「フランス・ルネサンスの文学」の版間の差分

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=== 翻訳物語の傾向と国産物語の台頭 ===
この時期のフランスの文学的向は、スペイン人作家[[ディエゴ・デ・サン・ペドロ]]や[[フアン・デ・フロレス]]の作品で描かれていたような情愛や悲愴といったものであった。これらのスペイン作家の作品はもてはやされたが、その淵源は、ある軽蔑された女性を鋭く描き出したボッカッチョの『フィアンメータ嬢』に遡る。この感傷的な調子は、[[エリゼンヌ・ド・クレンヌ]]の『愛から生じる悲痛なる煩悶』の一部にも素晴らしい表現を見いだすことになる。それは、感傷的・騎士道的要素、人文主義的学識、雄弁などがブレンドされたものである。
 
外国の冒険小説は、16世紀後半に、[[ベロアルド・ド・ヴェルヴィル]]や[[ニコラ・ド・モントルー]]といったフランス人作家との競争にさらされることになる。現代では読まれなくなっているこれらの著者は、伝統的な騎士道文学の様式の多くを棄て、2つの新たなインスピレーションの源から借用した技術や付随事項に置き換えた。その2つとは、[[ヘリオドルス]]や[[ロングス]]らによる古代ギリシャの小説、およびイタリアやスペインから流入した詩と散文が渾然となった牧歌的小説である。