「ギンガメアジ」の版間の差分

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竃馬 (会話 | 投稿記録)
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|英名=[[w:Bigeye trevally|Bigeye trevally]]}}
[[ファイル:Caranx sexfasciatus distribution.png|thumb|240px|ギンガメアジの分布域]]
'''ギンガメアジ'''(銀紙鯵、銀亀鯵、銀河目鯵)、学名 ''Caranx sexfasciatus'' は、スズキ目アジ科に分類される魚の一種。[[インド洋]]・[[太平洋]]の熱帯・亜熱帯海域に分布する大型の[[アジ]]である。海水魚だが若魚は河[[川]]の純淡水域までも侵入する。食用にもなる。
== 名称 ==
標準和名「ギンガメアジ」は[[長崎県|長崎]]での呼称に因み、銀色の体表が[[銀紙]]を張ったように見えることから「銀紙鯵」と表記する。しかし[[釣り]]や[[スクーバダイビング]]等においては「銀河目鯵」の字を充てる人も多い。日本での地方名は他にヒラアジ(各地)、ヒラジ([[浜名湖]]沿岸)、[[めっき|メッキ]]([[和歌山県|和歌山]]、体色から)、ナガエバ([[高知県|高知]])、エバ(高知・[[鹿児島県|鹿児島]])、ゼンメ、ガツン(鹿児島)、クチミチャー([[沖縄県|沖縄]])等があるが、これらは本種のみならず扁平な体型の大型アジ類の総称として用いられる<ref name="蒲原・岡村">蒲原稔治著・岡村収補訂『エコロン自然シリーズ 魚』1966年初版・1996年改訂 保育社 ISBN 4586321091</ref><ref name="木下">川那部浩哉・水野信彦・細谷和海編『山渓カラー名鑑 改訂版 日本の淡水魚』(ギンガメアジ解説 : 木下泉)1989年初版・2005年第3版 ISBN 4635090213</ref><ref name="四宮・米沢">鹿児島の自然を記録する会編『川の生き物図鑑 鹿児島の水辺から』(解説 : 四宮明彦・米沢俊彦)2002年 南方新社 ISBN 493137669X</ref><ref name="石川">石川皓章『釣った魚が必ずわかるカラー図鑑』2004年 永岡書店 ISBN 4522213727</ref><ref name="望月">望月賢二『図説 魚と貝の事典』2005年 柏書房 ISBN 4760126570</ref><ref name="本村">本村浩之監修 [[いおワールドかごしま水族館]]『鹿児島の定置網の魚たち』2008年</ref>。
 
学名の種名"''sexfasciatus''"は「[[6]]本の帯がある」という意味で、幼魚の横縞模様に由来する。英名"Bigeye trevally"は、大型アジ類の中でも特に[[目|眼]]が大きいことに因む。
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[[ミナミギンガメアジ]] ''C. tille'' は本種とよく似ているが、吻が丸いこと、稜鱗が黒くないことで区別できる<ref name="北">[[鹿児島大学]]総合研究博物館ニュースレター [http://www.museum.kagoshima-u.ac.jp/publications/pdf_images/newsletter/NL16-web.pdf No.16]・13頁(ミナミギンガメアジ解説 : 北奈美) 2007年5月発行 ISSN 1346-7220</ref>。他にも[[ロウニンアジ]]、[[オニヒラアジ]]、[[カスミアジ]]、[[カッポレ]]等多くの同属種がいるが、本種より眼が小さいこと、鰓蓋上部に黒斑がないこと、体色が異なること等で区別できる<ref name="石川" /><ref name="木村" />。
==生態==
[[インド洋]][[太平洋]]の熱帯海域に分布する。所謂[[インド太平洋]]のみならず[[バハ・カリフォルニア半島]]から[[エクアドル]]沿岸までの東部太平洋にも分布している。またハワイではカスミアジとの[[交雑]]個体が報告されている。日本では南日本の暖流に面した海域に見られ、温暖な南西諸島沿岸で個体数が多い<ref name="四宮・米沢" /><ref name="本村" /><ref name="FishBase" /><ref name="木村" />。[[関東地方]]以北にも暖流に乗って稚魚がやって来るが、これらの大部分は「死滅[[回遊]]」(無効分散)となり、冬の寒さを乗り切れず死んでしまう。但し工場等から温かい排水がある水域では生き残ることもある<ref name="石川" />。
 
成魚は沿岸の水深200mまでの[[サンゴ礁]]・岩礁域周辺に生息し、単独か群れで行動する。昼は群れでサンゴ礁周辺に留まっていることが多く、夜に餌を探す。食性は肉食で、小魚や甲殻類を捕食する<ref name="FishBase" /><ref name="木村" />。
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産卵期は4-7月で、海域で分離浮遊卵を産卵する。卵から孵化した稚魚は[[流れ藻]]に付くものもいるが、全長3cm程度から沿岸に定着し、内湾や[[汽水域]]で成長する。中には河川を遡上し純淡水域まで進入するものもいる。インド太平洋産のギンガメアジ属の中では、ロウニンアジやオニヒラアジの幼魚も汽水域まで侵入するが、本種のように純淡水域まで入ることはない。淡水域では[[アユ]]、[[オイカワ]]、[[カワムツ]]、[[ヨシノボリ]]類などの淡水魚やエビ類を捕食している<ref name="木下" /><ref name="石川" /><ref name="本村" />。成長すると海のサンゴ礁域へ移る。
==利用==
他のギンガメアジ属と同様に[[釣り]]や[[定置網]]等で漁獲され、食用となる。若魚・成魚とも[[ルアー]]をよく追うため、釣りの対象としての人気もある。身はよく締まり、[[刺身]]、[[煮魚|煮付け]]、[[唐揚げ]]等で食べられる。但し本種は[[シガテラ]]中毒の報告があるので、熱帯海域産の大型個体は食べないよう注意が必要である。
 
食用以外にも、サンゴ礁域に棲む成魚は[[スクーバダイビング|スクーバダイビング(スキューバダイビング)]]における観察対象にもなっている<ref name="石川" /><ref name="本村" /><ref name="FishBase" /><ref name="木村" />。
==参考文献==
{{Wikispecies|Caranx sexfasciatus}}