「胃粘膜」の版間の差分

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胃の粘膜の表面をおおう表層粘液細胞や頚部粘液細胞(副細胞)は、塩酸の酸性とペプシンによる消化から細胞自身を守るため、[[粘液]]を分泌している。
 
== 胃と胃液 ==
強酸性の[[胃液]]が胃を自ら消化してしまわないのは、胃が粘膜で覆われているからであるが、それだけではない。胃液を中和する重曹も生成されている。また常に[[プロスタグランジン]]という活性物質の働きで細胞増殖を活発にして胃壁の損傷を最小限に抑えている。しかしストレスなどで副交感神経のバランスが崩れたりすると、胃液や消化酵素のコントロールが効かず自分自身を消化してしまう、つまり胃に穴が開く状態である「[[胃潰瘍]]」を引き起こす。
 
== 胃のクロム親和性細胞 ==
[[Image:Control-of-stomach-acid-sec.png|thumb|400px|胃酸分泌のコントロール。]]胃においてクロム親和性の染色像を示す細胞群が見られ、これらはそれぞれ[[クロム親和性細胞]]({{lang-en-short|Enterochromaffin Cells}}、EC細胞)及びクロム親和性細胞様細胞({{lang-en-short|Enterochromaffin-like Cells}}、ECL細胞)と呼ばれる。EC細胞は胃腸における[[オータコイド]]である[[セロトニン]]の産生に関与している。またECL細胞は顆粒内にセロトニンは含有せず[[ヒスタミン]]を貯蔵し、[[胃酸]]の分泌に関与している。
胃のECL細胞は胃粘膜表面積の1~3%を占める<ref>Prinz C, Zanner R, Gerhard M, Mahr S and Neumayer N (1999) "The mechanism of histamine secretion from gastric enterochromaffin-like cells." ''Am. J. Physiol. Cell. Physiol.'','''277''',845-855. PMID 10905856</ref>。[[アセチルコリン]]及び胃幽門部[[上皮]]に存在する[[G細胞]]により分泌された[[ガストリン]]の刺激により[[ヒスタミン]]を分泌する。ヒスタミンは胃酸分泌において最も重要な因子であると考えられており<ref>Hersey SJ, and Sachs G(1995)"Gastric acid secretion." ''Physiol. Rev.'''''75''',155-189. PMID 7831396</ref>、ECL細胞の細胞質に存在するヒスチジン脱炭酸酵素(英:Histidine Decarboxylase、HDC)によって産生される。ヒスタミンの分泌小胞への蓄積は2型小胞モノアミン輸送体(英:Vesicular Monoamine Transporter Subtype 2、VMAT2)を介したH<sup>+</sup>-ヒスタミンの[[対向輸送により行われ、その駆動力となるのがV型[[ATPアーゼ]]によって作られるH<sup>+</sup>濃度勾配である。ヒスタミンが[[壁細胞]]上の2型[[ヒスタミン#受容体|ヒスタミン受容体]](H<sub>2</sub>受容体)に結合することにより、胃酸の分泌を引き起こされる。
 
== 胃と胃液 ==
強酸性の[[胃液]]が胃を自ら消化してしまわないのは、胃が粘膜で覆われているからであるが、それだけではない。胃液を中和する重曹も生成されている。また常に[[プロスタグランジン]]という活性物質の働きで細胞増殖を活発にして胃壁の損傷を最小限に抑えている。しかしストレスなどで副交感神経のバランスが崩れたりすると、胃液や消化酵素のコントロールが効かず自分自身を消化してしまう、つまり胃に穴が開く状態である「[[胃潰瘍]]」を引き起こす。
 
== 萎縮性胃炎 ==