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江戸時代の辞書『和訓栞』に記述のある[[信濃国|信州]](現・[[長野県]])の雷獣は灰色の子犬のような獣で、頭が長く、[[キツネ]]より太い尾と[[ワシ]]のように鋭い爪を持っていたという<ref name="hino">{{Cite book|和書|author=日野巌|title=動物妖怪譚|volume=上|year=2006|publisher=[[中央公論新社]]|series=[[中公文庫]]|isbn=978-4-12-204791-4|pages=279-288頁}}</ref>。長野の雷獣は天保時代の古書『信濃奇勝録』にも記述があり、同書によれば立科山(長野の[[蓼科山]])は雷獣が住むので雷岳ともいい、その雷獣は子犬のような姿で、[[ムジナ]]に似た体毛、ワシのように鋭い5本の爪を持ち、冬は穴を穿って土中に入るために千年&#x9F39;(せんねんもぐら)ともいうとある<ref name="murakami" />。
 
江戸時代の随筆『北&#x7abb;瑣談』では、[[下野国]]烏山(現・[[栃木県]][[那須烏山市]])の雷獣はイタチより大きなネズミのようで、4本脚の爪はとても鋭いとある。夏の時期、山のあちこちに自然にあいた穴から雷獣が首を出して空を見ており、自分が乗れる雲を見つけるとたちまち雲に飛び移るが、そのときは必ず雷が鳴るという<ref>{{Cite book|和書|author=橘春暉|editor=[[柴田宵曲]]編|year=1961|title=随筆辞典 第4巻 奇談異聞編|publisher=[[東京堂出版|東京堂]]|volume=第4巻|pages=448頁|chapter=北&#x7abb;瑣談}}</ref>。
 
江戸中期の[[越後国]](現・[[新潟県]])についての百科全書『越後名寄』によれば、[[安永]]時代に松城という武家に落雷とともに獣が落ちたので捕獲すると、形・大きさ共にネコのようで、体毛は艶のある灰色で、日中には黄茶色で金色に輝き、腹部は逆向きに毛が生え、毛の先は二岐に分かれていた。天気の良い日は眠るらしく頭を下げ、逆に風雨の日は元気になった。捕らえることができたのは、天から落ちたときに足を痛めたためであり、傷が治癒してから解放したという<ref name="ehon" />。
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== その他の伝説 ==
[[松浦清|松浦静山]]の随筆『甲子夜話』によれば、雷獣が大きな火の塊とともに落ち、近くにいた者が捕らえようとしたところ、頬をかきむしられ、雷獣の毒気に当てられて寝込んだというr<ref name="ehonkasshiyawa">{{Cite book|和書|author=橘春暉|editor=[[松浦清|松浦静山]]|title=随筆辞典|volume=第4巻|pages=448頁|chapter=甲子夜話}}</ref>。また同書には、[[出羽国]]秋田で雷と共に降りた雷獣を、ある者が捕らえて煮て食べたという話もある<ref name="hino" />。
 
また同書にある、江戸時代の画家・谷文晁(たに ぶんちょう)の説によれば、雷が落ちた場所のそばにいた人間は気がふれることが多いが、[[トウモロコシ]]を食べさせると治るという。ある武家の[[武家奉公人|中間]]が、落雷のそばにいたために廃人になったが、文晁がトウモロコシの粉末を食べさせると正気に戻ったという。また、雷獣を2,3年飼っているという者から文晁が聞いたところによると、雷獣はトウモロコシを好んで食べるものだという<ref>{{Cite book|和書|authorname=[[松浦清|松浦静山]]|title=随筆辞典"kasshiyawa" 第4巻 奇談異聞編|pages=448頁|chapter=甲子夜話}}</ref>。
 
