「形態素」の版間の差分

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一つの形態素が互いに微妙に異なる複数の現れ方をすることがある。例えば「'''あめ'''ふり」、「'''あま'''やどり」、「きり'''さめ'''」に含まれる「あめ」、「あま」、「さめ」は同じ「雨」という意味を持つ形態素に属していると考えられる。このとき、「あめ」「あま」「さめ」という三つの形態 (morph) は、同一の形態素に属し、互いに[[異形態]]であるという。一つの形態素に属する複数の形態についても、「あめ」のように単独で語として現れ得る自由形態 (free morph) と、「あま-」「-さめ」のように必ず他の形態素にくっついて現れる拘束形態 (bound morph) とを区別することができる。
 
'''文法的形態素'''(ぶんぽうてきけいたいそ)とは、[[語根]] (基礎語幹) で示す観念を特定の[[文法範疇]]へ方向づけるものである。[[比較言語学]]によってその原初的構成部分を分離できる。語根と[[接尾辞]]からなる全体が[[語幹]]を形成するが、[[語基]]と形態素の複合でもある。[[印欧言語学]]では、[[セム系諸言語]]と異なり、この語幹を基礎として全体系が構築される。その理由は、語幹に文法的形態素が前接(加音/[[畳語|重複]]等)するか、後接(接尾)するという、文法的特性を有する形態素の附加により、[[格]]と[[数 (文法)|数]]と[[人称]](語尾の[[活用]][[曲用]])とが示されるからである。([[ギリシア語]]では、「現在の[[相 (言語学)|アスペクト]]の[[動詞]]語幹と[[アオリスト]]のアスペクトの動詞語幹」とが対立し、活用の基礎となる。)
 
そしてこれらに、「派生語」が加わる:形態素の附加により、派生語が形成される。活用や曲用のわく内で同一語が採るさまざまな語形のことでなくて、接尾される形態素により、[[名詞]][[形容詞]]・動詞・[[副詞]]等のあらゆる文法範疇の語が派生する(この派生語はセム語系の「形態素」にも広く通じるものであり、「語基」をもとに、あらゆる文法的形態素が附加され、意味論的観念からも、膨大な派生語([[語彙]])を形成する)。
 
また、形態素の附加とそれから生ずる[[音韻論|音韻]]の変化は、通時的な音韻の変化・発展を考慮する必要をも生じ、同定については[[通時言語学]]的[[音韻論]]に依拠しなければならない。