「092型原子力潜水艦」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
蟻蜂蝗 (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
蟻蜂蝗 (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
1行目:
[[ファイル:JL-1 launch test (1986).JPG|right|thumb|1986年に406号艦から行われたJL-1の発射実験]]
[[Image:JL-1 launch test (1986).JPG|right|thumb|1986年に406号艦から行われたJL-1の発射実験]]
 
'''092型原子力潜水艦'''('''長征6号級''')とは、[[中国海軍]]の[[原子力潜水艦]]。同海軍最初の'''弾道ミサイル原潜(SSBN)'''である。[[091型原子力潜水艦|091型]]を元に、[[弾道ミサイル]]発射筒12基を装備している。[[NATOコード]]は'''夏(シア)(PLAN SSBN Xia class)'''。
 
[[1987年]]に406号艦(長征6号)1隻のみが就役したが、就役以来、放射能事故が頻発したため、10年近くドック入りしていた。[[2009年]]4月23日に行われた国際観艦式には登場しており、現在は稼動状態にあることが確認されている。
== 武装 ==
=== JL-1ミサイル ===
本型は[[JL-1 (ミサイル)|巨浪一型(JL-1)]]弾道ミサイル(発射重量14,700 kg、最大射程2,150 km)を12基装備が可能で、海中に潜んだまま発射できる。このミサイルは、開発計画当初から陸海共用弾道ミサイルとして設計され、姉妹に相当する陸上発射用中距離弾道ミサイル「東風二一型」 ([[DF-21 (ミサイル)|DF-21]]) とほぼ同一である。射程が比較的短いJL-1ミサイルでは戦略核戦力としては不充分であるため、射程延伸型のJL-1A(最大射程3,000-4,000 km)に置換され、さらに後継で射程が8,000 km以上に延伸された[[JL-2 (ミサイル)|巨浪二型(JL-2)]]が開発中である。なおJL-2は潜水艦からの発射が成功したと報道された<ref>稲坂硬一著 軍事研究 2007年5月号 『質的向上続く中国のミサイル戦力』</ref>。
 
=== 魚雷開発 ===
[[1960年代]]後半、中国海軍は最初の原潜整備計画を展開し、建造されたのが[[091型原子力潜水艦]]であった。さらに[[1970年代]]後半には、弾道ミサイル原潜の整備が計画され、建造されたのが本型・092型である。船体は091型を元に、これを拡張して弾道ミサイルを搭載可能なように改造された。
艦首に533mm魚雷発射管を6門装備しており、主に自衛用に対艦・対潜水艦の攻撃に使用できる。
 
== 兵装 ==
;弾道ミサイル
:本型は、潜水艦発射型弾道弾「'''巨浪一号'''([[JL-1_(ミサイル)|JL-1]])」 (核弾頭25万-50万キロトン、必中半径600m、発射重量14,700 kg、最大射程2,150 km-2,500km)12基を、潜航状態で発射可能である。このミサイルは、陸上発射型中距離弾道弾「'''東風二一号'''([[DF-21_(ミサイル)|DF-21]])」 とほぼ同一である。東風二一号は開発計画当初から陸海共用弾道弾として設計されており、巨浪一号はその改造型である。
 
:射程が短いJL-1ミサイルでは戦略的核戦力としては不充分であるため、後に射程延伸型の'''JL-1A'''(最大射程3,000-4,000 km)に置換された。さらに、射程が8,000 km以上に延伸された'''巨浪二号'''(JL-2)が開発中である。なおJL-2は潜水艦からの発射が成功したと報道された<ref>稲坂硬一著 軍事研究 2007年5月号 『質的向上続く中国のミサイル戦力』</ref>。
 
;魚雷
:対艦・対潜用の自衛兵装として、艦首に533mm魚雷発射管を6門を装備している。
 
== 運用 ==
[[北海艦隊]]に所属し、葫蘆島HULUDAO造船廠を拠点に渤海に展開している。性能的には太平洋にも出撃可能だが、中国の近海を離れての長期行動、外洋進出は1度も実施されていない。
406号艦(長征6号)1隻のみが就役したが、1987年に就役して以降、[[漢型原子力潜水艦]]と同様の放射能漏れ事故を起こし、10年近くドック入りしていた。2009年4月23日に行われた国際観艦式には登場しており、現在は稼動状態にあることが確認されている。
 
