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アダルトゲームの業界事情2010-02-24T11:41:41(UTC)
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本記事では性的表現があるために成人向けに販売されている[[コンピュータゲーム]]ソフト、すなわち'''アダルトゲーム'''([[和製英語]]:'''Adult game''')の、業界事情に関する部分を解説する。
 
==市場規模==
直接アダルトゲームの市場規模を調査した例がないため、どの位の市場規模があるのかは不明である。[[2004年]]に[[野村総合研究所]]が調査した「『オタク層』の市場規模推計と実態に関する調査」によれば、パーソナルコンピューターでゲームをしている層を14万人、市場規模190億円と推計しており、アダルトゲームの市場規模はその内の一部ということになる。2003年の家庭用ゲーム機用ゲームソフトは全機種併せて約1100タイトル、パソコン用アダルトゲームは約600タイトル発売されており、発売タイトル数でいえばコンピューターゲームでもそれなりの数量であるが、売上数は一般的に1万本売れればヒット、3000~5000本がペイライン(損益分岐点)の、映像DVDなどと同程度の規模となっている。
 
==制作会社==
アダルトゲームの制作会社は、2009年6月現在233社が[[コンピュータソフトウェア倫理機構]](ソフ倫)に正会員として加盟している。また、[[コンテンツ・ソフト協同組合]]メディア倫理委員会(メディ倫)での審査を行っているメーカーも存在する。メーカーによっては複数のブランドを保有しており、およそ600から700ものブランドが現存していると推定される。[[ビジュアルアーツ]]や[[TGL|テイジイエル企画]]の[[パートナーブランド]]のようにゲームソフト卸や一部のゲーム会社が自社の傘下に入る事を条件に資金援助するシステムが広く確立されており、新規参入に際しては比較的容易で毎年数十のブランドが新たに登場するが、その一方でそれに近い数のブランドが消滅してゆく。
 
アダルトゲームの制作会社は規模の大小こそあれ、家庭用ゲームの制作会社と比較すればおおむね小規模で、[[商法]]上の区分でいえばメジャータイトルを制作するメーカーでも[[中小企業]]、大半は従業員10人未満の零細企業である。自社ビルを所有する会社はほんの数社程度であり、マンションの一室を住居兼仕事場にするケースも珍しくない。労働条件については家庭用ゲーム制作会社同様に、ごく一部の例外を除きほぼ一様に劣悪で、福利厚生面も脆弱であると言われている。
 
狭隘な市場に小規模多数の会社が存在するため売り上げ規模も小さく、ゲームだけでは経営を維持する事は難しく、資金繰りの為に中小企業向けの業務用アプリケーションやウェブデザイン、携帯電話向けソフトの下請け製作など、別のビジネスを行っているメーカーも多く、ゲーム開発チーム名とは異なるブランド名を用意して、こちらを前面に出している所も存在する。
そのため、プロデュースなどと謳われていても実態としては販売代行のみ行い、実際の製作会社は非公開になっているケースや、アダルトゲームの発売に本来の企業名が出ると差し障りが出ると考える家庭用ゲーム機用ソフトの開発チームが、ソフ倫審査を通過させて販売する為に[[OEM]]製造に近い形式でアダルトゲームを制作して、表に出る側のブランドが委託を受けて審査・販売・広告宣伝などを担当するケースもある。
 
==業界事情==
===小規模な制作組織===
上述した様に、アダルトゲームの開発を行っているブランド(企業)の大半は小規模で、法人化を果たしていてもいわゆる零細企業が大半である。
 
その様な規模の小ささもあって資金・コストの面では常に厳しい一面があり、多くのブランドが上述している様に様々なサイドビジネスを行い、アダルトゲーム以外でも開発資金・活動費用の確保を行っている。それでも、制作作業に必要な人員全てを[[正規雇用]]の形で常時雇用し続ける事が不可能なブランドは多い。この為、結局は代表者をはじめごく少数の主要メンバーだけが常勤となる小規模な組織による制作となり、作品制作の少なからぬ部分を外注に依存することも当たり前に行われている。エンディングで「スペシャルサンクス」などの名目で他のブランドやその関係者が列挙されるのはこの為である。
 
