「審判 (タロット)」の版間の差分

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[[マルセイユ版タロット|マルセイユ版]]に描かれる「審判」には、[[雲]]をまとい空中から現れた巨大な天使が、鋭角的な[[光]]を放ち、右手はラッパの吹き口を持ち、左手は[[十字]]の[[紋章]]の入った[[旗]]を指差した姿で描かれ、地上には、向かって右側に老人が一人、左側に女性が一人、中心には棺からよみがえった人物が後ろ向きに立った状態で描かれている。
 
この天使と人物達の関係は、非常に意識的な接触であると解釈される。つまり「[[恋人 (タロット)|恋人]]」に登場した天使などのように地上の人物達のあずかり知らぬ所で活動しているのではなく、人物達がその存在を確認し、何らかのコンタクトをとっている様子で描かれている。このことを強く象徴するのが天使の持つラッパとギザギザの光である。ラッパとは即ち「[[音]]」であり、この天使による干渉は光と音の両方によるものであると暗示している。[[旧約聖書]]、[[創世記]]に記される[[神]]が最初に行ったとされる創造行為は「光あれ」の通り「光」である。しかし神が発した「[[言葉]]」は「音」であり、創造の前に「音」が存在したことになる。「音」は人間(あるいは動物・生物)にとって「光」よりも即物的で直接的であることは、「音」による空気の振動が聴覚だけではなく身体全体を震わせ、超音波がガラスを破壊すること等に例えることが出来る。また、「光」も人間の視覚に大きな影響を与えるものであり、これら「音」と「光」の両方による干渉からは何者も逃れることが出来ないことを暗示している。
 
地上に立つ3人の人物達は、この天使から逃れるどころか厳粛に受け入れている様である。この人物達の中心に立つ後ろ向きの人物は、今まさに甦った瞬間であると解釈される。しかし、この人物が[[男性]]なのか[[女性]]なのかは定かではない。わかるのは、この人物が若々しくエネルギーに満ち溢れている様子である事と、両脇の男女に復活を祝福されている事である。この人物は「[[吊るされた男]]」のように孤独でもなければ、「[[塔 (タロット)|塔]]」のように危機的状況に居るわけでも無い、まさに[[通過儀礼]]の儀式を遂げ、'''新たに生まれ変わった姿'''であると解釈される。また人物が「3人」であることから、'''地上における[[三位一体]]の完成'''を表すとされる。さらに、これに天使を加えることで天と地をつなぎ新たなる概念の誕生を表すとする説も存在し、天使の持つ旗に記される正十字をもって裏付けとしている。