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==芸術論==
「西洋の詩になると、人事が根本になるからいわゆる詩歌の純粋なるものもこの境を解脱する事を知らぬ。どこまでも同情だとか、愛だとか、正義だとか、自由だとか、浮世の勧工場(かんこうば)にあるものだけで用を弁じている。いくら詩的になっても地面の上を馳けてあるいて、銭の勘定を忘れるひまがない。」
「 うれしい事に東洋の詩歌はそこを解脱したのがある。…超然と出世間的(しゅっせけんてき)に利害損得の汗を流し去った心持ちになれる。独坐幽篁裏(ひとりゆうこうのうちにざし)、弾琴復長嘯(きんをだんじてまたちょうしょうす)、深林人不知(しんりんひとしらず)、明月来相照(めいげつきたりてあいてらす)。ただ二十字のうちに優に別乾坤(べつけんこん)を建立(こんりゅう)している。…汽船、汽車、権利、義務、道徳、礼義で疲れ果てた後に、すべてを忘却してぐっすり寝込むような功徳である。」と芸術を東洋(中国や日本)の自然の中の人間と西洋の人の中の人間としてそれを対比している。カナダの天才ピアニスト Glenn Gouldの死後,枕元にあった二冊の本が聖書と草枕であった.【The Three-Cornered World】 はAlan Turney が草枕の英訳に付けた題名である.これについてターニー氏は序文で【直訳するとThe Grass Pillow になるがそれでは意味をなさない為この作品のテーマと考えられる一部分を題名にした】といった意味の事を書いている.漱石の原文にあたってみると【四角な世界から常識と名のつく一角を磨滅して三角のうちに住むのを芸術家と呼んでもよかろう】がそれにあたる.
 
==日本の近代化(西洋文明の摂取)について==