「クラッチ」の版間の差分

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{{otheruses|クラッチ}}
[[fileファイル:Clutch_explosion.jpg|thumb|300px|自動車用乾式単板クラッチの模式図: <font color={{Color|#44EE44>|クラッチプレート(中央)</font>}}は、[[フライホイール]](左)に取り付けられたクラッチカバー(図には示されていない)に内蔵されているプレッシャープレート(右)のプレートスプリング(ダイヤフラムスプリング)に押さえつけられる形で、[[フライホイール]]と共に回転して動力を伝達している。クラッチペダルを踏むと、レリーズフォーク(クラッチレバー)が黒い矢印の方向に押され、レリーズベアリング(スラストベアリング)がプレートスプリングを押す事でクラッチプレートはプレッシャープレートから解放されて動力伝達が切られる仕組みである。なお、この図のレリーズフォークはプレートスプリングを押し込む'''プッシュ式'''であるが、車両によってはプレートスプリングを引く事で動力伝達を制御する'''プル式'''も存在する。]]
'''クラッチ''' (''Clutch'') は、[[回転]][[動力]]を伝達するための[[機械要素]]の一つである。入力軸と出力軸を機械的あるいは電磁的に結合し、原動機軸の回転を被駆動軸に伝えるもので、結合を解くことにより被駆動軸への回転の伝達を止めることができる。
 
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==クラッチの分類==
===噛み合いクラッチ===
[[Imageファイル:dog clutch-1.jpg|thumb|right|身近に存在する噛み合いクラッチの一例、[[電子レンジ]]の回転皿の噛み合いクラッチ機構]]
入力軸、出力軸それぞれに取り付けた互いに噛み合う爪を利用し、動力を伝達する形式のもの。摩擦で伝達するのではなく、噛み合いで動力を伝達する為、動力のスリップロスが許されない箇所に使用される。その為、トルク伝達を制御する目的では使用されない。噛み合う歯形としては三角、角、台形がある。歯形によっては逆転運転ができないものもある。
 
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===湿式・乾式クラッチ===
[[Imageファイル:Clutch disc.JPG|thumb|right|200px|自動車用乾式クラッチディスク(クラッチプレート)の一例<br />(三菱4G63エンジン用)<br />摩擦材はメタル系。円周方向に6本のダンパースプリングが設けられた強化型クラッチである。]]
[[Imageファイル:Cutch cover.JPG|thumb|right|200px|自動車用乾式クラッチカバーの一例<br />(三菱4G63エンジン用)]]
 
両者とも、入力軸と出力軸のそれぞれに接続された円板同士を接触させることで生じる[[摩擦力]]により、動力の伝達を行うクラッチである。湿式クラッチは、[[潤滑]]油により円板を潤滑するもので、耐[[摩耗]]性や冷却性に優れる。これに対して乾式クラッチは潤滑を行わないもので、湿式クラッチに比べると構造が単純で保守性が高く、動力の遮断性に優れる。
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===遠心クラッチ===
[[Imageファイル:CentrifugalClutch.jpg|250px|thumb|right|[[チェーンソー]]の遠心クラッチ。[[チェーン]]は遠心クラッチの外側に取り付けられた[[スプロケット]]にセットされる。]]
遠心クラッチとは、主として車や自動二輪において原動機の回転力を駆動力として伝達するために用いられており、原動機より伝達された回転力を摩擦抵抗の大きな物質('''クラッチシュー''')により、同軸上にある受け側の装置('''クラッチアウター''')に回転力を伝える装置である。
 
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===電磁クラッチ===
動力の断続を、[[電磁石]]への[[電力]]の断続をもって行う機構である。<br />
機構そのものをプーリーに内蔵できるため、サイズを小型化できるメリットがあり、
「常時動力伝達の必要のない製品」に多く用いられる。身近な例ではカーエアコンの動力伝達に採用されている(多くの採用例はコンプレッサなどの圧縮装置である)。<br />
また、動力の伝達率(自動車で云う半クラッチ領域)を、電流の強さでほぼ無段階に調整できる強みがあり、
[[無段変速機|CVT]](無段階変速機)との組み合わせで[[トルクコンバータ]]の代わりとして用いられる例もある。
高度電子化の著しい現代の自動車に於いて、電気で直接制御できる電磁クラッチの強みを生かした例といえる。<br />
[[マニュアルトランスミッション]]では[[スバル・レックス]]に初めて採用された<br />
[[オートマチックトランスミッション]]では[[スバル]]の[[ECVT]](Electro Continuously Variable Transmission)に採用
 
