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'''カミンスキー旅団'''（カミンスキーりょだん、[[ドイツ語|独]]：''Kaminski-Brigade''）は、[[武装親衛隊]]の一部隊である。部隊名は、[[旅団長]]を務めていた[[ブロニスラフ・カミンスキー]]に由来する。反[[共産主義]]の[[ロシア人]]、[[ベラルーシ人]]及び少数の[[ポーランド人]]で構成されていた。

[[1941年]][[6月22日]]、ドイツ軍は、[[独ソ戦]]の開始に伴い、[[ソビエト連邦]]に侵攻し広大な地域を占領した。

[[占領]]地には多数のソ連国民が取り残されることになった。彼らはドイツ軍の攻撃から逃れ、[[パルチザン (独ソ戦)|パルチザン]]となって抵抗を続ける者もいたが、反ソ感情が強かった[[バルト]]地方や[[ウクライナ]]の一部の住民の中には、ドイツ軍を「共産ロシアの圧政からの解放軍」と歓迎し、中には積極的にドイツ軍の支配に協力する住民も現れた。

パルチザンは、しばしば食糧等の物資を調達するために周辺の町や村を襲撃していたことから、[[1940年]]10月に[[ベラルーシ]]の[[ブリャンスク]]に近い町では、親ドイツ派の地元住民によって、このような襲撃から町を守るための[[自警団|自警組織]]が結成され、た。これがカミンスキー旅団の起こりである。当初の指揮官は[[コンスタンティン・ヴォスコボイニク]]（[[:pl:Konstantin Woskobojnik|Konstantin Woskobojnik]]）で、カミンスキーはその補佐を隊長に選出して活動を始務めていた。

自警組織が結成された直後、その町は、ドイツ軍によって[[自治権]]が認められた。そして、反共産主義者のロシア人やベラルーシ人が移り住むも協力に訪れるようになり、自警組織は市民軍に拡大した。

[[1942年]][[1月8日]]、隊長のヴォスコボイニクが任務中に殺害され、当時隊長代理の職にあったブロニスラフ・カミンスキーが市民軍の指揮を引き継いだ。この頃の主な活動は、ドイツ軍と共同での占領地の警備任務等であった。[[1942年]]末までに市民軍は、約10000名の兵力を擁するようになった。

カミンスキーは、この市民軍に公式の名称として「ロシア国民解放軍」という名称を付け、戦闘部隊としてドイツ軍に協力することを申し出た。この報酬としてドイツ軍側はこれを受け入れ、解放軍かつ一層の戦協力を補強するため、の報酬として[[赤軍]]から捕獲した[[野砲]]36門及び[[T-34]]戦車24台両を与えた。これにより解放軍の戦力は大きく増強された。

その後、ツィタデレ作戦の失敗とソビエト連邦政府による[[恩赦]]等をちらつかせた宣伝工作により、解放軍からの脱走者が相次ぎ、解放軍は維持が不可能と思われる状況になり、ついには第2[[連隊]]長がパルチザンへの寝返りを画策した。この時れは事前に暴露され事なきを得たが、事情を知ったカミンスキー自身がは連隊本部へ直接赴き、第2連隊長を彼の部下の目の前で殺害処刑して解放軍の崩壊を防いでいる。

解放軍は、構成員の多くを脱走により失ったため、後方地域に移動したが、その地域はパルチザン側の勢力地域であったため、解放軍はかえって激しい戦いに巻き込まれている。このため、[[1944年]]初頭にはさらに後方地域へ移動、この時、解放軍は[[強制徴募|強制的に集められた]]ベラルーシ人の補充を受けている。

師団長のカミンスキーは同月下旬、銃撃を受けた[[車]]の中で他殺体となって発見された。親衛隊本部はカミンスキーの部下たちにパルチザンによる襲撃と説明、この直後師団は解散され、第29SS武装擲弾兵師団の名称は、[[第29SS武装擲弾兵師団|イタリア人部隊]]に与えられることになった。

責任者のカミンスキーは、パルチザン掃討任務において徹底した態度で臨み、捕らえたパルチザンを虐殺しているが、これはカミンスキーがソビエト連邦政府によって労働収容所[[ラーゲリ]]に送られたことも関係していると思われる。このことについて武装親衛隊当局は、肯定的な解釈をしていたようであり、カミンスキーはパルチザン掃討の功績により、2級及び1級[[鉄十字章]]を授与されている。

特に[[1944年]]8月の[[ワルシャワ蜂起]]で鎮圧のために動員された頃には、完全に無秩序状態であり、本来の鎮圧任務を行わず、[[虐殺]]、[[強盗]]、[[窃盗]]、[[強姦]]、[[放火]]などのあらゆる犯罪行為を行っている。加えて、ワルシャワ蜂起に伴う市街封鎖の警備任務を行っている時期の深夜、約80人のポーランド人[[レジスタンス運動|レジスタンス]]による襲撃を受けているが、この時、部隊は飲酒して酔っており、まともな反撃もできずに約90人の戦死者を出し、混乱状態で武器を捨てて逃走、[[ワルシャワ]]市内で略奪した物品の多くを取り返される事態も発生、このことは武装親衛隊幹部を幻滅させ、[[非戦闘員]]に対する蛮行等についても報告されていたことから、部隊の[[評価]]は最低まで落ちた。

* [[1944年]][[8月5日]]午前8時開始予定の約300人のポーランド人が抵抗している区域を掃討する任務を割り当てられたが、攻撃開始時刻になっても現れなかった。友軍が付近を捜索したところ、空き家に侵入して略奪行為を働いているところを発見した。捜索部隊の指揮官が不参について咎めたところ、カミンスキー自身は「ロシア解放の資金の[[寄付]]を募っていた」と主張した。結局、この攻撃は午前11時に開始されたが、不完全なものに終わった。

* 上記の攻撃中、部隊は[[ラジウム]]研究所及び女性[[がん]]患者の病棟を占拠した。[[ポーランド]]側の記録によれば、この時、部隊は非戦闘員をが口頭で抗議しただけで抵抗したとみなして容赦なく[[射殺]]し、[[女性]]と見れば、[[患者]]や[[看護師]]などの病院職員であっても構わずに強姦した。

なお、師団長のカミンスキーの死に関しては、カミンスキーがドイツ本国へ送る略奪品の[[横領]]を行っていることを知った親衛隊本部が、カミンスキーを会議と称して呼び出し、[[即決裁判]]にかけて処刑、移動中に襲撃を受けたかのように現場を作り上げて偽装したとも言われている。