===制作コストの上昇===
アダルトゲームの販売規模はその大半においてコンシューマ機向けのゲームよりも小規模であるが、コンシューマ機向けのゲームと同様に、本格的な宣伝用[[動画]]の制作・[[主題歌]]の添付・初回特典グッズの充実など様々な要素が要求される様になり、これらが複合的に重なって制作コストやパッケージとしての規模が増大化しており、それら付随的な企画に要するコストや労力もメーカーにとっては負担を増す要因となっている。
 
2000年代に入ってからは、特に動画・楽曲・音声といった専門的な技術が要求される部分が標準的な要素となり、これらの出来不出来が売り上げ本数に影響を及ぼす様になっているが、これらについては内製を行う為の専門スタッフを擁しているメーカーは少数派であり、ほとんどが外注に依存している上、[[テレビアニメ]]などに近い水準のものが要求される様になり、製作費用をより肥大化傾向に追い込む要因となっている。このためゲーム販売本数的に成功と言われるものであっても製作費をそのゲームソフト単体では回収しきれないものすら出てきており、利益確保の為に[[ファンディスク]]など関連作品の制作や家庭用ゲーム機への移植、キャラクターグッズ販売といった版権利用を展開しているが、それでもトータルでの制作費の増大が経理面から経営に重くのしかかり、ついにはゲームソフトの新規開発を断念・休止するところも現れる様になっている。
 
===品質管理===
開発チームが小規模であるためゲーム制作の工程管理が難しいことから、ゲームの発売が繰り返し延期されたり、発売されたゲームに数多くの[[バグ]]が存在しパッチが発売後に幾度も配布されるなど、品質面での管理能力に疑問を抱かざるを得ない、またその様な事がファンから指摘されているブランドも枚挙に暇がない。
 
近年は[[インターネット]]の普及により修正差分の配布が容易になったことなどもあり、製品品質の維持が疎かになる傾向が見られ、バグの増加も顕著になっており、いまやバグも発売延期も無いゲーム自体が稀になってしまった。バグの内容は様々であるが、動作不能になるなどゲームの進行において致命的な問題を引き起こすのみではなく、中には[[インストール]]の際に誤って[[ハードディスク]]の全内容を消去してしまうという深刻なバグを残したまま発売され、不具合が製品回収騒ぎに発展した作品もある。
 
また、発売延期という点では、当初予定していたよりも構想が膨らみ過ぎ、シナリオや画像の追加を延々と繰り返すなどした挙げ句、当初発表していた予定時期から年単位での発売遅延が発生するなど、根本的な部分で作品を制作する為の工程管理が完全に破綻しているケースも見られる。
 
===開発スタッフ===
小規模な組織が多いゆえに開発チームや人材の離合集散が激しい事は、アダルトゲーム業界の一大特徴である。ブランドの発足・改廃・活動休止も活発であり、さらには人間関係のもつれ・給与遅配など組織内部での問題から突発的に開発チームが独立したり解散する場合も多く、後述するが特定の[[クリエイター]]個人の動向がブランド・企業自体の存廃までをも直接左右してしまうという事態も起きる。
 
何らかの理由・目的により開発チームを離脱したクリエイターの中でも、既に人気・知名度を獲得しており、この業界での活動を継続する意志がある者の場合、多くは以下の様な選択肢の中から、自らが置かれた状況に応じて進路を選択する事となる。
* [[ヘッドハンティング]]による他社への転籍
* 自主的移籍
* 自身が中心となる新ブランドの設立・盟友である人物が中心となる新ブランドの設立への関与
* [[フリーランス]](外注)のクリエイターへの転身
* [[イラストレーター]]などとの兼業
この業界の人材の流動の活発さを活かして、特にキャラクター[[原画]]・[[シナリオ]]のスタッフについてはフリーランスのクリエイターとして業界を渡り歩く者も多い。その中でも特に人気の高い原画担当者については、その関与がゲームソフトやゲーム関連雑誌、さらには[[メディアミックス]]情報誌、[[ライトノベル]](挿絵を担当)などの売上向上に大きく寄与するため、フリーランスになった途端にイラストレーターとしても引く手数多という状態になることも珍しくない。
 
