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安五郎 (会話 | 投稿記録)
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'''形鋼'''(かたこう)とは、構造用あらかじめH形、L形などの一定の断面形状に成形された、材軸方向に長い[[鋼|鋼材]]の総称である。断面が円形または角形の中空断面のものは[[鋼管]]と呼ばれる。
 
主に構造用として[[土木]]・[[建築]]用の[[柱]]・[[梁 (建築)|梁]]・基礎[[杭]]、そして機械製品などに使われる。断面の形によって様々な形鋼がある。これらは、力学的合理性・使用目的によって使い分けられる。
 
== 概要 ==
形鋼は、熱間での[[圧延]]により作成される重量形鋼と、薄い鋼板を冷間で折り曲げ加工して作成される軽量形鋼の2つに大きく分けられる。単に形鋼と言った時は重量形鋼を指す場合が多い。
 
重量形鋼にはH形、I形、山形、溝形、Z形等の種類がある。重量形鋼の板厚は部位によって異なる。I形鋼や溝形鋼の[[フランジ#はり部材におけるフランジ |フランジ]]部の厚さは一様ではなく、内面に外側に向けて[[テーパー]]がつけられている。また、出隅のコーナー部にはエッジがあるが、入隅のコーナー部にはアール(円弧状の丸み)が付けられている。
 
軽量形鋼には山形、溝形、Z形、ハット形等の種類がある。軽量形鋼の板厚は部位に関わらず一定であり、コーナー部はアールを付けて折り曲げられている。
 
[[土木]]・[[建築]]用の[[柱]]・[[梁 (建築)|梁]]・基礎[[杭]]、そして機械製品に使われる。断面の形によって、様々な形鋼がある。これらは、力学的合理性・使用目的によって使い分けられる。
 
== 代表的な形鋼 ==
=== H形鋼 ===
[[画像:H Katakou.png|thumb|140px|H形鋼]]
H形鋼(エッチがたこう)は、断面が『H』形の形鋼である。様々なところで使われており、いる代表的な形鋼である。他の形鋼にくらべて、断面効率(重量当たりの曲げ[[剛性]]や曲げ強度)が優れている。相場で『形鋼の価格変動』と言う時、この『形鋼』はH形鋼のことである。建物や橋梁、船舶などに使われる'''構造材用'''と、[[高速道路]]、建築物、[[岸壁]]、[[橋梁]]などに使われる'''基礎杭用'''がある。水平ロールと垂直ロールを持つ、[[ユニバーサル圧延機]]によって作られる。
 
『H』の縦2本の部分を'''[[フランジ]]'''、横1本の部分を'''ウェブ'''と呼ぶ。『H-200(H寸法)×100(B寸法)×5.5(t1寸法)×8(t2寸法)』(例)のように表記される
 
H形鋼の日本国内生産量は2004年において、451万6500トン余りとされている(日本鉄鋼連盟調べ)。そのうち、[[東京製鐵]] 約34%、[[新日本製鐵]] 約18%、[[JFEスチール]] 約13%と推計されている。日本でH形鋼の生産が始まったのは[[1960年代]]に入ってからであるが、[[1968年]]竣工の[[霞が関ビル]]で極厚のH形鋼が大量に使用されて以降、急速に普及した
水平ロールと垂直ロールを持つ、[[ユニバーサル圧延機]]によって作られる。
『H200(H寸法)×100(B寸法)×5.5(t1寸法)×8(t2寸法)』(例)と表記される。
 
H形鋼の日本国内生産量は2004年において、451万6500トン余りとされている(日本鉄鋼連盟調べ)。そのうち、[[東京製鐵]] 約34%、[[新日本製鐵]] 約18%、[[JFEスチール]] 約13%と推計されている。
 
=== I形鋼 ===
[[画像:I katakou.png|thumb|140px|I形鋼]]
I形鋼(アイがたこう)は、断面がI形の形鋼である。ただ形状的にはH形鋼に近いが、同一サイズではH形鋼と比較すると断面べて板厚が厚く(、重量、剛性が高ともに大き)、フランジ内面にはテーパ(ー(傾斜)となっ)が付けられている。I型ジョイスト、アイビームとも呼ばれる。
 
=== T形鋼 ===
T形鋼(ティーがたこう)は、断面がT形の形鋼である。通常はH形鋼をウェブ中心で2つに切断して作られるため、CT形鋼あるいはカットティーとも呼ばれる。
 