江戸時代の奇談集『[[絵本百物語]]』にも「かみなり」と題し、以下のように雷獣の記述がある。下野の国の筑波<ref>[[筑波郡|筑波]]は[[下野国|下野]]ではなく[[常陸国|常陸]]の地名であり、『絵本百物語』文中の「下野の国」は「常陸の国」の誤りとされる。</ref>付近の山には雷獣という獣が住み、普段はネコのようにおとなしいが、夕立雲の起こるときに猛々しい勢いで空中へ駆けるという。この獣が作物を荒らすときには人々がこれを狩り立て、里の民はこれを「かみなり狩り」と称するという。[[日光山|二荒山]]付近でもこの獣を見る人がおり、江戸中期の学者・[[新井白石]]も随筆にこのことを詳しく記している<ref>{{Cite book|和書|title=竹原春泉 絵本百物語 -桃山人夜話-|pages=98頁}}</ref>。
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各種古典に記録されている雷獣の大きさ、外見、鋭い爪、木に登る、木を引っかくなどの特徴が実在の動物である[[ハクビシン]]と共通すること、江戸で見世物にされていた雷獣の説明もハクビシンに合うこと、江戸時代当時にはハクビシンの個体数が少なくてまだハクビシンという名前が与えられていなかったことが推測されるため、ハクビシンが雷獣と見なされていたとする説がある<ref name="miyamoto">{{Cite web|author=宮本拓海|date=2007-7-1|url=http://ikimonotuusin.com/doc/367.htm|title=〔今日の動物探偵!〕 本所七不思議の謎を解く! その2|work=[http://ikimonotuusin.com/index.html いきもの通信]|accessdate=2008-11-24}}</ref><ref>{{Cite web|author=[[千石正一]]|date=2008-2-15|url=http://diamond.jp/series/sengoku/10009/?page=3|title=~「寅」を食べる~ 食う虎 食わぬ虎|work=[http://diamond.jp/ ダイヤモンド・オンライン]|publisher=[[ダイヤモンド社]]|accessdate=2008-11-24}}</ref>。江戸時代の書物に描かれた雷獣をハクビシンだと指摘する専門家も存在する<ref>{{Cite web|author=羽山伸一・竹内正彦・古谷益郎|date=2007-3|url=http://www.daishinseika.co.jp/pdf/hakubisin.pdf|title=野生鳥獣被害防止マニュアル - ハクビシン -|format=PDF|publisher=[[農林水産省]]生産局農産振興課環境保全型農業対策室|accessdate=2008-11-24}}</ref>。また、イヌやネコに近い大きさである[[テン]]を正体とする説もあるが、テンは開発の進んでいた江戸の下町などではなく森林に住む動物のため、可能性は低いと見なされている<ref name="miyamoto" />。落雷に驚いて木から落ちた[[モモンガ]]などから想像されたともいわれている<ref name="genju" />。イタチ、[[ムササビ]]、[[アナグマ]]、[[カワウソ]]、[[リス]]などの誤認との説もある<ref>{{Cite book|和書|author=笹間良彦|title=図説・日本未確認生物事典|year=1994|publisher=柏美術出版|isbn=978-4-7601-1299-9|pages=148頁}}</ref>。
 
江戸時代の信州では雷獣を千年鼬(せんねんいたち)ともいい、[[両国 (墨田区)|両国]]で見世物にされたことがあるが、これは現在ではイタチやアナグマを細工して作った偽物だったと指摘されている<ref name="ehon" />。かつて[[愛知県]][[宝飯郡]][[音羽町]](現・[[豊川市]])でも雷獣の見世物があったが、同様にアナグマと指摘されている<ref name="hino" />。
 
また、[[中国神話]]には[[キ (中国神話)|{{lang|zh|夔}}]]という妖怪がおり、[[中国]]最古の地理書といわれる『[[山海経]]』には、{{lang|zh|夔}}の吠え声は雷の轟きのようだとの記述があるが、この{{lang|zh|夔}}が日本における雷獣伝承の起源になったとの説もある<ref name="ehon" />。
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== 創作における雷獣 ==
{{雑多な内容の箇条書き|section=6}}
* [[手塚治虫]]『[[青いブリンク]]』ブリンクは雷獣という設定。
* [[高橋留美子]]『[[犬夜叉]]』【雷獣兄弟飛天・満天(アニメ版では雷獣一族の生き残り、蒼天も登場)】