その一方で、ライトノベルの挿絵などについて社内スタッフの副業を認め、奨励しているメーカーも多い。
* スタッフの知名度アップと、それによる自社製品の販売力向上
* スタッフの収入確保と社外への流出防止
* 開発スケジュールの手の空いた時期の仕事の確保
* マルチメディア系出版社との[[コネクション]]の醸成(さらには自社作品のメディアミックス展開)への期待
* スタッフとなる以前から継続している仕事・収入源である
会社側がスタッフの副業を認める要因は主にこれらであるが、逆にこの副業で人気を博した者がフリーランスの[[イラストレーター]]や[[シナリオライター]]として独立してしまうケースも見られる。また、副業を行うスタッフがメーカーの経営者や幹部である場合などには、自らの直接の収入ではなくメーカー経営の一助として行っている場合も見られる。
 
なお、原画であっても特に背景画については、アニメ背景を主業とする下請けプロダクションがアニメ業界における同業者の乱立などを背景にアダルトゲーム業界にも進出してきている事と、人物を魅力的に描ける原画担当者であっても背景画の技術が伴っていない事が少なくない事から、近年では外注での制作が当たり前になってきている。また、[[I've]]や[[Feel (音楽プロジェクト)|feel]]などアダルトゲームの音楽を外注として手掛ける製作集団が台頭し、彼らの音楽(特に主題歌)もゲームにとっては販売促進の効果を持つ話題性を持ち得る事から、[[主題歌]]や[[BGM]]についても近年は内製率が低下し、音楽専門のスタッフが専属として在籍しているメーカーは中堅以下では少なくなっており、在籍していても実際には幹部社員や[[プロデューサー]]などとの兼職である事も見られる。[[効果音]]についても外部の専門業者からの素材調達がごく当たり前になっている。
 
他方、アダルトゲーム業界はクリエイターへの依存度が際立って高いという事も業界体質の特徴として挙げられる。[[インターネット]]上を中心とする購買層からの評価や要求が厳しいほどに売り上げに直結している業界であり、ここで評価の直接の対象とされる事も多いキャラクター原画やシナリオなどの特定のクリエイター個人の人気度と、ブランドの人気度が完全に同義となっている開発チーム・ブランドは別段珍しいものではない。ことにアダルトゲームの場合はビジュアル面での訴求力が最重要視される事から、美少女キャラクターをデザインする原画スタッフのセンスと画力にかかる割合は際立って大きい。その為、これらスタッフの人気の沸騰により知名度・販売力が短期間で著しく向上してゆくブランドも多い一方、いかなる理由であれ、専属の社員や半専属的な外注として[[カリスマ]]的人気を得てブランド人気を一手に支えてきた特定のスタッフの離脱が、ブランドや開発チームへの求心力の崩壊を引き起こし、場合によっては組織の存続に関わる問題にまで直結してしまうケースも見られ、これが活動終了の直接の理由となったブランドも存在する。また、噂の域を出ないものが多いとはいえ、前作の成功で一躍人気となったクリエイターが増長してしまい、[[パワーハラスメント]]などの問題を引き起こしたとされる話も、この業界では過去幾度となく聞かれている。この場合、作品・ブランドの訴求力維持に不可欠な人材であるだけに同僚もそのわがままを抑えられない状態となり、次回作の製作に際して他のスタッフの仕事にも干渉し、結果として作品全体に悪影響を及ぼしたり、グラフィック・シナリオなどの完成度にこだわり過ぎて製作期間の大幅な超過を引き起こすなど、小規模組織内の特定人物の突出した人気ゆえの問題に悩まされ、これにより終了に追い込まれた人気作品のシリーズもあると言われている。
 