就役は1隻のみであり、戦略核抑止力としては不十分である(補給や保守で寄港・ドック入り等を含めたローテーション運用に対応するには3-4隻程度の保有が必要)。本型は戦略原潜の技術開発や運用技術の取得、国威発揚などが目的で建造された艦と見られる。
 
本型の後継艦として、現在、[[094型原子力潜水艦|094型]]が開発中である。094型にはではJL-2(巨浪二型)ミサイルの搭載が予定されている。
 
== 諸元 ==
 
{| class="wikitable"
|+ 個艦一覧
 
|-
! 艦号
! 艦名
! 建造工廠
! 所属艦隊
! 起工
! 進水
! 就役
! 退役
 
|-
| 406号
| 長征6号
| 渤海造船廠
| 北海艦隊
| 不明
| 1981年
| 1983年
| 現役
 
|}
 
{| class="wikitable"
北海艦隊に所属し、葫蘆島HULUDAO造船所を拠点に渤海に展開している。性能上は太平洋にも出動できるが中国の近海を離れての長期行動、外洋進出は1度も実施されていない。
|+ 艦型概略
|-
! 名称
| 092型核潜艇
|-
! NATOコード
| 夏級
|-
! 種類
| 弾道ミサイル原子力潜水艦
|-
! 建造期間
| 不明 - 1981年
|-
! 運用期間
| 1983年 - 現役
|-
! 建造数
| 1隻
|-
! 建造者
| 渤海造船廠
|-
! 運用者
| [[中国海軍]][[北海艦隊]]
|-
! 前級
| 無し
|-
! 次級
| [[094型原子力潜水艦|094型]]
 
|-
== 後継艦 ==
! 排水量
就役したのは1隻だけであり、戦略原潜の技術開発や運用技術の取得、国威発揚などが目的で建造された艦と見られる。1隻だけの保有では戦略核抑止力としては不十分で、補給や保守で寄港・ドック入り等を含めたローテーション運用に対応するには3-4隻程度を保有する必要がある。本型の後継艦として、現在、[[晋型原子力潜水艦|晋型]] (Jin class) のNATOコードネームが割り当てられた次世代の弾道ミサイル潜水艦094型が開発されている。晋型ではJL-2(巨浪二型)ミサイルが搭載される予定である。
| 水上6,500t、水中7,000t
|-
! 寸法
| 全長120m、全幅10m、吃水8m
|-
! 速力
| 水上20kt、水中22kt+
|-
! 航続力
| 不明
|-
! 可潜深度
| 300m
|-
! 乗員数
| 100名
|-
! 主機
| 加圧水型原子炉2基(116MW)、蒸気タービン2基、1軸推進
|-
! 兵装
| 533mm発射管6門、VLS12基、[[JL-1_(ミサイル)|巨浪1号]]ミサイル12発
 
|}
== 要目 ==
* 水中排水量(水中): 7,000 t
* 全長: 120 m
* 全幅: 10.0 m
* 吃水: 8.0 m
* 主機関: 加圧水炉型原子炉1基/蒸気タービン2基
* 主軸数: 1軸
* 最大速力: 22 kt
* 最大潜行深度: 300 m前後
* 乗員: 100名
* 武装: 533 mm魚雷発射管6門、JL-1(巨浪)弾道ミサイル発射筒12基
 
== 出典脚注 ==
<references/>
 
== 関連項目 ==
*[[中華人民共和国海軍艦艇一覧]]
*[[漢型原子力潜水艦]]
*[[晋型原子力潜水艦]]
*[[商型原子力潜水艦]]
 
== 外部リンク ==
44 ⟶ 123行目:
* [http://www.sinodefence.com/navy/sub/092.asp Chinese Defence Today]
 
[[Category:中華人民共和国の潜水艦]]
{{warship-stub|しあかた}}
[[Category:中華人民共和国の潜水艦|しあかた]]
[[Category:原子力潜水艦|しあかた]]
 
[[de:Xia-Klasse]]