=== 山形鋼 ===
[[ファイル:YamaKatakou.png|thumb|140px|山形鋼]]
[[ファイル:The frame of Type TR-11 Truck.jpg|thumb|160px|right|球山型鋼の使用例。[[国鉄TR13形台車]]側枠の車軸真上部分で、[[八幡製鐵所]]製の球山型鋼が部分的に削られて逆さに使われ、逆になった八幡製鐵所のマークと刻印が見える。]]
断面が『L』形に近いものを山形鋼(やまがたこう)と呼び断面が『L』形に近い形鋼である。『L』の二の長さが等しいものを'''等辺山形鋼'''、等しくないものを'''不等辺山形鋼'''と呼ぶ。アングルとも呼ばれる。辺の長さが40ミリ以下の物は小型山形鋼と呼ばれることがある。
 
H形鋼の次に需要が多い。建設、船舶、機械などに使われる。
L50(AL-50(A寸法)×50(B寸法)×6(t寸法)』(例)のように表記される。軽量形鋼として、'''軽山形鋼'''がある。
 
 
また『L』形の上端の部分に丸く厚みを持たせた'''球山形鋼'''(きゅうやまがたこう)がかつて船舶用に製造され、昭和初期には[[鉄道車両の台車|鉄道の台車]]用にも用いられていた。
 
=== 平鋼 ===
形状が単純に平たい帯状の鋼材。フラットバーとも呼ばれる。一端に丸く厚みを持たせた、4分音符(♩)に似た断面の'''球平形鋼'''(きゅうひらがたこう)も存在する。
 
=== 溝形鋼 ===
[[画像:MizoKataKou.png|thumb|140px|溝形鋼]]
溝形鋼(みぞがたこう)は、断面が『コ』形に近いものを溝形鋼(みぞがたこう)と呼ぶである。一般にチャンネルと呼ばれる
 
C100(AC-100(A寸法)×50(B寸法)×5(t1寸法)×7.5(t2寸法)』()と)のように表記される。
また軽量形鋼として、'''リップ溝形鋼'''、'''軽溝形鋼'''がある。リップ溝形鋼は断面が『C』形に近いため、シーチャンネルとも呼ばれる。
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=== Z形鋼 ===
[[画像:L-Z-Traeger.png|thumb|140px|Z形鋼]]
Z形鋼は、断面が『Z』形に近いものをZ形鋼と呼ぶである。かつて日本では'''乙形鋼'''とも呼ばれ、鉄道車両の側梁などにも用いられた。
 
また軽量形鋼として、'''リップZ形鋼'''、'''軽Z形鋼'''がある。
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[[画像:Spundwand.jpg|thumb|right|220px|鋼矢板による土止め]]
[[画像:Spundwandschloss.jpg|thumb|right|180px|鋼矢板の継ぎ目]]
鋼矢板(こうやいた)は、凹凸があり、両端に継ぎ手がついている鋼板である。互い違いに組み合わせて、継ぎ手をつなげると『鉄の壁』ができる。<!-- 説明しづらい。写真が欲しい。 御意。-->鋼矢板は、土中に埋め込んで[[護岸]]や[[防波堤]]、岸壁を作る。また、掘削し管路などを埋設する際の仮設の土留めとしても使用される。使用が終わった鋼矢板は、引き抜くことによって、繰り返し使える。
 
鋼矢板には、U形、Z形、H形、直線形、鋼板を冷間ロール成などした軽量鋼矢板がある。また、鋼管に継ぎ手を付けたものを鋼管矢板と呼ぶ
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== 表面処理 ==
鉄製品であり、最終的には[[塗装]]されることが多いが、多くの場合無塗装の、いわゆる「圧延まま(黒皮)」の状態で流通している(酸化皮膜である黒皮が耐食性に優れるため)。切断加工などがなされた後、錆び止め塗装後に仕上げ塗装で色がつけられることが多い。建築構造体に使われるものの中には、あらかじめ錆び止め塗装を施された状態で流通しているものもある。
 
[[亜鉛]][[めっき]]を施されたものもある。この場合、加工後の端面処理が必要であるので、加工後に亜鉛めっきするほうが効果的な防錆処理が出来る。
 
また、[[橋梁]]などには表面処理を必要としない[[耐候性鋼]]が使われることもあり、錆び色のままで使用されているのが見られる。