しかし、その一方でこの業界のクリエイターについては「'''消耗品'''」「'''使い捨て'''」と揶揄される事さえあるほどに、消長盛衰が大変激しいという一面も持ち合わせている。この消長盛衰の激しさを生む背景としては、以下の様な要因が挙げられる。
* 創作活動・多忙・長時間労働による精神的な消耗の激しさ
* 低収入による事実上の廃業
* メインスタッフとして携わった作品の商業的失敗・インターネット上での低評価や酷評
* 新たな才能や表現技法が次々と登場してくる事による淘汰
* クリエイター自身が人気の維持・向上の為に作風を変化させようとして、かえって人気であった要素を自ら崩してしまう
商業的に成功しているクリエイターや古参ブランドの中心人物には、20年を超えるキャリアを持ち、40代半ばを超えてもなおアダルトゲームの制作に第一線で携わり続けている人物も見られるが、その一方で、大々的な成功を収めたクリエイターであっても、[[結婚]]・[[出産]]といった生活の変化や加齢などによる心境の変化と共に性描写を描きにくくなるなどして、比較的短期間の活動、あるいは20代でアダルトゲーム業界から離れてゆく者は珍しくない。他方、コンシューマ機のゲームよりも売上・予算の規模が小さいものがほとんどであるだけに、特に外注の立場にあって人気を得たフリーランスのクリエイターの場合、人気を博した事で起用に高い[[ギャランティー]]が必要になるというイメージをメーカー側に抱かれてしまい、人気と実力の高さは認められながらも予算面の都合から依頼が減少しかえって仕事を失い、結果としてアダルトゲーム業界から離れていったと言われている者も存在する。
 
アダルトゲーム業界のクリエイターについては、原画担当の場合には[[漫画家]]やイラストレーター・[[アニメーター]]に、シナリオライターの場合はライトノベルや[[ジュブナイルポルノ]]の[[小説家]]、雑誌や書籍の[[ライター]]、あるいはアニメの[[脚本家]]などといった文筆業に転業したり、転業を試みた、また完全に転業しなくともこれら分野で仕事をするケースは多数見られる。特に商業出版でもライトノベルやメディアミックス情報誌など青年層以下を対象とした分野の出版物では、現在ではアダルトゲームの業界を経験した人物はさして珍しいものではなくなっている。これらの中には、[[ライトノベル]]関係の仕事などを足掛かりにして、非アダルトの分野へとクリエイター活動の軸足を移してゆく者も少なくないが、それでも結局は、アダルトゲーム以上に集団製作が基本で個人単位の嗜好の介在し得る割合が比較的小さいアニメ産業へ転職するケースを例外とすれば、かなりの割合でいわゆる[[萌え]]産業の範囲内にその身を置く事になる(アニメ関連の業界へ転じた人物以外で、転業後も何らかのクリエイター的な職業を続けながら萌え産業の範疇から脱出した非常に稀有な例としては、最終的に一般文芸の[[小説家]]として認知されている山田桜丸(現:[[桜庭一樹]])が存在する)。
 
その一方、商業出版での創作活動について回る様々な制約や規制を嫌った者や、あるいはゲーム産業よりも日程管理の厳しい商業出版の世界への適応ができなかった者、元々から[[同人]]の分野で大々的に活動しており、そちらでも高い知名度と人気を持っている者の一部には、メジャーシーンの商業作品とは一線を画した、俗に『[[同人#「プロ同人」|プロ同人]]』と呼ばれる、[[コミックマーケット]]などの同人イベントや、[[同人ショップ]]による同人誌・同人ソフトの[[委託販売]]などに活路を求めるケースも見られている。
 
{{DEFAULTSORT:あたるとけえむのきようかいししよう}}
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