「減損会計」の版間の差分

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'''減損会計'''(げんそんかいけい、impairment accounting)とは、資産の収益性が低下して投資額の回収が見込めなくなった場合、当該資産の帳簿価額にその価値の下落を反映させる手続きをいう。'''減損処理'''ともいう。
 
広義には会計上のあらゆる資産について適用しうる考え方であるが、通常は、[[有形固定資産]]についての減損会計を指すことが多い。本項では有形固定資産についての減損会計について説明する。なお、[[のれん (会計)|のれん]]などの[[無形固定資産]]も対象とする。
 
==減損会計の適用==
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また、中小企業でも「[[中小企業の会計に関する指針]]」において、固定資産の減損が求められている。
 
[[アメリカ合衆国|米国]]では減損会計が普及していたが、むしろ減損会計を必要以上に用いたことから会計上問題になるほどだった。一方、日本ではまったく行われていなかったため、多くの資産が多額の含み損を抱えているとの問題が指摘されていた。そこで、特定の要件を満たす場合には減損処理を強制することになった。
 
== 減損会計の実務手順 ==
===1. 資産のグルーピング ===
[[キャッシュ・フロー|キャッシュフロー]]はいくつかの資産が相互に関連して生み出される場合が多く、このような場合に減損処理を行う際には1資産グループを基準とするべきである。また、ここで1資産グループとは概ね独立したキャッシュフローを生み出す最小の単位のことをいう
また、ここで1資産グループとは概ね独立したキャッシュフローを生み出す最小の単位のことをいう。
 
===2. 減損の兆候 ===
 
''減損の兆候としては、次の事象が考えられる。''
 
#資産又は資産グループが使用されている'''営業活動'''から生ずる'''損益'''又は'''キャッシュフロー'''が、継続して'''マイナス'''となっているか、あるいは、継続して'''マイナス'''となる見込みであること。
#資産又は資産グループが使用されている範囲又は方法について、当該資産又は資産グループの'''回収可能価額'''を著しく低下させる変化が生じたか、あるいは、生ずる見込みであること。
#資産又は資産グループが使用されている事業に関連して、'''経営環境'''が著しく悪化したか、あるいは、悪化する見込みであること。
#資産又は資産グループの'''市場価格'''が著しく下落したこと。
 
===3. 減損損失の認識 ===
②資産又は資産グループが使用されている範囲又は方法について、当該資産又は資産グループの'''回収可能価額'''を著しく低下させる変化が生じたか、あるいは、生ずる見込みであること。
当該資産又は資産グループに減損の兆候がみられる場合には減損損失の認識を行う。減損損失の認識はいわば減損処理を行うか否かを判断することである。当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュフローの総額が帳簿価額を下回る場合には減損損失を認識する。ただし、当該資産が半永久的にキャッシュフローを生み出す場合などには将来キャッシュフローが現実と乖離してしまう為、キャッシュフローの見積もり期間は資産の経済的耐用年数と20年のうち短い方を用いる。
 
===4. 減損損失の測定 ===
③資産又は資産グループが使用されている事業に関連して、'''経営環境'''が著しく悪化したか、あるいは、悪化する見込みであること。
 
④資産又は資産グループの'''市場価格'''が著しく下落したこと。
 
===3.減損損失の認識===
当該資産又は資産グループに減損の兆候がみられる場合には減損損失の認識を行う。減損損失の認識はいわば減損処理を行うか否かを判断することである。
当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュフローの総額が帳簿価額を下回る場合には減損損失を認識する。ただし、当該資産が半永久的にキャッシュフローを生み出す場合などには将来キャッシュフローが現実と乖離してしまう為、キャッシュフローの見積もり期間は資産の経済的耐用年数と20年の内短い方を用いる。
 
===4.減損損失の測定===
 
===財務諸表のへの注記===
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==関連会計基準等==
*固定資産の減損に係る会計基準固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書(平成14年8月9日企業会計審議会)
*固定資産の減損に係る会計基準の適用指針(平成15年10月31日企業会計基準委員会)