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=== 円錐クラッチ ===
[[Imageファイル:Cone clutch.svg|250px|right|thumb|円錐クラッチの模式図: <br />1. 円錐(コーン): <font color="{{Color|#227733">|雌円錐(female cone) (緑)</font>}}, <font color="{{Color|#335577">|雄円錐(male cone)(青)</font>}} <br />2. インプットシャフト: [[スプライン]]が刻まれており、雄円錐が前後移動する。<br />3. 摩擦材: 雄円錐側に設けられ、摩擦で動力を伝達する <br />4. リターンスプリング: クラッチペダルを離すと、雄円錐を雌円錐側に押し戻す。 <br />5. クラッチコントロール: クラッチペダルを踏む事で動力伝達が切られる。 <br />6. アウトプットシャフト: エンジン側の動力を円錐クラッチに伝達する]]
'''コーンクラッチ'''とも呼ばれるこのクラッチは乾式摩擦クラッチの一種であるが、2つの円板が動力を伝達する乾式円板クラッチと異なり動力伝達に2つの円錐状(テーパー)のコーンを用いる。円錐クラッチは[[楔]]と同じ原理で食い込む動作によって同じサイズの円板クラッチよりも高いトルク伝達性能を持つ。戦前以前の自動車([[フォード・モデルT]]など)や[[戦車]]などの軍用車両の[[マニュアルトランスミッション]]で一般的であったが、クラッチ機構その物が[[フライホイール]]の役割を兼ねる関係上、クラッチ自体の重さ及び操作力が非常に重い事と、円板クラッチの摩擦材が改良されてトルク伝達特性が良くなった事から、現在では円錐クラッチは比較的低速回転の機器を除いては余り使用されなくなった。比較的身近な例として、[[マニュアルトランスミッション]]のシンクロメッシュ機構に小型の円錐クラッチが用いられている。
 
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==クラッチの操作==
[[Imageファイル:Pedalerie Peugeot 206.jpg|thumb|200px|自動車運転席下部のペダル。左から'''クラッチペダル'''・[[ブレーキペダル]]・[[アクセルペダル]] ]]
クラッチは、[[エンジン]]からの[[駆動力]]を[[駆動輪]]に伝え、またその伝え具合を調整する働きを持つ。エンジンからの駆動力が駆動輪にまったく伝わっていない状態を「クラッチが切れている」と表現し、この状態にすることを「クラッチを切る」という。反対に、エンジンからの駆動力を完全に駆動輪に伝えている状態を「クラッチがつながっている」と表現し、この状態にすることを「クラッチをつなぐ」という。
 
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==クラッチのメンテナンス==
[[Imageファイル:PilotShaftGuideTool.jpg|thumb|right|200px|海外で販売される純正互換部品のクラッチキットに付属する事が多い樹脂製のパイロットシャフトガイドツール。クラッチカバーの装着の際に、クラッチプレートの芯出しの為にこのような特殊工具が必要となるが、丸棒に粘着テープを巻いただけの簡易工具でも代用が可能である。]]
[[Imageファイル:Ford Cologne V6 2.9 back.jpg|thumb|right|200px|[[フォード]]V6エンジンを後方から見たところ。クラッチカバーがフライホイールに取り付けられている様子が良く分かる。カバー内部にクラッチプレートを入れておき、上記のツールで芯出しを行ってからトランスミッションをクラッチプレートのスプラインに差し込むようにしてエンジンと結合する。]]
クラッチは経年使用により摩擦材が摩耗し、最終的には滑り症状が発生して動力の伝達が不可能となる為に、定期的に交換するか、滑りの症状が見られ始めたら直ちに交換する事が必要である。
 
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{{自動車部品}}
[[category{{DEFAULTSORT:機械|くらつち]]}}
[[Category:機械]]
[[Category:自動車トランスミッション技術|くらつち]]
 
[[af:Koppelaar]]