「宗十郎頭巾」の版間の差分

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[[画像File:Munemitsu Mutsu.jpg|160px175px|right|thumb|宗十郎頭巾を着用した若き日の[[陸奥宗光]]]]
'''宗十郎頭巾'''(そうじゅうろう- ずきん)は[[男性江戸時代]]用の[[頭巾]]の一種。主に[[武家]]の男もっぱら着[[頭巾]]の一種
 
== 概要形状と用途 ==
「宗十郎頭巾」の起源と語源は、[[元文]]元年 (1736) [[江戸]][[中村座]]で[[並木五瓶|初代並木五瓶]]作『隅田春妓女容性』(すだの はる げいしゃ かたぎ、通称『梅の由兵衛』)が初演された際、主役の侠客・梅の由兵衛をつとめた[[澤村宗十郎 (初代)|初代澤村宗十郎]]が、その男伊達を演出するために考案した頭巾といわれる。当初は「茶の錣頭巾」(ちゃの しころ ずきん)などとよばれたが、この演目が大当たりとなり、以後[[澤村宗十郎|宗十郎代々]]がこれを[[お家芸]]としたことから、この主人公のトレードマークであるこの「頭巾」と「宗十郎」の名が不可分のものとして定着した。
[[画像:Munemitsu Mutsu.jpg|160px|right|thumb|宗十郎頭巾を着用した若き日の[[陸奥宗光]]]]
その起源は[[澤村宗十郎 (初代)|初代沢村宗十郎]]が[[元文元年]][[江戸]][[中村座]]で梅の由兵衛を演じた際に創案した茶の錣頭巾にあるとされ、これが当時大いに流行したところから宗十郎頭巾の名が行われた。
 
形状は[[宗匠頭巾]]ごとくように一枚の布で頭部を覆うものであるが、[[「錣」(しころ)という]]の上に大きな菱形の飾り布([[錣]])がついているところにのが特徴がある。口元から[[]]を覆う横布は顎の下に引下げて顔をあらわにすることも可能なできる構造になっており、いる。色は黒、茶、紺などの地味な系統が多い。
 
宗十郎頭巾は主に武家の落ちついた年配の男性が微行の際に用いることが多った。[[文久]]元年 (1861) に[[坂本龍馬]]が、京都にいた初恋の相手といわれる[[西山志澄#親族|平井加尾]]に送った有名な書簡の中にも、脱藩後は加尾に男装をさせて一緒に[[勤王]]活動をしようと、宗十郎頭巾を用意するよう指図しており、この頭巾の印象が当時どのようなものだったのかが窺える。  {{quotation|先づ〃〃御無事とぞんじ上候。天下の時勢切迫致し候に付、<br /> 一、高マチ袴<br /> 一、ブツサキ羽織<br /> 一、宗十郞頭巾<br /> 外に細き大小一腰各々一ツ、御用意あり度存上候。<br />     九月十三日     坂本龍馬<br />   平井かほどの|}}
=== 演劇における宗十郎頭巾 ===
[[歌舞伎]]では『[[青砥稿花紅彩画|白浪五人男]]』[[浜松屋]]の[[日本駄右衛門]]や『[[三人吉三廓初買]]』お竹蔵の[[お坊吉三]]等のように、武家方などの落ちついた年配りの男が微行の際に用いることが多い。[[坂本龍馬]]が[[西山志澄#親族|平井加尾]]に送った有名な書簡においても、加尾に男装をさせて[[勤王]]活動を行わせるために、宗十郎頭巾を用意するように記しており、当時の宗十郎頭巾に対する一般的な感覚を知ることができる。
 
=== 演劇における創作の人物と宗十郎頭巾 ===
しかし宗十郎頭巾の名をもっとも高からしめたのは[[大佛次郎]]作『[[鞍馬天狗 (小説)|鞍馬天狗]]』であって、シリーズ第三作「宗十郎頭巾」以降、主人公鞍馬天狗こと倉田典膳のトレード・マークとなり、ことに[[嵐寛寿郎]]の[[映画]]によってこのイメージは不動のものとなった。鞍馬天狗の宗十郎頭巾は、単に微行姿であるのみならず、正体を隠した正義の味方であるというその設定によるものであろうが、子供たちに絶大な人気を誇った映画の影響によって、以降[[時代劇]]における白面の正義の味方と宗十郎頭巾とは切っても切り離せない関係になってゆく。
[[File:Kanjūrō Arashi as Kurama Tengu 1936.jpg|thumb|175px|left|『御存知鞍馬天狗 宗十郎頭巾』(新興キネマ、1936)]]
[[歌舞伎]]では梅の由兵衛のほかにも、『[[青砥稿花紅彩画]]』(あおとぞうし はなの にしきえ、通称『白浪五人男』)の二幕目「雪の下浜松屋の場」における日本駄右衛門や『[[三人吉三巴白浪]]』(さんにん きちさ ともえの しらなみ)の二幕目「本所お竹蔵の場」におけるお坊吉三などの宗十郎頭巾が名高い。
 
しかし宗十郎頭巾の名をっとも高から有名にたのは[[大佛次郎]]作映画『[[鞍馬天狗 (小説)|鞍馬天狗]]』であて、た。シリーズ第三作「宗十郎頭巾」以降、主人公鞍馬天狗こと倉田典膳のトレード・マークとなり、ことに[[嵐寛寿郎]]の[[映画]]によってこのイメージは不動のものとなった。鞍馬天狗の宗十郎頭巾は、単に微行姿であるのみならず、正体を隠した正義の味方であるというその設定によるものであろうが、子供たちに絶大な人気を誇った映画の影響によって、以降[[時代劇]]における白面の正義の味方と宗十郎頭巾とは切っても切り離せない関係になってゆく。
 
[[チャンバラ]]遊びでは、鞍馬天狗に扮するため、子供たちは競って[[風呂敷]]を利用して宗十郎頭巾の真似をしたが、錣の部分がうまくつくれないのが常であった。本来宗十郎頭巾は一枚の布でできているわけではなく、錣は縫製によってつくられているために、風呂敷で真似ること自体がもともと不可能なのだが、このためにかえって宗十郎頭巾は子供たちの憧憬の的ともなることになった。
 
=== 俗称 ===
俗に「鞍馬天狗頭巾」または形状から、俗に[[イカ]]頭巾」などと呼ばれることもある。
 
== 題名 ==
== 宗十郎頭巾と映画 ==
昭和1110[[大佛次郎]]が発表したシリーズ第18作、及びそれを原作とした昭和11年公開の嵐寛寿郎]]主演の映画は、その題名がそのものずばりの『宗十郎頭巾』があとなっている。<!--以下は「[[鞍馬天狗 (小説)]]」の記事内容--><!--なお、嵐寛寿郎は[[1927年]](昭和2年)から[[1956年]](昭和31年)まで40本もの『鞍馬天狗』に主演している。
 
== 関連項目 ==
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== 外部リンク ==
*[http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Cinema/5784/honbun/ku3.html 配役宝典 第六版 く その3]
--><!--以上-->
 
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