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'''書記言語'''(しょきげんご)とは[[文字]]を媒介とすることを典型とする[[言語変種]]
「書記言語」の対立概念は「口頭言語」である。但し「書記言語」の対立概念を「音声言語」とすることがあり、その場合の「書記言語」は「文字言語」の意味で用いられている可能性がある。
==音声言語との関係 ==▼
== 「文字言語」との関係 ==
書記言語の構造は音声言語の[[音韻論]]・[[音声学]]的体系が[[文字#表記体系|表記体系]]と入れ替わったものであると理解しても間違いではない。ただし実際には表記体系のほとんどが対応する音声言語の音韻の影響を大きく受ける。また後述のように対応する音声言語とは違う[[言葉遣い]]をする事も多い。▼
書記言語は典型的には文字を媒介とする[[文字言語]]で表れる。このため両者はしばしば曖昧に用いられる。しかし書記言語を[[朗読]]して[[音声言語]]として演じることもできる。
口頭言語は全ての[[自然言語]]に存在し、[[母語]]として乳幼児が習得し始めるものであるのに対し、書記言語を持たない言語も少なくなく、その言語が文字を獲得して初めて成立するものである。書記言語しか持たない自然言語は基本的に存在しない。
▲書記言語の構造は音声言語の[[音韻論]]・[[音声学]]的体系が[[文字#表記体系|表記体系]]と入れ替わったものであると理解しても間違いではない。ただし<!--実際には表記体系のほとんどが対応する音声言語の音韻の影響を大きく受ける。また-->後述
中近世の覇者の側の価値観では書記言語を持たないことは[[文明]]が未発展だと看做され[[侵略]]等の正当化の一つとされることがしばしば起こった。書記言語を持たなかった[[民族]]に[[アイヌ]]などがいる。表記体系と口語とは一致しないため、[[ソビエト連邦|ソ連]]時代に[[キリル文字]]が広く使用されるなど、文字の統一などは多くの[[国家]]で文化政策の一環として行われてきた。▼
書記言語の習得には一般に[[教育]]が必要とされる。そのため正常な子供が成長に伴い自然に習得する口頭言語とは異なり、[[識字]]層しか十分に使いこなすことができない。また[[方言]]には書記言語を持たないものが少なくなく、日常会話を方言で行い、公的な場では書記言語によってコミュニケーションをとる話者が多く存在する。そのため書記言語は規範的・公的・価値の高い言語変種と考えられやすく、口頭言語としての方言は非規範的で価値の低い言語変種と考えられやすい。
▲中近世の覇者の側の価値観では書記言語を持たないことは[[文明]]が未発展だと看做され[[侵略]]等の正当化の一つとされることがしばしば起こった。書記言語を持たなかった[[民族]]に[[アイヌ]]などがいる。
一般に書記言語は音声言語と比べて変化が遅く、時間が経つにつれ音声言語が大きく変化して、書記言語と同じ言語とは言い難いほど違ってしまう場合がある。このように用途によって言語が大きく違う状況を[[ダイグロシア]]という。書記言語も音声言語を反映して、対応する音声言語と語彙や文法に余り差がなく、同じ言語を文字で書いたものと考えられる場合も多い。[[英語]]や[[日本語|現代日本語]]などがその例である。しかし、英語のように表記体系が古い[[発音]]を反映していて今の発音と必ずしも対応していない場合もあり、それを書記言語と音声言語の差異としてダイグロシアに含めることもある。▼
▲一般に書記言語は
== 関連項目 ==
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*[[日本語の表記体系]]、[[文語体 (日本語)]]
== 参考文献 ==
*河野六郎「文字の本質」『岩波講座日本語8文字』岩波書店、1977年(のちに『文字論』三省堂、1994年、収録)
*『言語学大辞典第6巻術語編』三省堂、1996年。
*福島直恭『書記言語としての「日本語」の誕生 その存在を問い直す』笠間書院、2008年
{{DEFAULTSORT:しよきけんこ}}
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[[Category:文献学]]
[[category:諸言語]]
[[category:表記]]
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