた。欧州連合は2006年6月にも、コンゴ民主共和国での選挙機関における国際連合の活動を支援するために "欧州連合部隊 DRコンゴ" (EUFOR DR Congo)<!-- -英語読みにしとく、和名困難- -->を派遣した。
 
地理的に、バルカンやコンゴ民主共和国以外で欧州連合の部隊は[[グルジア]]、[[インドネシア]]、[[スーダン]]、[[パレスチナ]]、[[ウクライナ]]、[[モルドバ]]で展開している、また[[イラク]]においては司法ミッション "[[EUJUST Lex]]" を派遣している。2008年には[[チャド]]と[[中央アフリカ]]においても[[国際連合]]とともに部隊の展開を行っている。
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* [http://www.esdpa-org.eu/esdp.html European Security and Defence Press Association - ESDPA]
 
{{DEFAULTSORT:きようつうあんせんほしようほうえいせいさく}}
[[Category:欧州連合の政策]]
[[Category:欧州連合の安全保障]]