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'''ATPアーゼ'''とは[[アデノシン三リン酸]] (ATP) の末端[[高エネルギーリン酸結合]]を[[加水分解]]する[[酵素]]群の総称である([[EC番号]] 3.6.1.3)3、3.6.3、3.6.4)。ATP は生体内のエネルギー通貨であるから、エネルギーを要する生物活動に関連した[[タンパク質]]であれば、この酵素の活性を持っていることが多い。
 
正式名称は'''アデノシン三リン酸フォスファターゼ'''またはアデノシントリフォスファターゼだが、最近では正式名称が使用されることは少なく「ATPアーゼ」としている場合が多い。
 
=== ABC ATPアーゼ ===
ABC とは '''A'''TP '''B'''inding '''C'''assette (ATP結合カセット)の略称である。細胞への物質取り込みおよび排出に関係する。[[ABC輸送体|膜貫通型の ABC ATPアーゼ]]は、常に4つの機能[[タンパク質ドメイン|ドメイン]](2つの膜貫通ドメインと2つのABCドメイン)から構成される。これらのドメインは全てが一つの遺伝子にコードされている場合もあれば、それぞれ別々の遺伝子にコードされている場合もある。膜貫通ドメインの配列は多様であるが、ABCドメインと呼ばれるATP結合部位の配列は高度に保存されている。[[真核生物]](主に[[ヒト]])では有害物質の排出に使用されているが、一方[[原核生物]]では[[糖]]、[[アミノ酸]]と言った物質の取り込みに用いられている。また、ヒトの中でも[[トランスポーター]]、[[チャネル]]、[[受容体|レセプター]]等、その機能は多彩である。
 
これら生体膜貫通型の古典的なABC ATPアーゼに加え、最近ではDNA結合型の ABC ATPアーゼが知られるようになってきている。代表的なものとして、染色体の高次構造と機能を制御する[[SMCタンパク質]]があり、これらは[[コンデンシン]]あるいは[[コヒーシン]]のコアサブユニットとして機能する。また、DNA2重鎖切断の修復に関与する Rad50 もこのカテゴリーに属する。
ABCドメインの特徴は、多くのATPアーゼが共有する Walker A と Walker B モチーフに加え、Signature モチーフ(あるいはCモチーフ)と呼ばれる配列を持つことにある。すべての ABC ATPアーゼは一対のABCドメインをもち、2つのATP分子は2つのドメインに挟まれるようにして結合する。この際、ATPは一方のドメインの Walker A と Walker B モチーフに結合し、もう一方のドメインのCモチーフと接触する。このCモチーフとの接触が、ATPの加水分解に必須である。すなわち、ATPの結合と加水分解のサイクルが2つのABCドメインの会合と解離のサイクルを制御し、さらにその構造変換が基質結合ドメイン(例えば、ABCトランスポーターの膜貫通ドメイン)に伝達されると考えられている。その作用メカニズムは、[[2ストロークエンジン]]に例えられることもある。
 
*[[ABC輸送体|トランスポーター型ABCタンパク質]] – 有害物質の能動輸送
*チャネル型ABCタンパク質 – イオンの[[促進拡散]]
*レセプター型ABCタンパク質 – ATP、ADP濃度感受および[[シグナル伝達]]
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